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2-3 リヒテンブルグ王国の食糧事情

前回までのあらすじ!


食い物ねえ。北にクマがいるのが分かった。


クマ狩った。


何故か領地が増えていた。 ← イマココ

 狩りから帰ってきたら人口が増えてました。なぜだ。


「いつまで経っても食糧問題が解決しない・・・。」

それもこれもあいつらのせいだ。何が言いつけどおりだ。おれは海岸までのルートを探索しろと言ったつもりがまさか海岸まで領地を拡大しにかかるとは。そしてどこも食糧難であり、どちらかと言うと飢えた移民を受け入れた状態になっている。ほとんど抵抗もせずに降伏しやがって。まあ、テンペストウルフに乗った騎兵隊が襲ってきたらそうなるわな。


「シウバ!すごいね!」

うん。そうだね、ユーナ。なんか頑張れそうになってしまうのは罠だと思うけど仕方ない。ユーナが凄いと言ってくれるならば頑張るしかないのだ。

「なんと言うか、そんなつもりはなかったんだけどね。」

「でもシウバだから皆付いてきたんだよ!」

付いてきたというか・・・暴走中と言うか。

「まあ、現実としては本当に食糧難がやばいので頑張るしかないんだけど・・・。」

「あ!私、ちょっと気になる事あるから、あっちの人にいろいろ聞いてくるね!」

そして放置される俺。まあ、そんなもんだよな・・・。


「フェルディ。そんで、海岸線まで領地拡大したとして、船はどうなんだ?」

もはや言葉使いも気にしていられない。こうなりゃ自暴自棄ってやつだ。なんか違う気もするが、食糧難を解決する案として考えているのがエレメント魔人国との貿易である。まあ、こちらの特産品なんてテンペストウルフしかないから他に売れそうな物を考えなければならないが。

「船は小型の物ならありましたが、大型のもんはなかったですぜ。特にエレメントに攻め入れるくらいの兵隊が乗れそうなのは。」

「くぅぉらぁ!待てぃ!なんだ、その攻め入るってのは!」

「え?大将、エレメントまで攻め入るつもりだったんじゃないんですかい?」

「誰が!?お前らを食わすだけで一杯一杯デス!」

「えぇ?だって、マジェスターのやつが・・・。」

あいつか!?すべての元凶は!!


 とりあえずは当面の食糧危機をなんとかしよう。

「こらマジェスター!お前のせいでまたしても食糧難じゃねえか!罰としてテンペストウルフ乗れる奴5人と一緒に北に行ってクマ狩って来い、クマ!!・・・できるだけ沢山。」

「はっ!かしこまりました!行くぞぉぉ!!準備しろ!」

返事だけはいいな、この野郎。そして、何その統率力。まあ、クマたくさん狩ってきたら許してやらんでもないけどな。


「シウバ様ぁ、テンペストウルフの追加、捕まえてきたよぉ。3匹。」

エリナ!お前は本当に優秀だな!普段何も考えてないとか思っててごめんよ!

「よし!フェルディの所連れてけ!ついでにグレーテストボアの狩猟班を編成して今日中に何頭か頼むな!」

「はぁーい!皆行くよぉ!」

「「うす!姉御!」」

こっちもこっちで統率力が半端ない気がする。完全にエリナ派が出来上がっている。


「シウバ様、西の村の連中はどうするんだい?一応あたしらの村に収容してるけどさ。」

そうか、ババアがいたか。あっちも食糧難だったな。

「そっちの村からもテンペストウルフに乗れる奴を教育しろ。乗れたら狩猟の幅がかなり広がるはずだ。他の方法だとすぐには食糧が手に入らん。とりあえず、まずはこっちから5人ほど連れて行け、採取の護衛に役立つはずだし、当面の魔物の狩猟を手伝ってもらえばいい。代わりにローレの所に騎兵候補を5人置いて行けよ。」

「ありがとよ!愛してる!」

ほんと死んでくれ。


「ローレ、ババアの所に5人ほど回してやってくれ。そんでもってババアの所の5人ほど鍛えてテンペストウルフに乗れるようにするのに何日かかる?」

「早い奴だと2週間かな。テンペストウルフの調教に比べればなんてことはないさ。鞍が良ければ落ちる事はないからな。」

「じゃあ、それで。できるだけ早く狩猟班に加われるようにしてやってくれ。食糧事情が悪すぎる。」

こうなったら狩りだ。このあたり一帯の魔物を狩り尽くす勢いでやってやる。どうせ魔物なんて魔力があふれる土地だと自然発生だし、乱獲したところで問題は全くない。

「暇な奴全部出せ!採取班と採取班護衛兼採取班と狩猟班に別れろぉ!!」

女だろうが採取はできる!集落総出で食糧確保だ!護衛も採取に加わるのは当然だ!行って来い!

「「はいっ!!」」



 そしてジジイとババアとガキしか残らない集落。もともとジジイもババアも山脈を越えてここまで来れたのは片手で数えられるほどしかいないからほぼもぬけの殻ってやつだ。その代わりガキは大量にわんさかいる。

「はー、すごいね!ほとんど全員行っちゃった!」

そうだね、ユーナ。ここには俺と君と老人と子供たちしかいないよ。

「シウバ!ちょっと相談があるんだ!」

なんだいなんだい?将来の子供の数か?・・・え?違う?・・・あの・・・調子乗ってすみませんでした。


「魔人族の伝承を聞いたんだけど・・・。」

ユーナによると伝承の中に召喚獣との契約と思われるものがあったとの事。それが今までに聞いた事のない召喚獣だったようで、興味があるんだって。

「手伝うよ!!」

もちろん、こんなチャンス逃すわけがない。邪魔者はいないし、ユーナと2人きりで何かするチャンスだ!何かって何って?そりゃ何かだ!ぐへへ。

「シウバ、なんか顔が怖いよ?」

やばい!顔に出ていたか!?

「あ、えっと。ごめん、ちょっと考え事してて。」

「考え事って変な考え事だったんじゃ・・・。」

「そ、そんな事ないよ!!」

危ない!ここは全力否定だ!

「まあいいけど・・・。それで、その素材というので足りないのが・・・。」


「待ってぇぇぇぇぇぇ!!!!」

「なんで!?行くよ、シウバ!!」

なんでだよ!?なんで素材に「青竜の鱗」とかあるんだってば!!?都合良すぎない?

「討伐の必要はないわ!鱗さえ手に入ればいいのよ!と言うわけでシウバ!ちょっと削いできましょう!」

「いやいやいやいや、死ぬって!食われるって!」

そしてなぜかワイバーンに縛り付けられている俺。これって何かあった時にワイバーンごと食われるよね。

「大丈夫よ!」

やばい、ユーナ節全開だ。でも可愛いな、こんちくせう。こんな元気な時のユーナに惚れてしまっている俺はかなり損な性格しているんだろう。ええい!俺も男だ!いや待て、やっぱり死ぬかもしれん!

「さあ!行くわよ!いいよね!?」

「お、おう。」

しまった。言ってしまった。


 ワイバーンで空を飛ぶ。ユーナと一緒だし、縛られた状態を考慮しなければ久々で気持ちがいい。でも、すぐにあいつが現れそうだけど。

「あ、出たわ!」

早い!なんて早いんだ!暇なのか!?あいつ暇なのか!?

「グルオォォォォォ!!!!」

やっぱりでかい!そしてこの縄ほどいてくれ!

「さあ!行くわよ!作戦としてはハルキ様が朱雀を討ち取った時と同じようにデビルバタフライのように舞い!キラービーのように刺す!これよ!ハルキ様は数時間の死闘の末に全ての攻撃を避けきって朱雀を討ち取ったと言ってたわ!」

あんなでかい奴相手に回避し続けるなんてできるのか!?口だけで俺よりでかいんですけど!そいつ、嘘ついてない?なんかおかしくない!?そしてこの縄ほどいてくれ!

「私たちは討伐の必要ないから!シウバがちょこっと鱗を取ったら離脱するわよ!」

いやいや待て待て!なんか計画がずさんすぎる!

「もしかして、ユーナ、お酒飲んだ?」

「伝承聞いてた時にちょっとだけよ!!まだ大丈夫!」


大丈夫じゃねぇぇぇぇぇぇええええええ!!!!


酒は飲んでも飲まれても飲みまくれ!


大学時代はピットイン(トイレで吐いてまた酒の席に戻る技術)ができたんだけど、もう無理です。

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