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1-5 シウバ=リヒテンブルグの旗揚げ

前回までのあらすじ!



青竜がおー!


魔人族の集落へ! ← イマココ!




え?最近適当すぎる?何のこと?


 その魔人族の集落は思っていたよりもずっと大きなものだった。なにせ数百人は十分にいるのだ。そしてそれは塀で囲まれた要塞と言ってもいい建造物の中にあった。

「まじか・・・。」

これは予想外だった。魔人族たちの実力からしてここまでの規模の集団とは思っていなかったのだ。

「これが我らの集落だ。来い、皆に紹介する。」

最初に俺たちを囲んだ時に先頭にいた男はナノと言った。話した感じはいいやつだ。だが、魔人族であり会ったばかり。いつ寝首をかかれるか分からない。寝るときも襲われないようにフェンリルの見張りが必要そうだ。気を引き締めて対応しなければ・・・。




 数日後・・・。


「どけぇぇぇい!!!「剣舞」シウバ=リヒテンブルグ様のお通りだぁ!!」

「頭ぁ!!リーゼ村の奴らも降伏しましたぜ!!」

「ナノ!俺はもう頭じゃねえ!」

「サーセン!!フェルディ様!!」

「いよぉし!!このままカイブル村も蹂躙だ!抵抗する奴らは容赦するなぁ!!」

「「おぉー!!」」

「いや、あの・・・あんまり殺しちゃよくな・・・。」

「シウバ様は捕虜を御望みだ!!生かしたままひっ捕えろぉ!!」

「「おぉー!!」」

・・・・・・なぜこんな状況に?


「マジェスター様!あっちから来てた援軍はほぼ戦闘不能です!次の指示をお願えしやす!!」

「うむ、よくやった。殺害は最小限だろうな?」

「もちろんでさぁ!言われた通り捕虜として労働力に当てますわ!」

「よし!では次はシウバ様たちの援軍として加われ。まだ戦えるだろうな?」

「もちろんでさぁ!!行くぞ野郎ども!」

・・・マジェスターが完全に魔人族を掌握している。

「す、すごいね、マジェスター。」

「もともとエジンバラの貴族だからね。軍隊の指揮とかやった事あるみたいだし・・・。」

「え?シウバ様は「狂犬」マジェスター=ノートリオを知らなかったんですかぁ?」

狂犬?なんだそれ?

「エジンバラ騎士団の若手にものすごい扱いにくい「狂犬」のような騎士がいて、それがマジェスター様なんですよぉ。ちょっとした有名人ですよ?魔物の大量発生の時も部隊で唯一生き残ったりするような。」

狂犬・・・なんだか、思い当たる節がありすぎる・・・。

「そうなんだ!あの「狂犬」がマジェスターだったんだね。レイクサイド召喚騎士団が来た時に噛みついてフィリップ様に瞬殺されていたのを思い出したよ!エジンバラの騎士団長がかなりあわててたね。」

・・・なにやってんだ、あいつ。で、この状況はなんなんだ?

「一昨日、マジェスター様がフェルディに絡んで組み伏せちゃったからこうなったんだよ。」

は?なんで?

「シウバ様の体があんまり大きくないから、本当にテンペストウルフを倒したのか?って、酒飲んで言ってて・・・。カッときたマジェスター様がフェルディ様に一騎打ちを挑んでぇ、それがまた瞬殺でぇ。」

「しかし、魔人族の族長に喧嘩売ってよく無事だったな。」

「魔人族は強い者が掟なんですぅ。だから、フェルディはマジェスター様の下につく事を了承して、マジェスター様はシウバ様の部下だから、こういう事になったらしいですよぉ。」

待て!何か飛ばしたけど!重要な何かを!

「で、なんでそれがこの戦争みたいな事に結びつくの?」

「これだけ強いマジェスター様やシウバ様がいるならここいら一帯の制覇も夢じゃないって。シウバ様をほめたたえるとマジェスター様がノリノリになっちゃってさぁ。」

・・・意味分からん。それでマジェスターが昨日から忙しく走り回っていると。一言、言えよ、ボケェ。

「シウバ様に言うと止められるから戦争始まるまで言うなってぇ、マジェスター様が。」

コロす!あいつ、あとで説教だ。

「でも、本当にいいの?シウバ、このままだとこの辺りの族長になっちゃうよ?」

は!?その通りだ!このままだとマズイ事になりそうだ!俺たちは早くヴァレンタイン大陸に帰らなきゃなんないのに!


「こ、こら!マジェスター!やめろ!」

「聞いたか者ども!!一旦引いて奴らを罠にはめろとのお達しだ!!引けぇ!!そして力を蓄えろ!」

「「おおぉぉぉ!!」」

「ち、ちがっ・・・。」

「リーゼ村の援軍の第2陣だぁ!」

「捕虜を前に出せ!上手くいけばこちらの援軍に早変わりだぁ!はっはっは!」

「・・・・・・。」

「・・・シウバ、諦めようか。」

「うん、ソダネ。」

こうして俺はこの地帯一帯を支配する族長になってしまった。




 もともとここは「魔喰らいの領域」とよばれる荒野だった。それまでは何もない場所で、しかも「魔喰らい」が出るために入れば生きて帰れない、そんな伝説の残る場所だったという。それが数年前から少しずつ木々が生えるようになった。いまでは広大な森が広がっている。しかし、その森の年齢はほんの数年であり、高く太い樹はほとんど存在しない。

「南の山脈を越えて、俺たちは命からがらにこの地へ逃げ込んだ。」

南の山脈はレベルの高い魔物の住処だった。なかでもテンペストウルフの群れには為す術がなかったという。多くの魔人族の命が散り、それでもここにたどり着いた者たちは集落を築いた。この集落に年寄りがいないのは、ここまでついて来れなかったからだ。南の山脈のさらに南にはまたしても荒野が広がっている。こちらはいまだに何も生えない土地であり、魔物も強靭、食糧が極端に少なく、魔人族の人口は全く増えていない。それに比べれば、魔物のレベルが高くても食糧のあるこちらの方がまだマシだとナノは言った。

「もしかして、山脈の南の荒野ってテツヤ様の故郷かもね!」

ユーナが昔テツヤ様の故郷の話を聞いた事があるらしい。食糧難と魔物の脅威で命からがら東に逃げたんだとか。あのテツヤ様に弱かった時代があるなんて想像できないけどな。

「しかし、今ですらろくに採取にも出れない状況で食糧に余分があるわけではないんだろう?」

採取に出た際にテンペストウルフなどの強い魔物に出会ってしまうと、必ずと言っていいほどに被害が出ていたそうだ。そして手っ取り早いのが他の集落を襲って食糧を奪う事。固まってある程度の食糧があるのは同じ魔人族の集落をおいて他にはなかった。


「そして、新たな問題が・・・。」

俺が、いやマジェスターがこの辺り一帯を支配してしまったために、襲う集落がなくなった。たびたび起こる戦争で口減らしもできていたようで、このままだと食糧が完全に尽きる。とりあえず3つの集落、約1000人を養っていかなければならない。

「・・・まじかよ。」



「まずはぁ、魔物を狩りましょー!!」

おい、エリナ。簡単に言うな。テンペストウルフだぞ?テンペストウルフ。

「だってぇ、シウバ様をはじめとして私たちなら狩れますって!そして安全になったら皆で採取に繰り出しましょお!」

・・・・・・一見何も考えてなさそうで、意外にもいい提案なのかもしれない。何も考えてなさそうで。

「シウバ様!俺たちも手伝います!」

ナノは意外にもいい奴だった。意外にも。こいつは常に仲間の事を考えている。だからこそ、こいつの言うことは憎めない。

「足手まといだ。集落で皆をまとめていろ。」

マジェスターはドSだった。それは知っていたが。しかし、その評価が正しいのも事実だ。そして、強者には弱者を守る義務がある。ここでの強者は俺たちだ、俺たちについてくるという弱者はもう身内と言っていい。身内は守る。

「うん!放っておけないしね!」

ユーナは天使だった。それも知っていた。

「シウバ様。皆をよろしくお願いいたす。」


 フェルディに頭を下げられる。魔人族の主だった者たちも俺に頭を下げてきた。さっきまで殺し合いしてたはずなのに。皆が俺に頭を下げて助けてと言う。これが力を手に入れたものの義務であり責任だ。

 多くの命を預かる。覚悟?できてるわけがない。だが、しなければならない。こいつらを食っていかせるだけの器を俺は持っているか?任せられた命を守りきる事ができるのか?だが、しなければならない。それが族長だ。それが、王だ!

 俺を信じてついてきてくれる奴らがいる。俺は全力で応える。簡単なことだ。常に最善を尽くせばいい。


 そして、俺はある事に気付く。




 いや待て、ドウシテコウナッタ?


昨日、すごい感想欄荒れまくりの小説を見てしまいました。よくあるテンプレだったんですけど、たった冒頭の1段落が明らかにあり得ないだけであそこまで叩かれるとは・・・ガクブルガクブル。

まあ、でも作者の方も感想返しがひどくて、とりあえず心のこもってないありがとうを連発するような、ひどいありさまで・・・。


たまたまその主人公の前世がオレオの職業とかぶってたんですけど。設定と言うか、その状況は、まあ、たしかにあり得ない。さすがにナメンナヨっていう読者の意見は非常に分かりました。


事前の取材って重要ですね。ファンタジーの取材は・・ドラクエの復活の呪文書いてたくらいだから十分だぜ!たぶん。

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