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1-3 シウバ=リヒテンブルグの次元波動超弦励起縮退半径跳躍重力波超光速航法

前回までのあらすじ!


ユーナと再会!


ヨーレンもいた!ついでにホープもいた!


テツヤ現る!


テツヤ撃退! ← イマココ

「テツヤ=ヒノモトォォォ!!!!」

今日も相変わらずマジェスターの襲撃は続いている。というより学習しろよ。

「大振りすぎるな、斬り込むときに跳躍すると恰好はいいかもしれんが、地面からの力をそのまま使うことができんから、真下に落ちる時以外は使わない方がいいぜっ!」

マジェスターの剣を軽々と受けてテツヤ様が言う。

「それに脇がまだ甘い。それじゃ100%の力は込められないはずだ。むしろそれでここまでの威力が出せる方がすげえけどな。お前まだレベル50代だろ?」

「ええい!うるさい!」

「そんな事言いながらも素直に修正してるじゃねえか。あ、踏み込みが2cm深い。」

みるみるマジェスターの剣技が上達している。あれはむしろ学習しているのか?そうだな。

「あ、そこで距離を取ると致命的だぜ。恐怖は感じても呑み込め。」

そういうとテツヤ様は氷の破壊魔法を連発してマジェスターを圧倒する。氷の破壊魔法はマジェスターにとっては得意分野なのに・・・。上には上がいるもんだ。

「お前はシウバと違って戦い方に自己流が入ってないくせに効率が悪い。エジンバラ騎士団みたいだ。」

・・・エジンバラ騎士団だったような気がするけどな。

「ええい!知るかぁぁぁ!!!」

全身ボロボロの氷漬けのマジェスターが斬りかかる。

「大事なのは間合い、恐怖はむしろ感じなけりゃやっていけねえ。やみくもに突っ込むのはむしろコントロールできてない証拠だぜ?」

テツヤ様のヴェノムエクスプロージョンで今日も吹き飛ぶマジェスター=ノートリオ。


「いや、見てて勉強になりますねぇ。」

エリナよ、呑気な事言ってないでマジェスターを助けてやってくれ。

「シウバ!料理開始するから手伝ってね!」

「う、うん。」

「お、俺も何か手伝おうか?」

「あ!テツヤ様は大丈夫ですよ!エリナちゃんの修行相手でもしてあげてください!」

「お、おう!」

「えー!私もですかぁ!?」

エリナ、頑張れ。

「いくぜぇ!エリナ!」

「ぎゃー!!!」


 何故かテツヤ様がここに居座っているのは誰も突っ込まない。だって、怖えもん。



 ヨーレンはまたエルライトの町へと帰って行き、俺たちはホープさんからの連絡を待っていた。そろそろ戻るはずだ。

「ホープさんのことだから、ここの「大地の井戸」をなくすと魔物の発生が少なくなってそれはそれで資源がーとか考えてるんだと思うけどね!」

なんてこった。ホープさんの考えが上から過ぎて俺にはついて行けねえよ。

「あの人は、そういう人だから!」

・・・なんとなく嫉妬を感じてしまう。俺だって男に生まれてきたからにはホープさんやテツヤ様にフランさん、それにハルキ=レイクサイドみたいな人間になってみたい。

「シウバ!ユーナ!帰って来たぞ!」

ようやくヨーレンが帰ってきた。遅えよ。

「ホープさんからの伝言だ。こっちにテツヤ様がいるなら「大地の井戸」つぶしておいてくれってさ。許可は取ったからって。」

まあ、領主としてはこんな所に「大地の井戸」があったらたまったものじゃないだろうな。

「よしっ!そしたら飯食ってさっそくその「大地の井戸」を見に行こう!!」

エリナを吹き飛ばしたテツヤ様が元気に言う。エリナ大丈夫かな?

「テツヤ=ヒノモトォォォ!!!!」

回復したマジェスターがまたしても切り込んでいった。

「ちなみに俺の剣に次元斬が乗ってたらすでにお前は死んでるからな。」

上手い具合に剣撃を受け流し、体勢の崩れたマジェスターの剣を奪い取る。そして腹部と胸部に1発ずつ蹴りを入れて吹っ飛ばした。あんな曲芸ができるような奴によく勝てたものだ。ユーナの一言がなかったら完全に死んでたけどな。

「剣の手入れの仕方はまあまあだが、お前には合ってねえよ。やっぱりエジンバラ騎士団だったか。」


 テツヤ様がいるために第4階層まではあっという間についた。第3階層も梯子をかけてあったし、なくてもワイバーンで飛んでいけばいいだけだしな。

「たしかにあるな。」

テツヤ様が「大地の井戸」を見てつぶやく。ちょうど中からグレーテストホワイトベアーが湧いてきた所だった。

「ヴェノム・エクスプロージョン!」

それを「大地の井戸」ごと焼き尽くす。なんて規格外な力だ。


「さて、俺はレイクサイド領の大収穫祭に呼ばれているからもうそろそろ帰らなきゃなんねえ。」

自国の事じゃないのが不思議であるが、忙しいのは忙しいみたいだな。

「ヨーレン、送ってってくれ。」

「はい、分かりました。あっ、ユーナは好きにしていいってハルキ様が言ってたぜ?」

「うん!じゃあ、もうしばらくはここいいるね!」

「じゃあな!」

こうしてテツヤ=ヒノモト様は去っていった。最初はおっかない人だったけど、意外といい人だったな。


「シウバ様!もう少し第4階層の探索をしてから帰りましょうよぉ!ここに入ったのは私たちが最初なんですからぁ!」

「そうだな。ちょっと休憩して、砂埃が収まったら探索する事にしよう。魔物の発生もずいぶんと減ってるはずだしな。」

これで魔物が少なくなれば、ここの探索が安全になる。採取できる薬草やキノコがあるかもしれない。グレーテストホワイトベアーの発生が少なくなったのはいただけないが、魔物の発生自体はあまりいい事ではないしな。・・・地底湖の魚は討伐しない限り居続けるだろう。あれがここから発生したとは思えないし。

「よし!飯にしよう!」

少し冷えるが、ここに簡易の中継地点を築こう。今度いろいろと持ってくる必要があるな。第3階層はユーナのワイバーンに運んでもらうとしよう。


 第4階層は本当に「大地の井戸」があった段差があるだけの空間だった。薬草が生えてない。キノコも生えてない。なんてさびしい所なんだ。

「あれ?奥に小さな通路がありますよぉ?」

エリナが祭壇っぽい段差の奥にある通路を発見した。塞がれていた入り口がヴェノムエクスプロージョンで開いたのかもしれない。

「もしや、第5階層があるのか!?」

それはそれで良い!未知の薬草やキノコがあればもっと良い。


通路はそんなに広いものではなかった。これではフェンリルに騎乗したままでは通れないくらいである。

「あっ!なんか風が吹いてきますよぉ!」

エリナの言うとおりに正面から風が吹いてくる。まさか・・・。

「光です!多分、地上の出口ですよっ!」

幻の第5階層はなかったか・・・。だが、どこに出るんだろうか。出口の上空にワイバーンで連れて行ってもらって位置を確認しておこう。エジンバラ領だったらやだな。

エリナとマジェスターが足早に出口に向かって行く。

「ねえ、シウバ。」

「何、ユーナ?」

「ここ、なんだか変。」


 それは何というか、空間の歪みだった。通路をまるで扉の枠のように囲っている。先に行った2人は気付いていないようだ。

「何だ?」

触ってみると、俺の指までもが歪む。だが、それだけだ。

「・・・何も起こらないね。」

「うん、何なんだろうね。」

結局分からなかった。先に行った2人を放っておくわけにもいかず、俺たちは出口へと急いだ。


「何、ここ!!?」

そこは見知らぬ土地だった。まず、生えている植物の中に知らない物が多い。あと、空が若干暗い。何か靄がかったようである。

「ユーナ!ワイバーンで上空に連れてってくれる?」

「いいよ!」

ユーナのワイバーンで空を飛ぶ。すると、見たこともない大地が広がっていた。

「まさか!」

こんな土地は見たことがない。太陽の位置からすると南に大きな山脈が広がっている。北には極寒と言ってもよさそうな氷の大地だ。東の先に海らしきものが見えた。西は山や草原が続いている。

「なんで、ヴァレンタイン大陸じゃないんだ!?」

「とにかく、2人の所にもどろうか!?」

「そ、そうだね!」


 戻ると2人が大型のオオカミに襲われているのが見えた。マジェスターがなんとかエリナをかばって奮戦している。

「オフェンスアップ!」

剣に魔力を込めてワイバーンから跳躍した。そしてそのまま首を切り落とす。

「シウバ様!」

「さすがぁ!」

こんなでかいオオカミの魔物は見たことがない。なんだこれは!?

「テンペストウルフ!?」

ワイバーンに乗ったユーナが叫んだ。これがあのテンペストウルフ!?

「という事は・・・ここは?」


「とにかく一旦「奈落」にもどろう!」

しかし、通路を進むとそこには行き止まりしかなかった。

「さっきの空間の歪みの部分か!?」

「もしかして、戻れない?」



 どうやら俺たちは西の魔大陸に飛ばされたらしい。


くっ、まさか「ワープ」の正式名称があんなに長い名前だとは!?不覚!!


しかし、ようやくここまでこじつけることができました。ついに「邪王」の物語がはじまります。

ここで第1部を終わらせてても良かったんですけどねー。


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