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4-1 魔法使いエリナ

前回までのあらすじ


「豚肉・・・。」

食欲の権化マジェスター=ノートリオ!彼の探求心は飽くことを知らない!

「フェンリル召喚!」

目的のためならば手段は厭わないマジェスター=ノートリオ!

「執事ですからっ!」

それが言いたいだけのマジェスター=ノートリオ!


彼の物語は続く!


章変わって、題名はもうマジェスターじゃないけどな!



 クラムたちの受理した依頼はマザースネークの頭部の納品だった。口から裂けてるけど、仕方ないので、血抜きだけしてこのまま持っていってもらう。エリナをエルライトの町まで連れていくのはマジェスターだ。ついでに生活雑貨と穀物を買ってきてもらおう。何個か集めていた魔石を渡した。

 一晩泣きはらしたエリナは昼過ぎまで眠っていた。起きたら全てがなかった事になっていたら良かったんだけど、そうはいかないのが現実だ。納品期限があるという事だった。クラムたちの最期の依頼は達成で終わらせてやりたい。昼過ぎていたが、2人を送り出した。フェンリルの鞍をちょっと改造して2人が寝てしまっても落ちないようにする。荷物は少な目で、マザースネークの頭と魔石、それと少量の携帯品だけにしてもらった。マジェスターのフェンリルはまだまだ力が足りないからな。

「そんじゃ、頼んだぞ。」

「お任せください。シウバ様もくれぐれもお気をつけて。」

確かに、どっちかと言うとここに1人残される俺の方が危険だ。・・・あんまり深く考えてなかったぜ。



 さて、2人がいなくなって落ち着いた。昨日は寝ずの番をしていたから疲れたな。だって朝方までエリナが泣いてるんだぜ?あんな修羅場?に入れるわけないだろう?そう考えるとマジェスターは女の子の扱い方が上手いのかもしれん。くそ、イケメンめ。爆発しろ。

「まずは、睡眠の事を考えよう。」

MP回復ポーションは作った物がある。ドーピング薬はあとちょっとしかないから使うわけにはいかないな。マジェスターが帰ってきたらプロトン草取りに行ってもらおうか。そして、1人で睡眠するためには見張りがいる。1番良いのはフェンリルだ。1日中召喚し続けられるかな?

「まあ、なんとかなるだろう。フェンリル召喚!おし、俺寝るから、見張りよろしく!」

『承知した。』

これで、大丈夫だろう。ここはちょっと入り組んだ所にあるし、念のためにMP回復ポーション飲んでおけば魔力の枯渇もせずに済むはずだ、計算上は。


 苦い薬を飲みほして、ようやく眠れる。昨日は堪えた。後悔もしたが、あれが彼らの選択だったし、どうすれば良かったのかが今でも分からん。彼らを尊重するべきだったし、彼らには死んでほしくなかったし。エリナだけでも助けられたのは良かったけど・・・。最初から俺らがついて行ったら、あいつらは生き残れたのか?最初のターゲットにされていたら、弱ったマザースネークじゃなかったら、俺やマジェスターがやられていてもおかしくなかった。それは本末転倒だ。どうすれば良かったんだ・・・?・・・分からな・・・い・・・。


 起きたら朝だった。あれから朝まで寝ていたのか?こんなに眠れるとは思っていなかったけど、フェンリルもちゃんと召喚できているし、よしとしようか。とりあえず、フェンリルお疲れ!

 さて、これから2日~4日は1人で過ごすことになりそうだ。やる事はいっぱいありそうだが、あまり外に出るのは得策ではないな。出るなら地上方面だけにしておこう。


 朝飯代わりに昨日の柑橘系果物が生っている場所へ行く。もぎたてを一つ皮剥いて食べると甘酸っぱくて旨かった。種が多いから食べにくいけどな。

 ちょっと元気がでた所で今日やるべき事を考える。昨日、レッドボアの群れを退治したから肉は十分だ。あとでベーコン焼いて食べよう。穀物もまだあるし、どうせマジェスターが買ってくるから食料の調達は不要だろう。探索は1人ではできないし、そうするとするべき事は生活環境の改善に絞られてくるな。

「ノーム召喚!」

 5匹のノームを召喚して周囲の薬草、香草、キノコなどの採取を行う。地上は地上で魔力多めのこの土地には資源が多い。薬草と香草は乾燥させておけば薬や調味料の原料となるから取っておいても損はない。時間がある時に採取しておこうか。

 テントの周囲の環境も整えられるものなら整えたいな。素材や薬もある程度多くなってきた。空の瓶も少ない事だし、マジェスターに言って買ってこさせれば良かったかな?でも荷物多いとあいつ動けなくなるし・・・。瓶はともかく、素材を入れる箱みたいなものが作れればいい。蔓を採取して籠を編もう。そうすれば収納スペースも増えるに違いない。今は地面にごろんと転ばしてるだけだもんな。


 ちょっと色々楽しくなってきた。昨日のどんよりした気分が嘘のようだ。籠を編みながら、薬の調合も並行して行う。人手が足りん、ノームよ手伝え。

 気がつくと10匹のノームが所狭しとテントの周囲を駆けまわっている。たくさんの薬の調合があっという間に終わっていくぜ。これはいい。きちんと命令してやれば簡単な作業はこなすからな。レイクサイド領でノームを農作業に使うって言ってたけど、他の作業もやらせればできるんじゃないか。俺、召喚騎士団めざそうかな?


 昼御飯はベーコンを焼いた。分厚く切ったから食べごたえがある。・・・しかし、パンが食べたいな。・・・焼くか?パンの素とかもマジェスターに買いに行かせるリストに入れておこう。本格的な竃を作ってしまってもいいかもしれん。パンが焼ければ作れる料理の幅は広がるぞ?まあ、どうせ素人が作るから硬いパンになってしまうだろうけど、ボアの肉を挟めば旨いはずだ。いかん、ここの生活に適応しすぎだ。まだ1か月たってないけど、居心地が良くなってきた。魔物の襲撃さえなければな。


 と、思ってるとやっぱり襲撃がある。今日はジャイアントスパイダー2匹にロックリザード1匹が襲ってきた。どちらもすでに俺の敵ではない。ジャイアントスパイダーはさんざん練習した関節への攻撃であっという間に倒すことができたし、ロックリザードも氷系破壊魔法で倒した。鉱石がどんどん貯まっていく。


 夜はフェンリルを召喚して寝た。徐々に魔力が増えているのか、MP回復ポーションはいらなくなっていた。これからもこのフェンリルの見張りを継続してMP総量をあげてもいいかもしれないな。


 3日後に、マジェスターではなく、他の冒険者パーティーがやってきた。ヒカリゴケの収集だそうだ。俺はヒカリゴケの他に何個かの素材を売って、代わりに金をもらう事にした。いつか帰る事を考えると荷物は少な目で、現金は重要な要素だ。素材がまだまだある事を伝えると、今は手持ちがないけれど欲しい物がたくさんあるからまた来ると言って冒険者たちは帰っていった。次来る時は空の瓶を持って来たら薬も調合してあげると約束した。・・・ここで店でも開くか?


 そうこうしているうちにマジェスターが帰ってきた。・・・後ろにエリナが乗っている。は?

「シウバ様!私もシウバ様にお仕えします!」

は?何を言ってるんだ?俺はただの冒険者だぞ?おい、マジェスター。それより買い込んできた品はどうした?2人乗りだったからあまり買い込めなかった?は?もういっぺん行って来いや。ついでにプロトン草取って来い。

「私もリヒテンブルグ家の再興に力を尽くします!」

いや、待って、俺、そんな事しないよ?ここで特訓しているただの冒険者よ?

「えっと、あのさ・・・。」

「お願いしますね!シウバ様!」

・・・。

「おい、マジェスター。」

「なんでございましょうか?」

「説明しろ。」

「はっ、私が説得いたしました。エリナはもうどこにも行く所がございません。でしたら、我らがリヒテンブルグ家の再興を手伝ってはどうかと。」

「エリナはBランクの冒険者だから、ギルドに戻れば仕事はあるだろ?」

「エリナもシウバ様について行くのを望んでおります。」

「シウバ様は私の命の恩人ですから!」

「ほら。」

ほら、じゃねーよ!うちはお前の面倒みるだけでもいっぱいいっぱいなんです!早く元いた場所にかえしてらっしゃい!

「・・・だめでしょうか?」

「う・・・うんとね。・・・ええと。・・・はい。」

「良かったな!エリナ!許可が出たぞ!」

「ありがとうございます!私、頑張りますね!」

「え?・・・あれ?・・・はあ。」

あれ?おかしいな、俺許可なんて出した?出したのか?そうなのか?ん?


 こうしてエリナが家臣に加わった・・・のか?



 生活雑貨が足りんので、マジェスターをもう一回エルライトの町に行かせる。帰りに大回りしてプロトン草も取ってくるように言ってあるから、今回も数日かかるだろう。

「その間は私がシウバ様をお守りしますね!」

なんか、逆になるような気がしないでもないけど、気のせいだろうか?まあ、しょうがない。捨て猫でも拾ったと思う事にしよう。

「まずは、エリナの寝床を確保しないとな。さすがに女の子が俺らと一緒じゃまずいだろう。」

ここにテントじゃなくて小屋でも建ててしまってもいいかな?

「私は構いませんよ?」

違う、そうじゃない。俺が気になるんだよ!DTなめんな!

「まあ、そういうわけにもいかん。こっちにスペースあるからまずはベッドを作る事から始めようか。」

「は~い!」

意外に元気だな。仲間が死んでしまって悲しい時だろうけど、前を向けるとは心の強い子だ。


 持ってきていた斧を持って地上へ出る。ここはほとんど森だ。樹はいくらでもある。何本か太さの同じような木を切り倒す。長さを揃えて洞窟の中へ運んだら、何本かをまとめて蔓で固定した。そしてその上に柔らかそうな草木をたくさん敷き詰めれば簡易ベッドの完成である。俺たちのベッドもこうやって作ったんだ。この上で寝袋を使って寝ればよい。

「すごーい!」

力仕事はマジェスターがやってくれてたから・・・、めっちゃしんどいな、これ。

「ま、まあね・・・げほっ。」

 今日は、汗を流して休もう。・・・あ、エリナの水浴の事も考えないと・・・。やる事いっぱいだな、おい。


 男だけの時は池から続く小川で全裸で水浴びしてたから問題なかった。裸族だろうが、気にする奴はいない。だけど、・・・女の子がパーティーに入るとこういう問題が出てくるよね。

「私は構いませんよ?」

違う、そうじゃない。俺が気になるんだよ!DTなめんな!というか、どういう意味だ!?

「うーん、大きな布の余りはないし、視界が隠せるものがあればいいんだけどな。」


 結局はマジェスターの寝袋をつかって視界を塞いでついでにフェンリルも召喚してやった。俺はめんどくさいからそのまま入ったけど、なんか視線を感じたような気もしないでもない。ほんと、気を遣う事ばっかりだな。この日はちょっと肉多めのシチューを作って2人で食べた。お腹いっぱいになって、寝る事にしたけど、エリナのベッドからはすすり泣きの声が聞こえてきたような気がする。明日も、旨い料理作ってあげようと思った・・・。



「シウバ様!おはようございます!」

・・・お前も朝に強いタイプか・・・。

「お、・・・おはよう。」

「朝食の準備ができてますよ!」

うう、ありがとう・・・。マジェスターと同じで朝食まで作ってくれたのか。朝弱い俺には非常に助かるぜ。どれ、起きるとしますか。

「・・・え?」


 そこにあったのは黒焦げの何かと、ぐちゃぐちゃに皮の剥かれた柑橘系果物だった。・・・まだ、果物あるだけマシかな。はよマジェスター帰って来い。


だいたいこういう風に話をもって行きたいなーと思う構想はあるんですけど、このまま行けば100話先くらい?・・・そこまで覚えてられるのか不安ですな。というかあと100話も続いてるのか?急いで書けば1か月くらい?

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