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3-3 襲撃者マジェスター=ノートリオ

あなたたち!良くここまで読んだわね!うちの人も狂喜乱舞してるわよ!たぶん。


まあ、ゆっくりしていきなさい。飴食べる?後書きでちょっとした発表もあるわよ。


あなたー!あなたー!また読者の方がお見えになってるわよー!


・・・おかしいわね。最近は調子良かったのに。


あなたー!何緊張してるのー!?え?徐々にユニークが減ってる?ならなおさら今の読者を大切になさいな!後書きで待機よ!ほら!急いで!


あら、ごめんなさいね!申し訳ないけど本編終わったら後書きに回ってくださる?




 「勇者」フラン=オーケストラ。あの人類最大の敵であったエレメント魔人国の魔王アルキメデス=オクタビアヌスを討ち取った大英雄である。もともとはSランク冒険者として名をはせ、魔大陸にまで依頼で行ったこともある世界最強のパーティーの1人でもあった。当時の二つ名は「鬼」。その苛烈な戦闘スタイルから名付けられたという。その後、一時は死んだとまで言われていたが、故郷のレイクサイド騎士団へと入団、数年のみ騎士団長を務め引退。しかし、ハルキ=レイクサイドが成人すると同時に復帰しレイクサイドの奇跡とともに表舞台へと舞い戻る。ハルキ=レイクサイドの懐刀として数々の武功を立て、エレメント魔人国の侵攻の際には魔王を討ち取る最大功労とともに「勇者」の称号を手に入れた。そんなおっかない人物だ。


「フランッ=オーケストラァァ!!!」

「まだ打ち込み方が甘いですね。ここなどはがら空きですよ。」

「ぐぼあぁ!!」

「出直して来るのですね。」

 あれから1週間。フランさんは護衛を兼ねて俺たちの依頼にもついてきた。特に手伝ってくれる事はなかったけど、彼がいるというだけで命の危険を感じないのはすごいありがたい事だった。

 レイクサイド領に思う所のあったマジェスターはフランさんへの襲撃を繰り返している。すでに昨日だけで4回だ。対するフランさんはまったく抜刀することもなくマジェスターを吹っ飛ばしている。世の中、上には上がいるものだ。

「はっ!そろそろシウバ様の御起床予定時刻!支度をせねば!」

お前のせいで今日は早起きだよ!朝っぱらから宿の庭で何してんの?

「執事たるもの主の起床時刻は常に把握しておかねばなりません。失格ですね。シウバ殿はすでに起きておいでですよ。」

フランさんが俺の部屋の窓を見ながらマジェスターに駄目出ししている。ハルキ=レイクサイドの執事とはさすがなもんだな。

「何ぃっ!」

マジェスターは相変わらずだ。優秀なんだかそうでないんだか分からん。そしてうるさい。

「おはようございます!シウバ様!今日は早起きですね!朝食の準備ができております!」

・・・朝食の準備をしてからフランさんを襲いに行ったのか。優秀なのか?んん、分からん。

「ああ、ありがとうございます。」


 そして階下で食事をとろうと思ったらすでにテーブルにはフランさんがいた。

「おはようございます、フランさん。」

「これはシウバ殿。おはようございます。」

「マジェスターが迷惑をかけているようですいません。」

「いえいえ、この程度軽い運動ですよ。」

Aランクの魔物が狩れるマジェスターが本気で襲って軽い運動か・・・。さすがすぎる。俺は絶対に敵対しない事にしよう。

「あぁ!貴様!畏れ多くもシウバ様と同じテーブルで朝食など!?」

「執事として!」

びくっとなるマジェスター、と俺。

「主の会話に割り込むなどとは、所詮3流か?」

「ぐぬぬぬ・・・。」

まあ、フランさんが正しいわな。

「それで、シウバ殿。」

「はい。」

「これから、どうされるおつもりで?」

きた。この返答を誤るとこの人は敵にもなりうる。だが、答えは決まっている。

「これからも冒険者を続けますよ。そのために、いろんな人に強くしてもらったんです。」

「ふぉっふぉっふぉ、そうですか。」

にっこりとほほ笑むフランさん。この答えで正しかったのだろうか?しかしそれ以外の返答なんて考えてねえよ。

「でしたら、レイクサイド領はあなたの事を排除する事はないでしょう。諜報部隊には私から言っておきます。というか、どこかで聞いているでしょうけどね。」

何ぃ!?すでにここにも魔の手が!?

「どちらにせよ、奥方様の性格上あなたを排除するという選択肢はないでしょうな。これでハルキ様も約束を守れる事になりますし、一件落着というところでしょうか。ただし、エジンバラ領の動きは知りませんよ?」

「ええ、ありがとうございます。」

俺は助かったのか?しかし最初から命の危機なんて実感していなかった。それはやっぱりフランさんが最初から俺を排除するつもりなんてなかったからだろう。


 しかしエジンバラ領の動きか。これはちょっと注意が必要だろう。すでにマジェスターが俺に接触できているために、他の人間が嗅ぎつけてこないとも限らない。

「フランさん、一つ、お願いがあります。」

「なんでしょうか?」

「俺はこれからほとぼりが覚めるまで姿を消そうと思います。俺にリヒテンブルグ家を再興させる意思がなくても、周囲の人間には関係ないという事は理解しました。」

「そうですか。」

「幸い、俺にはマジェスターがいます。当分姿を晦ましていても生きていけるでしょう。タイウィーン=エジンバラが亡くなるまで、そう時間はかからないのでは?」

「おっしゃるとおりですな。我々はもって数か月と踏んでおります。」

「ですから、だいたい1年。俺が町に姿を現さなければいいのではないでしょうか?マジェスターはいいか?俺はリヒテンブルグ家を再興させる気はない。お前の目的とは違う。ついて来なくてもいい。」

「いえ、私はシウバ様の執事でございます!たとえエジンバラ領でのリヒテンブルグ家の再興がならなくとも!シウバ様のお家を興すことができれば政変には興味ありませんな!」

「ほほう、3流以下のくせになかなかいい事を言う。」

「すまんな、マジェスター。これからお前をマジェスターと呼ぶぞ。」

「当然でございます!」

「そして、お願いというのは?」


「・・・えっと、あの、ユーナにありがとうって伝えてもらっていいですか?それに、強くなって戻るって。」



 上には上がいる。ここ数日、マジェスターの襲撃を苦も無くかわすフランさんを見て分かった。二つ名なんてもらって調子に乗ってちゃだめなんだ。まだまだ強くならないとユーナの・・・ごにょごにょ・・は務まらない・・・。



 山籠もりと特訓が決まった。少し前から考えていた事でもある。いつだって調子に乗っていい事なんてないんだ。それに、強さとか自信とかいうのは、努力した分しか積み重ねられない。たまに天才とかよばれている人がいるけれど、人に知られない所で努力をしている。ただ、その努力の仕方が違ったりおかしかったりすると、成果がでなくて、人を妬んだりする。昔の俺みたいに。つまり、努力の方向性を間違えないように、自分の立ち位置をしっかりと把握する事が重要なんじゃないかな?

「シウバ様!それで!どちらに潜伏しますか!?」

うん、場所は決めてある。


「「奈落」だ。」



 フランさんがレイクサイド領に帰って、俺はこのエルライトの町を離れる準備を始めた。受付おっさんや薬屋の師匠、宿の主人たちを始めとして、仲の良かった人たちに別れを告げる。次に会えるのは1年後かな?それとももっとかかるかもしれない。マジェスターには、定期的に「奈落」とこの町を往復してもらって物資の輸送を頼むつもりだ。2人で「奈落」なんて危険と思われるかもしれないが、なぜかあそこに引かれた。もちろん、町の人たちには目的地は告げていない。


「最近、少し穏やかになったかと思ってたところだったんだがな。」

受付のマスタングはさびしそうに言った。

「最初の討伐任務もできないようなヘタレの頃の方が性格は尖ってたような気がする。今じゃ、だいぶ落ち着いてる。どこに行っても大丈夫だろう。まあ、頼まれると断れない性格は最後まで治らんかったがな。」

よせ、泣くぞ?それにリヒテンブルグ家の再興は断ったんだ。俺にしちゃ上出来だ。

「お世話になりました。」

また、ここに帰って来るよ。


「お前がいなくなると薬草の入荷に金がかかる。」

「師匠、それ普通の事ですよ。」

薬屋の師匠は選別に薬の調合表をくれた。庶民にとって羊皮紙は高価だろうに。ありがたい。

「お前にはかなり儲けさせてもらった。このくらい何ともない。」

「また、マジェスターにでも薬草を持ってこさせます。」

「くだらん気を使うな。・・・元気でやれよ。」

「ありがとうございました。また、ほとぼりが冷めたら帰ってきます。」



 「奈落」までの移動はいつものようにフェンリルを使う事にした。しかし、約1年間の潜伏になるはずだ。それなりの準備をしていたら金はほとんどなくなった。荷物もなかりの量である。「奈落」までフェンリル2匹の召喚がもつであろうか?マジェスターは1匹しか召喚できないし、荷物はあまり持たせられないくらいに魔力の注ぎ方が足りない。いや、急いでも意味はない。どこかで1泊野営してゆっくりと行くとしよう。

 フェンリルに騎乗した2匹と荷物を持った1匹の合計3匹で移動だ。今後、マジェスターには「奈落」とエルライトの町の往復をしてもらわないといけないから、荷物を持っても大丈夫なように鍛えてもらう必要があるな。穀物がないと、食生活がひどい事になりそうだ。



「シウバ様、よろしかったんでしょうか?」

野営中に狩ってきたCランクの魔物であるブラックディアーを焼きながらマジェスターが聞いてきた。

「ん?なにがだ?」

「いえ、そのシウバ様にとって、ユーナ様という方は、その大切な方なのかと・・・。」

なんだ?こいつらしくない聞き方だな?

「ですので、その、本当はユーナ様の所に行きたかったのではないかと。」

まあ、それができればそうしたいよ。

「レイクサイド領をあまりよく思っていない私に気を使って・・・シウバ様はレイクサイド騎士団に入団したかったのをおやめになられたのでは、・・・と思いまして。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」


 その手があったか!!??


少し体調もいいので、評価とレビューくらいは受付可能にしたいと思います。(まあ、レビューはないでしょうけど)


おっしゃあ!!文1:ス1をくらう覚悟はできた!いつでもこいやぁ!


感想は・・・ちょっとまだ無理だと思う。

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