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3-1 筆頭家臣マジェスター=ノートリオ

前回までのあらすじ


時は「アイオライの治世」が始まって数年・・・。ここに1人の男がいた。

天才冒険者シウバ!

彼はその強靭な精神力と戦闘センスによってエルライト冒険者ギルドで一目置かれる存在であった。


「深紅の後継者」テトにライバルとまで言わしめた彼は、その卓越した技術で周囲の羨望の眼差しを受ける。


しかし運命はシウバに過酷な生き方を求めるのであった!


その出会いは必然、二人が惹かれあうのが当然。「疾風」ユーナという可憐な美女と出会いは2人に愛を育むだけの少しの時間しか与えてくれない。


引き裂かれる2人!その背後に暗躍する巨大組織!


「俺、ユーナと一緒に戦ってもいいかな?」

愛する人の剣を右手に、己の信念を左手に持ち、シウバは舞う。


これは後の「邪王」シウバ=リヒテンブルグの物語である。





「だいたい合ってる?」

「いや、全然。」


 レイクサイド領レイクサイド領主館。セーラ=レイクサイドはレイクサイド召喚騎士団第2部隊隊長ウォルターの報告を聞いていた。

「まさか、渦中の人物がユーナと行動を共にしていたとは・・・。」

「ええ、奥方様。完全に予想外でした。さすがに何が起こるかわかりませんでしたので、ユーナはその場で回収しましたけど、そのせいでふてくされてます。」

「よっぽど気に入ったんですかね?その方を。」

「かもしれません。失恋には新しい恋といいますから。」

「恋だったとしたら、少々やっかいですね。」

ため息が重なる。

「それで、旧リヒテンブルグ家の者にはまだ感づかれてないんですか?」

「まだ接触があったとの報告はありません。ですが、時間の問題でしょう。こうなったからにはむしろユーナに監視させても良かったかもしれませんね。」

「あの子にそれは無理です。嘘のつけない子ですから。」

「まあ・・・、そうですね。」

「ユーナに話を聞いてみます。その上で排除するかどうかは検討しましょう。この事はユーナはもちろん、テトにも内緒ですからね。」

「了解いたしました。」



「ついに、見つけた。」

 エルライト冒険者ギルド。その男は黒いローブに身を包み、まるで探し物をするかのようにあたりを見回していた。しかし、その動作は不自然ではなく、誰も彼に注目しようとはしない。よく見ればその身につけている装備も華美でないだけで質のいい物で統一されている。鞘が変わっているが、その剣は見るものが見ればエジンバラ騎士団の物だと分かったかもしれない。ただ、その男はそこの風景に溶け込んでいる。それは彼の目的のために。そして、その目的は達せられたらしい。



「あなた様が!!「剣舞」シウバ=リヒテンブルグ様!!ようやくお会いできました!!」

うぉ!なんだなんだ!誰だこの超絶イケメンは!?急に人の名前を呼びやがって!しかも、リヒテンブルグ?

「苦節1年!まさか、このような所で研鑽をお積みになられているとは!!いやはや私のように凡人には予想もつかない事でございますっ!!」

あぁ、なんだ?うるさすぎる?急に言われても意味分からん。

「しかし!私が来たからにはもう安心でございますっ!リヒテンブルグ家再興の時まで!命に代えてでもお守りすることを誓いましょう!」

「・・・ど、どちら様でしょうか?」

「これはっ!!?私としたことが、ついつい興奮しすぎて失礼をいたしました!!」

ばっと飛びのいて両手を前で組む臣下の礼をとるイケメン。姿勢が良すぎて様に成りすぎている。

「お初にお目にかかりますっ!私はマジェスター=ノートリオ。我がノートリオ家は代々リヒテンブルグ家の執事を務める家系にございます。」

「ノートリオ?」

マジェスターと言うのか?この男?それで俺に何の用だ?

「リヒテンブルグ家当主に仕えるのが我が使命!私はシウバ=リヒテンブルグ様にお仕えするために参りました。」

「ひ、・・・人違いです。」

「・・・。」

「・・・。」


 ちょっと整理しよう。リヒテンブルグ家。それはエジンバラ領における古くから伝わる名家である。エジンバラ家の外戚として権力を振るっていた時期もある貴族だ。

「ですので!お母さまであらせられるリリー=リヒテンブルグ様のお父様、つまりシウバ様のおじい様こそが当時の当主の弟、ソニック=リヒテンベルグ様であり、タイウィーン=エジンバラ様の従兄にあたる方です!権力争いに愛想を尽かされておられたためにわざわざ平民の生活をされておりましたが、ようやくお孫様であるシウバ様を見つけましたよ!」

 そう言えば、母親は没落貴族の娘だとか言う話を聞いたことがあるようなないような。権力争いが嫌で野に下っていたのか。

「さあっ!!私とともに、リヒテンブルグ家の再興をしようでありませんかっ!!そして憎きエジンバラ家への復讐を!」

そしてリヒテンブルグ家は断絶したと。権力争いに敗れたのかな?まあ、俺には関係のない話だ。

「お、お断りします。」

「なあっ!!?」

「えっ!?」

「なんて事をおっしゃるのですかぁ!?あなた様は伝統あるリヒテンブルグ家の唯一の血統をお持ちのお方!それを!!よろしいですか!リヒテンブルグ家とはもともと・・・・くどくど。」


 これが俺とマジェスターの出会いであった。



 結局、押し切られた形で変な家臣が1人ついてしまう事になった。でもリヒテンブルグ家の再興とか、まじでどうでもいいよ?俺、やらねえし。というか明日を生きるので精いっぱいだ。

「なんて思慮深い!自ら殺し合いの連鎖を断つことによって、新たな悲劇を回避しようとするお心!不肖マジェスターは感服いたしました!」

そして、こいつはよく分からん勘違いをしている。

「と言うより、マジェスターさんを養っていくなんて無理ですからね。」

「なんと!私の事はマジェスターと呼び捨てでお呼びください!そして私を養うなどと、シウバ様はお気にせずともよいのです!むしろ金策などは私が行いましょう!さあ、こんな安宿などは引き払って、あっちの高級そうな宿へ引っ越そうではありませんか!」

「え?・・・そんなお金ないし、俺はここでいいんだけど?愛着もあるしさ。」

なにせ、ユーナと一緒に泊まった宿だ。離れたくないさ。

「まさか!あえてこのような宿にお泊りになられていると!これは失礼を致しました!生活全てにおいて研鑽をつまれている最中という事ですな!」

いや、違うし。

「とにかく、俺はリヒテンブルグではありませんから。フェンリル召喚!よいしょっと。では、これで。」

「あぁぁ!!お待ちください!」

依頼されている薬草採取がある。今回はちょっと遠目の山の中だ。「奈落」近いところまで行かなきゃならん。こんな奴の相手などしてられるか。それに隣に立つな。イケメンのくせに。

「お待ちくだされぇぇぇぇぇえええええ!!!」

めっちゃ足速いな、あの人。でも、さすがにフェンリルにはかなうまい。

「引き離せ!」

『承知した!』

今日もフェンリルは速いな!



 ついでに「奈落」まで足を延ばしてレドン草とヒカリダケを採取してきたから1泊が必要だった。「奈落」ではあれ以上進めばシルバーファングが出てきそうだったためにそこまで奥に進んだわけではない。最初の広場にあった池の先のレドン草を採取してすぐに出てきた。もし、シルバーファングが出てきてもまだ倒せないんじゃないかと思う。せいぜい、幻覚魔法も駆使して足止めしてから逃走するくらいかな?魔物の嫌う臭いの薬瓶を一つ作っておいたので、試しても良かったんだけど。


「見つけましたぞぉ!!」

まじか、まだいたのか、こいつ。師匠の所を経由してから、冒険者ギルドで残りの薬草を卸しているとマジェスターに絡まれてしまった。

「不肖マジェスター=ノートリオ、まさか主の移動速度についていけないとは修行が足りませんでした!ですが!私はこれでもシウバ様の筆頭家臣でございます!次からは!必ずお供することを誓いましょうぞ!!」

「い、いや、いいです。助けて、受付の人!」

「俺を巻き込まんでくれ。」


 そして、マジェスターはなんとフェンリル召喚ができるようになっていた。これ以降、マジェスターは俺に付きまとい何かと世話を焼くようになるのだが・・・。こいつはかなりの問題児だった・・・。え?見ればすぐに分かるって?



さあて!いつものおバカな話が加速しますぜ!お待たせいたしやした!


え?すでに話はおバカな感じだったって?・・・そんな馬鹿な!?

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