1-1 冒険者シウバ
ひっそりと!!!
もともとここには前作読んでなかったら回れ右って内容を書いてたんですけどね。特に前作「転生召喚士はメンタルが弱いんです。」を終えたころにはオレオのメンタルもやばい事になってて。「もう知るかー!!」ってビール飲んでた時期ですわ。日刊総合2位だったのにね。
さて、初めての方は初めまして。オレオと言います。この作品は「転生召喚士はメンタルが弱いんです。」という作品の続編です。そのうち、タイトルも変更を考えてますけど、今はこのままで。
そしてすでにオレオを追っかけ初めて長い人はこんにちばんわ。いつもお世話になってます。
読んでない人はできたら前回をお読みになってからここに帰ってきていただけるとニヤニヤできる話が増えるのではないかと思いますので、さあ、ブックマークしといてからオレオのマイページ経由で飛んでみてはいかがでしょうか?え?ブックマークは前作読んで面白かったら?・・・オレオの作品が読者にあう事を期待しています。
書籍化前は「冒険者は押しに弱いんです。」のタイトルでやってました。ペンネームも「オレオ」だったので、茶番の一人称がオレオのままのこともありますがご了承ください。
ヴァレンタイン大陸。約1万年前に発生した魔物たちによって駆逐された人類はこの魔力の少ない地に逃げ込んだ。その後、亜人、獣人、魔人などが誕生したが、人類はこのヴァレンタイン大陸で一つの王国を築き上げて生存していた。
数年前まで、人類は魔人族と戦争を行っていた。だが、現在は不可侵条約や同盟を結び、平和な時代が訪れている。この平和な時代は、時の王の名前を取り、「アイオライの治世」と呼ばれている。その立役者たちの逸話は数々あるが、なかでも大召喚士と呼ばれる地方領主がこの治世の最大の功労者であろう。
この定期的に魔物が発生する世界で、その討伐を主な仕事としている職業があった。世間はそれを「冒険者」と呼んだ。
俺の名前はシウバ。このエルライト領の冒険者だ。しかも駆け出しのFランクだ。文句あるか!? 今日も薬草採取の依頼を達成して冒険者ギルドに来たところである。
「おうよ、今日も薬草採取ご苦労さん。依頼料だ、ほれ」
このエルライト冒険者ギルドは受付が嬢ではなくておっさんなのが伝統だという。そんな伝統いらねえよ!
「銅貨4枚か……」
安宿に泊まって、ほんの少しの飯を食えば蒸発するか溶けるかする金額である。しかし、そんな金額で俺の明日はできている。なんて安いんだ、俺!
「そろそろ討伐任務もしろよ。ゴブリンとかどうだ?ん?」
無理だ。俺、武器持ってねえもん。なんで冒険者やってるって? そんなのはあれだ! 他に仕事がねえんだよ! 仕方ねえじゃねえか!
「そのうち頑張ります」
ギルドを出て、宿へと向かう。宿の客室に入ると、帰りに買った硬いパンをほおばりながら、夕日を眺めた。まずい。
「明日も薬草採取だな。腹減った」
パンは硬かったが、あっという間になくなった。
「……ん?」
向かいの店の路地裏に光るものが見える。
「もしや! 硬貨か!?」
あわてて宿を出る。もしあれが銅貨ならばあの屋台でホワイトボアの焼き串が買える!
「待ってろ、俺の銅貨ちゃぁん!」
あった! 銅貨ちゃんだ! ……うわっぷ!
「あ、ごめんなさい!ええと、怪我はない?」
おおっと、若いがいい鎧をきた騎士様にぶつかってしまった。尻もちをついている俺に手を差し伸べてくれている。
「あっ、えっと。大丈夫です。すいません」
「それは良かった……あっ、そうだ。ええと、それじゃ僕はこれで!」
あっという間に駆けていってしまったぞ。急いでたのかな? まあいいや、それでは俺の銅貨ちゃぁん! ……どわっぷ!
「あぁ! ごめんなさい! ごめんなさいついでに、こっちに若い騎士がこなかったかしら!?」
今度は美人の騎士様だ。さっきの騎士様と同じ鎧をつけているぞ。
「えぇっと、さっきの人ならあっちのほうに走っていきましたけど……」
「なんですって!? もう見えないじゃないの!仕方ない!出でよワイバーン!」
いきなりワイバーンを召喚する騎士様。こんなに近くではじめてみた!……風がすげえ!
「テトちゃーん!どこなのー!?」
ワイバーン召喚する騎士様……テトちゃん?それってもしかしてレイクサイド召喚騎士団第4部隊隊長「深紅の後継者」テトのことか? ……まあいいや、そんなことより銅貨ちゃんだ……。……もしかしてさっきの風でどっかに飛んでったのかな?
結局銅貨は見つからなかった……。さらば俺の焼き串。また会う日まで。
「これは地味にこつこつ働けってことなのかな?」
地味に働けとは両親の言葉だった。地味にこつこつ働けば、それは自分を裏切らないと。でも、農家をしていた両親はこの前に発生したエジンバラ領の魔物大量発生で死んじまった。その前もレイクサイドから流れてくる大量で旨い農作物のせいで生活は厳しかった。地味にこつこつ働いてたのにな。……でも。
「明日も、薬草採取頑張るか」
それにしても腹減った。
宿の1階に入るとさっきの若い騎士が飯を食ってた。隣には帽子をかぶった超可愛い女の子が座ってる。鎧はつけてないようだ。あんなもんつけてこんな安宿にとまってたら目立って仕方ねえもんな。
「あ、さっきの」
向こうも気付いたようだ。しかし、隣の女の子は超絶可愛いな、こんちくせう。
「さっきはごめんね。大丈夫だった?」
「えっと、はい。大丈夫です」
「ご主人様、こちらの方がさっきぶつかったって人ですか?」
ご主人様!? なんてこった!どういうことだ! 世の中不公平だ!
「そうだよ、リリス。君のせいでよそ見してたからね」
「それだけ私が魅力的だったってことですね?」
「ちがう」
ぐぬぬぬ。理不尽だ! なんでこんな可愛い子と! 俺と代われ!
「僕はテト、君は?」
「えっと、シウバです」
年下なんだろうけど! なんで俺が敬語でお前がため口なんだろうか。……テト? ん?
「もしかして、「深紅の後継者」の?」
「その二つ名は僕の誇りなんだ。でも、ばれると騒ぎになるから黙っててね」
まじか!? やっぱりレイクサイド召喚騎士団第4部隊隊長「深紅の後継者」テトか!?
「シウバ。お詫びに一杯おごらせてよ。リリスはご飯食べないからいつも余っちゃうんでよかったら食べて」
「あっ、はい。ありがとうございます」
うおしゃあああ!! まじか!? なんていい方なんだ! 尊敬します!さすがです!
「……僕は騎士団には極秘でこっちに来てたんだけど、部下のレイラって人に見つかっちゃってね。撒くの大変だったよ」
「ええと、それでこちらでは何を探してるんでしょうか?」
「ダイヤモンドリザードだよ」
ダイヤモンドリザード。ランクはCの魔物ではあるが、遭遇率が異様に低い。なにかしらの条件が必要とも言われている。
「それはまた希少な魔物ですね」
「うちの騎士団員にね、ヨーレンって人がいて、魔物にすっごい詳しいんだけど」
ヨーレン?どっかで聞いたな。
「ダイヤモンドリザードの出現条件が分かるかもしれないって言うからさ」
ああ、「神と髪に見放されし男」ヨーレンか。ある意味有名人だな。
「そうだ!シウバも冒険者なんでしょ?」
「ええ、そうですけど」
ランクはF。ダイヤモンドリザードどころか、ゴブリンですら狩れねえよ。武器ねえもん。
「リリスと2人じゃ大変だから、シウバも手伝ってくれない?」
「ご主人様、私はご主人様と二人きりがいいです」
爆発しろ。
「僕はいやだ。シウバ、報酬は払うからさ!」
「やらせていただきます!」
「よし!決まり!」
「シウバ、武器は?」
「ええと、この前失くしてしまって。今は薬草採取でなんとか食いつないでいるんですが」
これは嘘だ。最初から武器はない。
「じゃ、これ貸してあげるよ」
ミスリルソードぉぉぉぉ!! なんてこった!触れる日がくるなんて!
「あとで返してね!」
俺の命がいくつあっても弁償できねえよ! 絶対に返すわ! レイクサイド召喚騎士団を敵には回したくないからな!
こうして俺は「深紅の後継者」テトとともにダイヤモンドリザードの討伐なんてランク外の任務につくことになったのである。
以前はブックマーク自制運動してました。感想欄で叩かれるのが苦手だったんで。でも、もう大丈夫。頑張って読みます。どしどし書き込んじゃってくださいな!