最初の犠牲者
あれからどれぐらいの時間が過ぎたのだろうか?
1人目の死亡者、田嶋陸斗はこの世にはいない。
今この場にいるのは俺と空華、そしてデルタ。
陸斗を撃ったデルタはその後、銃をシャッフルして机の中心に置いた。
ただ一言、『ゲームスタート』と言って。
空華も俺も一言も話さない。話せない。
沈黙をすることしかできなかった。それぐらい衝撃的だったのだから。
目的、理由、意味、
その全てが謎だった。
いや、解決する方法はあったのかもしれない。
田嶋陸斗
彼は何かを知っていた。このゲームのことも、このゲームの目的も、、、
しかし、それも不可能になっている。
今できることと言ったら、目の前の銃を頭に向けて引き金を引くことぐらい。それがこのゲームなのだから。
空華を横目で見る。彼は下を向き表情を見ることは出来ない。
今なら銃を手に取ることができるのではないのか?
このゲームはただのロシアンルーレットではない。
違うのは三つ。
一つ目は、順番は決まっていないこと
二つ目は、33分の1ということ
三つ目は、2回目からは1つ前の撃った数を超えなければいけないこと
俺が今1発撃つだけで、空華に対してプレッシャーをかけれる。
今まで見てきた彼の様子からして小心者のように見える。
どちらかは絶対に死ななければいけない。今日初めて出会った空華を助けようとは思えない。そこまでの優しさを持つことは出来ない。
それが出来るのは少年漫画の主人公ぐらいだろう。
残念ながら今は現実。フィクションではない。
俺は悪くない、、、悪くない、、不可抗力なんだ。
目の前の銃を手に取る。
空華もそれに気づいて驚きの目を見せたが、すぐに何かを考え出した。
それを横目で見ながら頭に銃口を向ける。
1発。ただ1発でいい。
指に力を入れる。震える指を。
「ま、待ってください!」
「っ⁉︎」
空華の声に驚き銃を机に投げてしまった。
投げ捨てられた銃は目の前に転がり、銃口をこちらに向けていた。
「さ、さささっきの見ていなかったんですか⁉︎」
「さっきのって?33弾の内、1発目で銃弾が出たことか?」
「そ、それもです」
「それ“も”?」
空華の言っていることは分からないが、多分陸斗を撃った時のことだと思う。
「さっきのは偶然で、今回も1発目とは限らないはずだけど、、、」
「いえ、偶然なんかじゃない、、、、と思う?」
そして、空華は空華なりの考えを伝える。
「机を撃つ前も、陸斗さんを撃つ前もデルタは弾丸をシャッフルしていました。すなわち、2回ともシャッフルした上の1発目だったんですよ、、、、、多分」
「それはつまり?」
「2回ともシャッフルしているフリをして1発目に弾丸が出るように細工をしたんだと思います。デルタはそれが出来るから、陸斗さんを撃つ前も堂々としていた。だから目の前にあるこの銃の1発目には、、、、」
「弾が込められている?」
もし、それが本当なら話が変わってくる。
この最初の1発目をいかにして相手に撃たせるかに変わってくる。
空華の話を信じるならば、、、、




