絶望的なゲームは始まっている
デルタの手には銃口から煙を出す銃を持っている。
そして、机の中心には穴の空いたルールの紙。
『何か文句はありますか?海里様、空華様』
言葉が出なかった。
その静寂の中、デルタは銃に弾を一つ入れてシャッフルしていた。
カラカラとなる音。
それだけが響いていた。
そして、その音が止むとまた静寂が場を支配する。
「、、、、、悪を選ぶゲーム」
「え?」
陸斗が何かに気がついたらしく呟く。
「なるほどな、、、そういうことか」
デルタの方を向き陸斗は続ける。
「デルタ。お前の目的、いや、この計画のことは知っているぞ。違うな、お前のことも知っているはずだ。その喋り方、、、、お前は」
『陸斗様。少々お喋りが過ぎるんではありませんか?』
再び銃口を上げるデルタ。今度は机ではなく陸斗の頭に向ける。
「この計画上では、お前が俺を殺すのは違反ではないのか?」
『いえ、私はこのゲームのディーラー。私がルールです』
銃口を下げずにデルタは話す。
「ちょっと、陸斗さん⁉︎意味は分かりませんが、挑発したら危ない!」
話の内容は分からない。この2人に何があるのかもわからない。でも、このままでは危ないのは見ていてわかった。
「大丈夫だ。この銃は先ほど1発の弾丸を入れてシャッフルをしている。33分の1でしか発射されない」
確かにシャッフルはしていた。
でも、それでも危険なのは変わりない。
「ほら、デルタ。お前には俺を撃てない。だからな、俺をここからだしな。新たな人員なんてすぐに入れてやるよ」
『、、、、、ありがとうございます。陸斗様』
そう言ってデルタは指に力を入れる。
『貴方様が最初の犠牲者です』
そう言って引き金を引いた。