表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/11

5  「今日は記念日だよね?」

5 「今日は記念日だよね?」


始発のバスに揺られもう30分。未だに目的地は分からない。

全てを知っているのは、一樹のみ。もういい加減教えてくれないかな?と思い、意を決して一樹にデートプランを聞く。

「ねえ、もう教えてよ、今日のデートプランを!」

一樹は少し困惑していたが

「仕方ねえな」

とやや上から目線で

「今日はな、定番のデートスポットに行くぞ。ここはまだ鳥取だがこの近くに恋愛の神様を祀っている神社があるらしい。そこに行ったカップルは幸せになれる。と評判の場所だって。楽しみにな、それから今日の夜は別のレストランを予約しておいたから」

私の気持ちは一気に高くなる。

「私と・・・一樹くんがこれ以上幸せになれるの!?」

涼香が嬉しそうに呟く。

(もし、このまま一樹くんと結婚になったら・・・・まずは25歳までに結婚、そして子供は2人、日本一の幸せな家庭を作りたーーーーい)

心の中で思っていると

「おい、降りるぞ」

一樹に言われ私はバスを降りる。しかし

「え?」

私は目を疑った。そこは見渡す限りの山奥で本当に神社があるの??みたいな雰囲気。

よくこんな所までバスが来るよね?と思うほどの山奥。当然家や民家も無く、畑も無い。

「本当にここで大丈夫?」

私は不安になるが

「安心しろ、この先をすぐだ」

という言葉を信じることしか出来なかった。

しばらく道を進むこと10分。ようやく神社らしき建物が見えてきた。すると驚いたことになんとそこにはたくさんの人がいた。

少なくとも10人はいるだろう。

「え?すごい人多いね、こんな山奥まで」

「ああ、そうだな。以前テレビで紹介されてたからな」

私は神社の雰囲気よりも人の多さに驚いていた。


参拝も終わり、境内の物産店でお揃いのお守りを購入した。

涼香は可愛らしい絵がついた水色の恋愛成就のお守り。

そして一樹は涼香の色違いで赤色のお守りを購入。

「これでいつまでも俺たちは一緒な!」

「うん、そうだね!一樹!!」



その後バスで初めに待ち合わせした駅まで戻ってきた。

時間はまだ午後2時だ、予想以上に神社で時間を潰してしまった、と後悔した。

しかしデートはまだこれからだ。

2人は時間が経つのも忘れるくらい初のデートを思う存分楽しんだ。

カラオケ、ショッピング、映画館などとにかく2人が楽しめるプランを用意していた一樹に感謝する涼香。

楽しい時間もあっという間に過ぎついに最後の時が来てしまった。

「じゃあ最後はあそこだ。あそこに行こう」

と一樹が指をさしたのはこの街で1番高いビルの最上階、県内で1、2を争うくらいの名店だった。主に国産の和牛をメインとしたステーキを中心としている専門店だ。涼香も顎がれてはいたがとても手が出る金額では無かった。

「え?あんなに高い所に・・・??私ああまりお金が・・・」

予想外の出来事になり急にお金の心配をする涼香。

「大丈夫だ。安心しろ、今日は初デートの記念日だろ。俺が払ってやるよ」

と言い自分のカバンからサッと財布を取り出しドヤ顔で決める。

「フッ!」

少し上からでウザイ点もあるがそんな一面も含めて涼香は一樹をますます好きになった。

そしてそのまま2人でビルの中に入る。

そこのビルは13階建てで1~10階が住居。11~13階が主にレストランとして営業している。エレベーターで一気に最上階の13階まで上がる。その間涼香は料理のことで頭がいっぱいになっていた。

『『13階です』』

エレベーターのドアが開く。

「うわあ~~」

ドアが開いた瞬間思わず歓声を上げた。

そこは見るからに高級な感じで全体的におしゃれで都会の高級店と見間違えるほどだ。

私たち以外にも数組のお客がいたが学生、それもカップルは俺たちだけみたいだ。

「いらっしゃいませ」

店の奥から定員が出てくる。

「予約していませんが2名。大丈夫でしょうか?」

本当は別の店に行く予定だったが朝のような感じになってしまったので急遽ここに決めた。

「はい、大丈夫ですよ。ではこちらへどうぞ」

入口からほぼ近い席に案内された私たち。そこにはたくさんのメニューは無く、松コース、竹コース、梅コースの3つから選ぶものだった。

当然一樹は

「松コースを2人分!」とカッコよく?決め再びドヤ顔。

私は何も言えないまま料理が来るのをひたすら待つ。

するとその時、一樹が

「ごめん。俺トイレ」

と言い席を外した。

誰もいなくなった席で涼香はふと値段表に目をやった。

「ぎょ!」

驚きのあまり変な声をだしてしまった。

「た、たっかい!」

なんとその値段表には

{梅コース 1人8500円 竹コース 1人 12000円 松コース 1人 18000円}

「だ、大丈夫かな?私今6800円しか持って無い。でも一樹くんがだしてくれるとも言ってくれたしな。でも18000円ってそれが2人で36000円!!!!」

思っていた以上に高額だったため現実が受け止められない涼香のもとへ

「ごめん、お待たせ。」

一樹がトイレから帰って来た。

その直後

「お待たせしました。松コース2人前でございます。それではごゆっくりどうぞ」

はっきり言って私には松竹梅のコースにどれがどう違うのか全然分からないがとにかく高級だ、ということはすぐに分かった。

「おお、やっと来た。」

さすがは松コース。他コースの倍近くあるこの大きな肉!

一樹は思い切りかぶりつく。

涼香はナイフを使いながら細かく切っていく。

「すげーうまい!やっべえぞ!」

「私も、こんなおいしいもの始めて食べた。本当にありがとうね」

2人は記念すべき初デートを楽しむ。そして食事も終盤に近づいてきた頃、おもむろに

一樹が立ち上がり

「すいません、店員さん。お願いします」

「??」

私には意味が分からなかった。

すると店員さんが大きなプロジェクターを持ってきて涼香の席の前にセットする。

「え??何?何が始まるの?一樹くん」

意味が理解出来ないまま

「まあもう少し待ってろ」

しばらくすると定員さんがスイッチを入れる。

すると店内も暗くなり照明が落とされた。

「!?」

プロジェクターと一緒にセットされたモニターにカウントダウンが表示される。

30、29、28、27・・・・

徐々に下がって行く数字。

「え?マジで・・・何?」

そして

3、2、1、0!

0になった瞬間、一樹と多くの店員さんがクラッカーを鳴らす。

「涼香!誕生日おめでとう!!」

(えーーーーーーーーー)

私は普通にびっくりした。

「な、な、何で??」

涼香が驚いている中、一樹は冷静に

「だって、今日は何の日か知ってるか?」

「え?え?初デート?」

私は一樹が何を言っているのか分からなかった。

「ああ、そうだ今日は俺たちの初デート記念日でもあるけど、もう1つ。今日はお前の誕生日だろ?」

「あ・・・・」

私はすっかりデートのことしか頭になくて今日が自分の誕生日だと言うことを完全に忘れていた。

「え?でも何で一樹くん私の誕生日知っているの?まだ私誰にも言っていないのに」

「そんなことお前の友達から聞いたよ。彼氏としてお前の誕生日を祝いたかったからな。だから今日が涼香の誕生日と言うことを聞かされて初デートを兼ねてお前の誕生日を祝いたかった。そして店員さんにも協力してもらってお前のサプライズ誕生日PARTYを。サプライズ大成功」

店員さんはもちろん偶然居合わせた数人のお客さんも涼香の誕生日を拍手でお祝いする。

「一樹・・・くん。ありがとう」

私は感謝の言葉しか出なかった。

そして店員やお客さんにも感謝の気持ちを伝える。

「皆さん、本当にありがとうございます。こんな素敵な誕生日は始めてです。本当にありがとうございます」

そして私は嬉しさのあまり涙が出た。

「一樹くん・・・・」

「その素敵な涙顔も可愛いよ。・・・・あ、そうだ」

一樹は自分のカバンから1つの包を出す。

「これ、誕生日プレゼント。お前が前から欲しがっていた物だよ」

既に感動しているがさらにサプライズが続く。

「え?」

私はその包みを受け取る。

「開けてみな」

丁寧に包紙を開けるとそこには・・・

「こ、これ......」

その中には白くて綺麗な可愛らしい真っ白な腕時計が入っていた。

「お前が少し前に欲しいと言っていた腕時計だ。おめでとう」

その時計の中央にはK&Rと文字が入っていた。

Kは一樹、Rは涼香 本当に世界で1つしか無いオリジナル時計だ。

一樹が説明をしていると涼香は突然顔を伏せてその場で泣き崩れた。

「こんなに素敵なサプライズ始めてだよ。私は昔から本当に・・こんなに素敵で最高な誕生日は始めてだよ。高級そうなお店、そしてこんな素晴らしい素敵な時計とか・・・・もう私何をお返しすればいいか分からない。でも本当に嬉しいよ。ありがとう本当に。一生大切にするよ」

一樹は涼香に近づき背中から抱き、

「俺も、喜んでもらえて嬉しいよ。お返しなんか全然気にしなくていいよ。しかも俺の誕生日は8月だしまだまだ先だよ。でも本当に喜んでもらえて良かった。これからもよろしくな。涼香」

涼香は感動のあまりまともに話せなくなっていた。


その後しばらくして2人は楽しい場所をすごした店をあとにする。

「本当に今日はありがとうございました。」

涼香は店員さんたちにもう1度頭を下げ店を出る。帰りのエレベーターの中で

「ねえ一樹くん。一樹くんは今何か欲しいものあるの?」

涼香はもう一樹の誕プレを買うことで頭がいっぱいだ。

「俺か?おれはそんなに欲しいもんとかねーよ。まあでも強いて欲しいものと言うならアイドルグッズかな?」

「え!」

涼香は始めて聞かれるが一樹は熱狂的なアイドルファンだった。

「そ、そうなの?一樹くんがアイドル好きとか始めて知った~」

「そ、そうか?あれ?言ってなかったっけ?」

「え?どんなアイドルが好きなの?」

「それはいろいろだよ。でも今好きなアイドルはAK・・・」

その時エレベーターが1階に着きドアが開く。

玄関ホールを抜け外に出る。

既に外は真っ暗だ。私は帰る手段がなく途方にくれていた。

すると一樹くんが

「俺が家まで送ってやるよ。」

なんと一樹が歩いて涼香の家まで送ってくれると言い出した。

「え?でも・・・・」

「大丈夫、俺が守ってやるから!さあ行くぞ」

言われるがまま本当に家まで送ってくれた。

涼香の家の数メートル先まで送ってくれた一樹くん。

(何て優しいのだろう)

「じゃあこの先は大丈夫だよね?じゃあな。また!」

「うん、今日は本当にいろいろありがとう。またLINEするね、バイバイ!」

「おう、またな!」

涼香は心から一樹に感謝をし、そのまま家に帰る。

今日1日の疲れをゆっくりと癒すためいつもより長くお風呂に入る。

「一樹くんって本当にいい人だな。」

いつもより長い風呂を楽しんだあとは自分の部屋に入り今日一樹からもらった腕時計をつけてみる。

「かわいー」

あの時はよく見えなかったが腕時計のベルトの部分には可愛らしい動物がプリントアウトされていた。

「本当にありがとう!」

改めて感謝を伝える涼香のもとに

『ピロリーン』

LINEの通知が来た。

「一樹くんかな?」

期待を寄せて見てみたらそれは同じクラスの元リーダー女子である麻里だった。

麻里から送られてきたメッセージを見て愕然(がくぜん)とした。

来たメッセージは

『今一樹くんと一緒にいまーす。マジで楽しい!』


「!!!!!!!!!!!!!!!!」

私は今日1番の衝撃を受けた。

「ま、まさかの一樹くんが二股!?」

私は麻里から送られてきた画面をじっと見つめどうすることも出来なかった。

「か、一樹・・・くん・・・」



~第6章に続く~


さあ、物語もいよいよ中盤!

感動の後で一樹くんが二股!?


2人の未来はどうなってしまうのか!?

是非第6章からも応援よろしくお願いします。


そして感想、レビュー、評価などもよろしくお願いします!m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ