花火
花火は送り火だって知らなかった
世の中のことは知らないことだらけ
自分の世界しか分からない
あなたが死ぬ必要はなかった
あなたの生きる道はあったはずと
どんなに願っても
あなたの心の中に
あなたの生きる道はなかった
苦しくて
毎日毎日
苦しくて
唯一の道が
死ぬことだったんだね
今
そう思える
あの春の日から
毎日毎日
苦しくて
唯一の道は
あなたが側にいくことしかないと思う
でも
私が楽になることは
家族を今以上に苦しめること
そう思って
空を見上げると
花火大会の花火が
いろとりどりに
空を
染める
花火はお盆の
送り火と同じだって
テレビが言ってた
あなたを
思い出しながら
あなたが
側にいないと
思い出して
あなたと
見上げた花火を
思い出して
花火から目をそらして
空を見上げると
夏の通り雨のあと
降るような星空だった
とても
綺麗な星空が広がっていた
ああ
春からずっと
一度も
空を見ていなかった
その前から
ずっと
忙しい
忙しいとずっと
空を見ていなかった
星空だけじゃなくて
きっと
忙しい
忙しいとずっと
あなたと向き合っていなかった
ごめんね
ごめんね
あなたの生きる道
一緒に見つけてあげられなかった
許してもらえないと思うけど
あなたがあの日から
2年間耐えたように
これから
お母さんも
耐えていくよ
ごめんね
ごめんね
これから
どんなに苦しくても
あなたと
向き合っていくから