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チート四人組、学校へ行く……からの婿決定戦(副題:どうしてこうなった?)  作者:


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任命

 突然、ツンデレ娘となった土地神の姿に、隠れ里の人々は自分の頬をつねったり、顔を叩いたりした。


 これが夢ではないことを確認しているのだ。


 土地神は長年に渡り信仰をされ、敬意と畏怖の対象であった。そんな土地神が流行りのツンデレ娘であったなど、たとえ地球が爆発しても認めたくない事実である。

 だが、どんなに頬をつねろうが、顔を叩こうが痛いものは痛く、現実であることを教えている。そのうち現実を直視したくない大人たちが、殴り合い気絶をすることで現実から逃避することを始めた。


 そんな混沌カオスへの道を突き進みだした道場内で、紫依はそれらを綺麗に無視して、少し困ったように微笑みながら土地神に言った。


「幼い頃より見守り、話し相手になって下さった土地神様にそこまで言われては断れませんね。わかりました。長となるお話、お受けいたします」


 紫依の答えに土地神は満面の笑みを作る。


『うむ。たまには顔を見せに、この童たちと一緒に来たれよ。また面白いことが起きそうじゃ』


「面白いことが起きるかは分かりませんが、また来ます」


 土地神は今までの態度を消すと、神らしく神々しい雰囲気をまとった。その気配に殴り合っていた人たちの動きが止まる。

 そして、あるべき姿に戻った土地神を見て歓喜の涙を目にためた。それから、先ほど見たツンデレ娘の土地神については、全員が素早く記憶から抹消した。


 土地神が真剣な眼差しで紫依に右手をかざす。


『では、紫依。そなたを第三十三代目、龍神家当主にて長に任命する』


 その言葉に応えるように、紫依が片膝を床について頭を下げる。そして、殴り合いによって顔の形が変わってしまった人たちも片膝を床につけて頭を下げた。


「承知いたしました。紫依・シェアード・龍神。不肖ながらも、龍神家をまとめさせて頂きます」


『うむ。そして長の代理は紬とする。その次の代理は勝手に決めよ。では、さらばじゃ』


 そう言うと土地神は笑顔を残して去って行った。


土地神が抜けて紬の体が倒れかける。


「大丈夫ですか?」


 紬の体が床に叩きつけられる前に紫依が支える。


「大丈夫ですよ。一人で立てますから」


 自分の足で立ち上がった紬を見ながらオーブが拍子抜けしたように言った。


「なんか、あっさりしていたな。もっと仰々しい引き継ぎの儀式とかあるのかと思っていたのに」


 少し疲れた表情をしている紬が説明をする。


「長の引き継ぎの儀式などはありません。そもそも土地神様に任命されることの方がまれですから」


「え?長って土地神の許可制じゃないの?」


「はい」


「じゃあ、土地神が気に入らない人が長になった場合は、どうなるんだ?」


「それは……」


 言いよどむ紬に代わって伊織がにこやかな笑顔で言った。


「次の長に交代するまで姿を現しません。そして次の長も土地神様が気に入らなければ姿を見せません。それで最長、百年ほど姿を現さなかったという記録が残っています。その百年の間は龍神家の力も弱まり、日本国内は天変地異などで荒れて大変だったそうです」


「それだけ土地神の影響力が強いってことか」


「はい」


「じゃあ、その土地神が任命したってことは、長の件はこれで決着がついたってことでいいんだな?」


「そうなりますね」


 伊織の同意を得て、オーブが両手を頭上に上げて背筋を伸ばした。


「よーし。これで家に帰れるな」


「そうね。早くしないと家に着く頃には暗くなっているわ」


 蘭雪の意見にクリストファーが空を指さした。


「その心配はないよ。迎えを呼んでおいたから」


 遠くからヘリコプターの音が響いてきた。


「ナイスタイミングだな」


 感心するオーブとは反対に風真が思い出したように言った。


「荷物を持ってこないと!」


「あ、私もです」


 走って道場から出て行く風真と紫依にクリストファーが声をかける。


「慌てなくてもいいよ。待っているから」


『はい!』


 仲良く走っていく二人の後ろ姿を伊織は少し安堵したような表情で見送った。

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