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チート四人組、学校へ行く……からの婿決定戦(副題:どうしてこうなった?)  作者:


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伴侶決定?

 道場の真ん中で向かい合う朱羅と政繁を見ながら、紫依は軽く首を傾げた。


「……朱羅は怒っているのでしょうか?」


 オーブも同じように首を傾げる。


「なんか変だよな。紫依を一回も見ないなんて珍しい。なんか変な物でも食べたか?」


 そこにクリストファーが笑いを堪えるように口元を押さえて言った。


「朱羅君は拗ねているんだよ」


「どうしてですか?」


「それは本人に直接聞いたらいいよ」


「……はい」


 理由が分からずに悩む紫依に対して、オーブは納得したようにポンと手を叩いた。


「そういうことか。意外と子どもだな」


「オーブは分かったのですか?」


「まあ、この勝負が終わったら本人に聞いたらいいよ。ほら始まるぞ」


 オーブが指さした先ではお互いが一礼をして木刀を構えていた。


 審判が右手を挙げて張りのある声で合図を出す。


「始め!」


 全員の視線が集まる中、勝負は一瞬で終わった。


 試合開始の掛け声と同時に朱羅の体が政繁の隣を駆け抜けていたのだ。そして政繁の前髪は風圧で二つに割れていた。


「は?」


 状況が分からない政繁は突如、目の前から消えた朱羅の姿を探して顔を動かした。

 そこに朱羅が木刀を軽く動かして政繁の胴の前で止める。


「これでいいか?」


 朱羅の問いかけに、動きがまったく見えていなかった審判が現状を確認して右手を上げる。


「い、一本!」


 呆然としている政繁を見ながらオーブが肩をすくめる。


「相手も審判も全然話にならないな。最初に面を決めているのに気が付かないなんて」


 他の大人たちは顎が外れそうなほど大口を開けて茫然としているのに、クリストファーは驚くことなく普通に言った。


「そうなんだ。最初の一本はまったく見えなかったよ」


 感心したように話すクリストファーの前に朱羅が平然と歩いてくる。


 クリストファーは勝ったことが当然のように朱羅を出迎えた。


「お疲れ様。紫依が君に聞きたいことがあるそうだよ」


 話を振られて紫依が視線を合わせようとしない朱羅の顔を見た。


「あ、あの……どうして……拗ねているのですか?」


「…………拗ねる?」


 予想外の言葉に朱羅が思わず紫依に視線を向ける。


「え?あ、あの父様が朱羅は拗ねていると……」


 紫依の発言を聞いて、朱羅がクリストファーを見る。するとクリストファーはニヤリと意地の悪い笑みを返した。


「私には、そのように見えたのだけどね。違うなら自分で訂正しなさい」


「それは……」


 言いかけて朱羅は自分の額を押さえて俯いた。


「朱羅?どこか調子が悪いのですか?」


 純粋に心配してくる紫依に、朱羅は頭を軽く横に振って否定した。


「いや、少し自分の感情を整理していただけだ。君の父親には俺が拗ねているように見えたそうだが、君は俺がどう思っているように見えた?」


 その質問に紫依は少し答えにくそうに言った。


「え……あの……怒っているように見えました」


 朱羅がしっかりと頷く。


「そうだ。何故、怒っているか分かるか?」


「……いえ」


 そこで朱羅は盛大なため息を吐いた。


「前にも言っただろ。頼れ、と。こういう時に頼らないで、いつ頼るんだ?」


「ですが、これは自分の問題ですし、自分で解決できると……」


「一言、相談してもいいだろ?」


「それでは迷惑が……」


 紫依の言葉を遮るように朱羅はもう一度ため息を吐くと、紫依の頬に左手を添えて顔を近づけた。


「どうしま……」


 不思議そうにしている紫依の耳元で朱羅が何かを囁く。


「!?」


 朱羅が何を言ったのかは誰にも聞こえなかったが、紫依の顔が無表情のまま固まり真っ青になった。


 一方の朱羅は、紫依と視線を合わせるように少し屈むと、正面からいつもの調子で淡々と訊ねた。


「返事は?」


 紫依が真っ青な顔のままカチコチに固まった口をどうにか動かす。


「……ご……ごめんなさい」


 その様子に朱羅が納得したように立ち上がって蘭雪を見た。


「蘭雪は何かあるか?」


「これ以上は可愛そうだから今回は止めてあげるわ。紫依もすぐに謝ればいいのに頑固なんだから」


 意味ありげに笑う蘭雪を見て、無表情のまま顔を青くしている紫依の肩が跳ねる。


 怯える小動物と化した紫依を風真が後ろから保護するように抱きしめた。


「君たち!紫依に何をするつもりだ!」


「知りたい?」


 妖艶な微笑みを向けてくる蘭雪に風真も固まる。

 そこにオーブが苦笑いを浮かべて間に入った。


「まあ、まあ。とりあえず、この話はこれで終わりにしよう。紫依、今度からは黙って一人でいなくならないようにな。みんな心配して探したんだぞ」


 オーブは笑顔で話したが、紫依は申し訳なさそうに俯いた。


「すみません」


「うん、うん。素直が一番」


 オーブが満足そうに紫依の頭を撫でる。


「じゃあ、話を戻すけど。紫依の伴侶は朱羅ってこと?」


 オーブの問いかけに全員の視線が朱羅に集まった。


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