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チート四人組、学校へ行く……からの婿決定戦(副題:どうしてこうなった?)  作者:


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演劇部

 それからも桜葉は、授業の間の休憩時間になると二人を占領して今回の劇について語りつくしていた。

 他のクラスメイトも二人に話しかけようとしたが、桜葉の迫力に圧倒されて遠くから見守ることしか出来ない。そのため、クラスメイトの間では、いつの間にか放課後にみんなで話しかけようと、協定が作られていた。


 だが、その協定も桜葉によって無意味なものとなった。


 桜葉は授業終了のチャイムが鳴ると同時に二人の手を握ると、教室の外へ出て行ったのだ。そのため桜葉は背後にクラスメイトからは刺されんばかりの視線を浴びていたのだが、当の本人は一切気が付かなかった。


 桜葉は部室へ歩いて行きながら楽しそうに言った。


「裁縫部に行って衣装の作り直しをお願いしないといけないわね。色は……赤がいいわ。あの目の色を見て真っ赤なドレスが浮かんだのよ。舞台に映えるわ」


 夢見る少女のようにうっとりと話す桜葉の斜め後ろでは、嫉妬の視線を一日中浴びてゲッソリと痩せた冷泉院がとぼとぼと歩いていた。


「頑張ってくれ。おれは、もう無理だ」


「何、言っているの?本番はまだ先なのよ。今から疲れていて、どうするの?」


 文字通り両手に花状態の桜葉が笑う。

 左手には紫依の手を、右手にはオーブの手をしっかりと掴んでいるのだ。その光景は、廊下を歩いている生徒たちが驚いたように立ち止まって二度見するほどだ。


 紫依は無表情のままオーブに視線を向けたが、オーブは軽く苦笑いをしただけだった。その反応に紫依は軽く頷いて黙って桜葉に連れて行かれていく。


 桜葉は演劇部の部室に到着すると勢いよくドアを開けた。


「みんな!今回の劇の主役が決まったわよ!」


 部長の発表にその場にいた全員が首を傾げながら振り返った。


「何を言っているんですか?主役は部長でしょう?」


「また、あの夢物語を言っているの?」


「顧問に外部の人間は入れてはいけないって、散々言われたじゃないですか」


 呆れたような部員たちの声に、桜葉は不気味な笑いを浮かべて紫依を指さした。


「この人を見ても、まだそう言っていられるかしら!」


 桜葉はもったいぶらずに堂々と部員の前に紫依を突きだした。

 この展開に紫依は無表情ながらも、どこかそわそわしている。だが、そんな紫依の様子など部員たちは気付くこともなく、頬を少し赤くしてポカンと口を開けた。


「……まさか、本当にいたとは」


「人間?人形じゃなくて?」


「どうして、この学校の制服を着ているの?」


「……そういえば転校生と留学生が転校してきたって聞いたけど、この人たちのことですか?」


 舞台の大道具を作っていた部員の言葉に桜葉が盛大に頷く。


「そうなの!もう、これは運命よ!神が決めた道なのよ!と、いうわけで、主人公は龍神さんでいくから」


 桜葉の押しに負けて頷きそうになった部員たちが慌てて首を横に振る。


「何言っているんですか?文化祭まで二カ月を切っているんですよ!?」


「吹奏楽部との合同練習も入ってくるのに、今から主役の変更なんて間に合いませんよ!」


 心配する部員たちを無視して、桜葉は紫依に部員たちの紹介を始めた。


「とりあえず、今いる部員から紹介していくわ。右から順番に大道具兼美術係りの藤代、真田、神谷、明智。で、そこでストレッチしているのが伊達、雪城、相良、金城、佐古、奥中よ。あと、まだ二十人ほど部員がいるけど、ほとんど顔を出さない人もいるから、もし会うことがあったら紹介するわ」


「はい」


 淡々と頷く紫依に部員たちが駆け寄る。


「いや、あなたも納得していないで断ってよ」


「今回の劇はミュージカルだから歌と踊りもあるんですよ。それを全てこれから覚えるのは無理ですって」


「確かに、あなたは今回の主人公にピッタリだけど、それだけじゃあこの劇は出来ないから」


「断っても誰も責めませんよ」


 全員が同時に言ったため声が重なってお互いに何を言ったのか分からなかった。

 部員たちは顔を見合わせて一人ずつ言おうとしたが、その前に紫依が軽く微笑んで言った。


「真田さん、私は特に断る理由がないのでお受けしました。伊達さん、台本なら全て覚えました。歌や踊りはこれから覚えていきますので、教えて下さい。雪城さん、出来るだけのことをしますので、ご指導お願いします。神谷さん、断っても責められないでしょうが、桜葉さんに地の果てまで追いかけられそうなのです」


 それぞれの質問に適格に答えた上に、名前まで覚えた紫依に冷泉院が軽く口笛を吹いた。


「リアル聖徳太子だな」


 その言葉に今まで黙っていたオーブが小首を傾げて訊ねる。


「ショートク、タイシ?」


 その声でオーブの存在を思い出した冷泉院が説明をする。


「昔、十人までなら同時に話しても内容を聞き分けられたっていう逸話がある人がいるんだ。エンフィールドさんは歴史が苦手?」


「日本の歴史……あまり覚えてないです」


「留学したばかりだからしょうがないか」


 冷泉院とオーブが話していると部員の視線が一斉に集まった。


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