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チート四人組、学校へ行く……からの婿決定戦(副題:どうしてこうなった?)  作者:


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伴侶決定戦 中断

 憲護は木刀を持つと政繁の前に立った。


「勝負だ」


 憲護が出てくると思っていなかった政繁が少しだけ驚いた表情を作る。


「ほう、君が私と勝負?ほとんど勝ったことがないのにかい?」


「うるさい。いいから勝負しろ」


 覚悟を決めたような憲護の眼差しを見て、政繁は肩をすくめて頷いた。


「わかった。大勢の前で負けたいのなら止めないよ」


 二人が道場の中央で向かい合う。その間に風真は紫依の隣に来て座っていた。


「兄様、これは何の試合ですか?」


 紫依の問いに風真は項垂れたように頭を下げたまま言った。


「最後まで残った勝者が紫依の伴侶になる、という試合だ。僕が挑戦者全員に勝てば無効となるという条件だったのだが……すまない。負けてしまった」


 そのまま無言で落ち込む風真に紫依が驚くことなく首を傾げる。


「そうなのですか?ですが、私は……」


「始め!」


 審判の掛け声で憲護と政繁の試合が始まる。

 次々と打ち込んでいく憲護に対して政繁は型どおりの綺麗な剣技で受け流している。


 そんな二人の試合を見て風真は悔しそうに言った。


「憲護は実践型だ。やはり、こんな試合では実力を出し切れない」


 淡々と受け流していた政繁が攻撃に転じる。その一瞬の隙をついて憲護が鋭い一撃を放ったが、それよりも早く政繁は憲護の籠手を打っていた。


「痛っ」


「一本!」


 木刀が床に落ちると同時に審判が判定を出した。木刀で打たれた手を押さえる憲護を置いて政繁が紫依の元へと歩いてくる。


 風真が睨むがそれを無視して政繁は紫依に手を差し出した。


「これで私たちの結婚に文句を言う者はいない。さあ、一緒に長へ報告に行こう」


 だが紫依は動くことなく政繁を見上げて言った。


「ですが、私はもう龍神家の人間ではありませんよ。それでも、よろしいのですか?」


 紫依の衝撃の一言に道場にいた全ての人間が固まった。


 そして、一番に声を出したのは、手を差し出したまま硬直している政繁だった。


「……どういう意味だ?」


「言葉の通りです。私は昨日、お婆様にお話しをして龍神家を抜ける許可を頂きました」


『なんだってー!』


 道場にいる全員が驚愕の表情と共に叫び声を上げる。そんな中、紫依だけは平然と続きを話した。


「そもそも私はそのことを言うために、ここに来ました」


 紫依の隣に座っている風真が力なく崩れ落ちる。


「それを早く言ってくれ。なんか、どっと疲れが出てきた……」


 緊張が解けたことと疲労で床に倒れ込みそうになっている風真を紫依が淡々と支える。


「すみません。このようなことになっているとは知りませんでしたので。兄様、大丈夫ですか?」


「あぁ。でも出来ることなら、このまま寝てしまいたいよ。全てが悪い夢だったのだと思いたい」


 現実逃避を計ろうとする風真に紫依が追い打ちをかける。


「寝てもかまいませんが、これは現実ですよ。それに私はそろそろ帰ろうと思うのですが、兄様は残りますか?」


 風真が勢いよく起き上がる。


「一緒に帰るに決まっているだろう」


「では、準備をしましょう」


 そう言って立ち上がる紫依を衝撃から立ち直った政繁が慌てて止める。


「何故だ!?何故、龍神家から抜ける!?それだけの力を持っておきながら!」


 その言葉に紫依はどこか寂しそうに少しだけ微笑んだ。


「だから、です。この力ゆえ、私は人とは違う時間を生きる体となりました。無用な衝突を起こさないためにも、私は人との接触を極力避けようと思います。お婆様も賛成してくださいました。では、失礼します」


 そのまま立ち去ろうとする紫依に怒鳴り声が響いた。


「そのようなことは許さん!」


 紫依が振り返ると顔を赤くして立ち上がっている男がいた。五十歳ぐらいで白髪まじりだが長い髪を一つに結んでいる。

 普段は余裕を漂わせて威厳ある風格をしているのだが、この時は怒りで全身を震わせていた。


「寛鐘おじさま?」


 紫依の呟きを消すように寛鐘が叫ぶ。


「龍神家を抜けるなど許さん!おまえは自分の存在価値をまったく分かっていない!その力があれば、この国を……」


 寛鐘の熱を冷ますように頭上から水の塊が降ってきた。


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