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チート四人組、学校へ行く……からの婿決定戦(副題:どうしてこうなった?)  作者:


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封印

 次に目覚めた時、紫依は布団の中にいた。今までのことが悪い夢のように思いたかったが、見覚えのある重厚な和室が現実だと教えてくる。


 目を開けたまま動かない紫依を心配そうに風真が覗き込む。


「どこか痛い?動けそう?」


 紫依は周囲にクリストファーがいないのを見て慌てて体を起こした。


「兄様、父様は?」


 紫依の問いに風真は俯いて言いにくそうに声を出した。


「父様とは、しばらく会えない。僕ももう少ししたら、ここから離れないといけない」


 置いて行かれると直感した紫依は風真に縋り付いた。


「私も、私も一緒に行きます」


「一緒には……行けない。紫依はここで暮らすんだ」


「嫌です!」


 紫依が大きな深紅の瞳に涙をためて叫ぶ。すると紫依を中心に竜巻が発生して風真を吹き飛ばした。


「兄様!」


 驚く紫依を守るように竜巻が周囲にある物を吹き飛ばしていく。物が割れ、家が揺れる中、数人の男たちが部屋に駆けつけてきた。


「なんだ、これは?」


「とにかく結界だ!」


「力を封じろ!」


「おまえはそっちへ行け」


 大きい声で指示を出し合いながら三人の男が紫依を囲む。男たちの険しい表情に紫依はどうにか堪えていた涙を流した。


「来ないで!」


 紫依の声に応えるように竜巻の威力が増す。激しい音を立てて障子が破れ、室内にあった物が外へとはじき出されていく。

 その力の大きさは、とても六歳の子どもが持てるものではなかった。普通なら力に負けて体が崩壊していてもおかしくない。だが紫依の力には余裕さえ見られ、まだ奥底に力を秘めていることが感じとれる。


 ありえない事態に紫依を囲んでいた男たちが後ずさる。そこに老齢の女性の声が響いた。


「下がりなさい」


 白髪混じりの長い黒髪を一つにまとめた老齢の女性の指示に、男たちが素早く部屋から出る。そして廊下にいた老齢の女性の側にひざまずいた。


 老齢の女性は風真を見て微笑んだ。


「伊織から力封じの結界の張り方は学んでいますね?」


「はい」


 しっかりと頷いた風真に老齢の女性が紫依を見る。


「私が力を抑えます。その間に結界を張って下さい」


「わかりました」


 二人のやり取りを聞いていた男の一人が声を出す。


「長、そのような子どもには無理です。結界なら私が張ります」


 老齢の女性が静かに黒い瞳を向ける。


「今の紫依は不安で一杯なのです。そこに見ず知らずの人間が現れたら、ますます不安になるでしょう。これは紫依の兄である風真にしか出来ないことです」


「ですが、あのように大きな力をこんな子どもが封じることなど……」


 男から訝しむような視線を向けられても風真は気にする様子なく、むしろ冷めた視線を返した。


「風真は伊織の息子、力の強さは問題ないでしょう。技術は伊織がしっかりと教え込んでいるはずです。風真、できますか?」


 突然、話を振られた風真が力強く頷く。


「できます。こうなることを母様から聞いておりました。そして、これが自分の役目であることも」


 十歳の子どもとは思えないほどの強い意思がこもった言葉に、男が無言で下がる。


 老齢の女性が大人びた孫の頭を一撫でして声をかけた。


「では、お願いしますね」


「はい」


 竜巻が荒れ狂う中、老齢の女性は悠然と足を進めた。時々、風が頬や服を切り裂くが老齢の女性は気にすることなく、まっすぐ歩いていく。


 その姿に紫依は涙を流したまま言った。


「来ないで……来ないで!」


 その言葉に老齢の女性は両手を広げて微笑んだ。


「私はあなたの母、伊織の母です。つまり、あなたの祖母になります」


 どこか母を連想させる微笑みに紫依の目が丸くなる。


「お……ばあさま?」


「そうですよ」


 紫依の警戒が緩んだ一瞬をつき、老齢の女性が袖の中に隠していた白い札を取り出して宙に飛ばした。白い札が竜巻を封じるように絡み付いて相殺される。


 紫依を囲んでいた竜巻が消えると同時に風真が部屋に飛び込んだ。


「我が血を盟約の証しとして、この者の力を封じん」


 風真は言い終わると同時に紫依の額に自分の血で文字を書いた。血が額に吸い込まれ、紫依は静かに目を閉じて眠った。


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