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チート四人組、学校へ行く……からの婿決定戦(副題:どうしてこうなった?)  作者:


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文化祭前日

 文化祭を翌日に控えて生徒たちは追い込みをしていた。

 演劇部も例外ではなく、ステージを使って吹奏楽部と最後の合同練習をしている。


 それを観客席のど真ん中で見ていたオーブに蘭雪が声をかけてきた。


「生演奏で劇をするなんて、高校なのに本格的なことをするのね」


 蘭雪がオーブの隣に座ってステージを眺めた。


 場面はクライマックスのシーンで、人形師を殺された人形が吹奏楽の演奏にのせて悲しみの歌をうたっているところだ。


「なかなか良い感じじゃない?」


「でも部長は満足していないんだよ。『紫依の歌じゃない、誰かの歌を真似しているように見える』って何度も歌い直しをさせている」


「なかなか鋭いわね」


 感心しながらも、どこか楽しそうに笑う蘭雪にオーブが呆れたようにため息を吐いた。


「紫依も結構、悩んでいるんだぞ」


「そうね。でも感情について考える良い機会になったと思うわ。それに学校生活も思ったより楽しかったんじゃない?」


「この恰好での学校生活は二度とごめんだね。ま、明日までの我慢だな。文化祭が終わったら即脱ぐぞ」


「じゃあ、その姿が見られるのも明日まで?折角だから家でも着てよ」


「コスプレする趣味はない」


 きっぱりと断ったオーブに蘭雪は口元を右手で隠してフッフッフッと笑った。


「コスプレ……いいわね」


 不穏な空気が蘭雪を包んでいく。墓穴を掘ったと思ったオーブがそっとその場を離れると桜葉の声が響いた。


「ストップ!やっぱり、なにか違うのよね。龍神さん、大切な人が亡くなったと想像……いえ、やっぱり違うわね。そう!目の前で大切な人が殺された想像をして!好きな人とか大事な人が目の前で殺されるの!」


 桜葉の注文に冷泉院が反論する。


「お前、何気に酷いこと言っているぞ!」


「想像でいいの!あと、もう少しって感じなんだから。龍神さん、出来る?」


 桜葉の問いに真っ赤なドレスを着た紫依が少し考えてから頷いた。


「……大切な人……殺される……はい。やってみます」


 紫依が着ているドレスは花びらのような形をした布を何枚も重ねて作り上げられており、裁縫部の渾身の一作だった。

 微妙に色が違う赤い布を何枚も使用してグラデーションを作り上げた上に、銀色の糸で刺繍がされており、上品かつ豪華に仕上がっている。今は黒いコンタクトをしているが、紫依が深紅の瞳をしていれば、ますます映えるドレスである。


 桜葉は手を上げて指示を出した。


「じゃあ、王が人形師に何の褒美がいるか訊ねるところから、もう一度やるわよ!」


 その言葉で舞台の上にいる部員たちが自分の位置に着く。


 桜葉は全員の立ち位置を確認して叫んだ。


「始めるわよ?吹奏楽部の人たちも準備はいい?じゃあ、よーい……スタート!」


 王役の金城が頭を下げている人形師に声をかける。


「よく人形を笑わせた。約束通り褒美をやろう。何が欲しいのだ?」


 人形師役の冷泉院が王座に座っている王に進言する。


「では、恐れながら申し上げます。そこにいる人形を私に返して下さい」


「なっ……何を!?そうか。お前は、あの人形師か!?」


「はい。その人形は私が全身全霊をかけて作り上げた最高傑作です。が、それ以上に私はその人形を愛してしまいました。王よ。どうか、その人形を返していただけませんか?」


 そう言って顔を上げる人形師に王は王座の隣に置いてあった剣を手に取った。


「人形師のくせに何と無礼な物言いか!」


 抜刀した王と人形師の間に人形役である紫依が両手を上げて立ちふさがる。


「王様、この人を斬らないで下さい」


「五月蠅い!こうなれば、お前もろとも斬ってやる!」


 王が剣を振りかざしたところで人形師が人形の前に飛び出した。


「危ない!」


 人形の代わりに人形師が剣で斬られる。そして崩れ落ちる人形師の体を人形が支える……はずだった。


 だが、紫依の瞳には別の風景が映っていた。


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