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チート四人組、学校へ行く……からの婿決定戦(副題:どうしてこうなった?)  作者:


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自白

 ソファーに座った権守は俯いたままボソボソと独り言のように話し出した。


「……どこから話すか…………龍神さんが転校してきた頃は、そんなに興味もなくて普通に生徒会の仕事をしていた。だけど、数日ぐらい経ったある日、夢の中で声がしたんだ。薄暗い声で龍神さんに会え、と。それが何日も続いて……声は日に日に大きくなって逆らえなくなった。それで生徒会の仕事の合間に演劇部に顔を出して、初めて龍神さんを見たんだけど、そこから……まるで砂漠に放り投げられて水を求めるように龍神さんが欲しくなった」


 そう言うと権守は両手で額を押さえた。


「自分でもおかしい状態だと分かっている。でも、何故か止められないんだ。いろいろと自分に理由をつけて、気が付くと龍神さんを手に入れようとしているし、夢の中でも、あの薄暗い声に龍神さんを手に入れろと責められて……でも、こんな話をしても信じてもらえないだろ?だから、手に入れたら、この気持が収まるかと思って……気が付いたら家の力を使って龍神さんを誘拐しようとしていた……ここで謝るなんて虫が良い話だと思うが、龍神さんには本当にすまないことをした。ごめん」


 両手を膝の上に置いて深々と頭を下げる権守を見ながら紫依は静かに頷いた。


「分かりました。そういうことですか。頭をあげて下さい。謝る必要はありませんよ」


 紫依の言葉に権守が勢いよく顔を上げる。


「今の話を信じるのか?こんな、都合がいい言い訳を」


 無表情のまま黒い瞳が権守を射抜く。


「あなたは嘘を言っていません。それに、あなたがそのような感情を持ってしまった原因も分かりました」


 紫依が言い終わると同時に権守の首筋に電撃のようなものが走った。


「痛っ」


 突然の痛みに権守が首筋を触るが、そこには何もない。


 不思議そうにしている権守に紫依が微笑んだ。


「これで、もう悩まされることはありませんよ。薄暗い声の夢を見ることもないでしょう」


「何をした?」


 権守の質問に紫依は微笑んだまま踵を返した。


「この話はこれで終わりです。では、また明日」


 そう言って歩き出した紫依の隣に朱羅が自然と並ぶ。そこにオーブが片言で権守に声をかけた。


「この話、秘密。言ったら存在、消す。さようなら」


「あっ」


 権守が呼び止める前にオーブと蘭雪もさっさとカフェから出て行った。





 カフェを出てからも少し早めの歩調で歩く紫依に朱羅が声をかけた。


「どうした?」


 紫依は足を止めることなく右手を胸に置いた。


「変な気分です。重く嫌な感情が渦巻いているような感じです」


「怒っているのか?」


 紫依は足を止めて無表情のまま朱羅を見た。


「私は怒っているのですか?」


「さあ?ただ、あいつを操作した相手に対して良くない感情を持っているのだろ?」


 紫依は少し考えて頷いた。


「そうですね。権守さんを操作した術を使ったのは龍神家の誰かでしょう。そのようなことをする人間が龍神家にいると考えただけで、この感情が大きくなります。私が目的なら直接、私のところに来ればよいのに」


「なら、こちらから隠れ里に行くか?」


「いえ。文化祭が終わるまでは、ここから離れません。行くなら、その後です」


 朱羅がどこか諦めたように軽く笑う。


「危険因子は早めに除去しておきたかったが、紫依がそうしたいのであれば、しょうがない。だが、警戒は怠るな」


「はい。ありがとうございます」


 微笑む紫依の頭を朱羅が撫でる。そこにオーブと蘭雪が合流した。


「権守はあれで良かったのか?」


 声も話し方も元に戻ったオーブに蘭雪が不満を言う。


「さっきの話し方を続けてよ」


「オレは女装趣味なんてないの。必要ないところでまで声と話し方は変えたくない。で、紫依。あれはどうするんだ?」


 あれ扱いになった権守だが、紫依は否定することなく頷いた。


「あのままで良いと思います。あの方は家柄上、口が堅いので私たちのことを誰かに話すことはないでしょう。それに龍神家が関わっているようですから、下手に記憶操作はしないほうが良いと思います」


「そんな甘いこと言って。また何かしてくる可能性もあるんだぞ。朱羅の意見は?」


 オーブに聞かれて朱羅が平然と答える。


「紫依と同意見だ。ほっといても害にはならないだろう」


「そうかぁ?」


 不服そうなオーブの肩を蘭雪が叩く。


「二人の意見が一致しているんだから問題ないわよ」


 紫依と朱羅は意外と人の本質を見抜くことが出来る。その二人が無害と言ったのでオーブは渋々頷いた。


「わかった。でも、学校に通う間はあれに監視をつけとくぞ」


「ま、それぐらいならいいんじゃない?」


 蘭雪の言葉に朱羅が頷く。


「好きにしたらいい」


「他人事だな、おい」


「他人事だ」


「言い切るな!」


 一方的にオーブが怒っている隣で紫依が蘭雪に声をかける。


「あの、家に帰ったら歌を教えてもらえませんか?後半部分で上手く歌えないところがあるのです」


 紫依の頼みに蘭雪が満面の笑みになる。


「いいわよ。手取り足取り教えてあげるわ」


 そう言って紫依の手を取る蘭雪にオーブがツッコミを入れる。


「歌を教えるのに手や足はいらないだろ!」


「あら、必要になるかもよ?」


 そう言って蘭雪が意味ありげに微笑む。その顔を見てオーブが紫依を強奪した。


「さっさと帰ろう。薬にもならない毒を吹き込まれるぞ」


「毒……ですか?」


「そうだ」


 速足で歩いて行くオーブと紫依の後ろ姿を見て蘭雪が肩をすくめる。


「あら、残念。もう少し遊びたかったのに」


「ほどほどにしとけ」


 朱羅の忠告に蘭雪が魅惑的な笑顔を向ける。


「じゃあ、代わりに朱羅が遊んでくれるの?」


 思わずフラフラと引き寄せられそうになる妖しさと美しさを秘めた笑顔なのだが、朱羅は眉一つ動かさずに事実を言った。


「俺と遊んでも楽しくないだろ」


 朱羅が先に行く二人を追いかけるように歩き出す。蘭雪もその隣を歩きながら頷いた。


「そうなのよね。やっぱり遊ぶなら可愛い子がいいわ」


 残念そうに呟く蘭雪に朱羅はため息を吐いた。


「あの外見も考えものだな」


 学校中の男子生徒の憧れの的であり、高嶺の花、麗しの君、地上に舞い降りた天使など、様々な呼び名を付けられた二人は、一人の美女の玩具として標的になっていた。



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