1/5
第1章 1
小鳥が鳴き、木漏れ日が揺れる森の中で、少年と少女が遊んでいる。二人とも五歳くらいか。二人の足元では子猫が二匹、じゃれあっている。
「この子たちは太陽のお子よ」
と少女が言えば少年は、
「違うさ、月の子たちだよ」
と言う。二人で猫をじっと見つめ、どちらからともなく、
「どっちでもいいか」
と言い、子猫を一匹ずつ抱き上げ、歩きだした。
「だって、どっちもお空で私たちを見てくれてるもの」
と少女が言って、
「そうだね、この子たちを飼うのを母さんたちに許してもらう方がずっと大切だね」
と少年が答える。どちらが抱えている子猫か分からないが、ミィと鳴いた。
森を抜けると小さな村が現れた。アデンタとナラールの争いが絶えないミクルア大陸のちょうど真ん中に位置するカイリア村。カイリア村には、アデンタもナラールも住んでいるが、仲良く平穏な生活を送っていた。