初めての友達
私は時間になるまで静かに本を読んでようと思ってた。そして邪魔が入った。
「なぁなぁ、橋本さんって毎日ここで本読んでんのか?って、難しそうな題名だな………。」
何故か、彼、神薙君が隣に座って話しかけてくる。早く戻って欲しいのだけど…。
「………。だって、教室にいてもつまんないから。話せる人、いないし…。」
と、私は本から顔を上げることなく言った。
「え?何で話す人いねーの??」
きっと彼は純粋にそう聞いてきたのだろう。
しかし私はその一言にイラッときてしまい、つい怒鳴ってしまった。
「うるさいっ!!あんたなんてどうせ周りに沢山友達がいるんでしょっ!!!もう関わらないでよ!」
図書室にいたみんながびっくりして此方を見ていた。
「…………っ!?」
神薙君もとても驚いていた。私はひと呼吸置いて
「……、もういい。話しかけないで。」
とだけ言い、図書室を飛び出した。
「えっ、あ………、ま、待てよ!」
何故か神薙君は追いかけてきた。私は必死に彼から逃げた。
「…っ!な、何で追いかけてくるの!?関わらないで!どっかに行ってよ!」
そう叫びながら必死に走る。そして、屋上まで来てしまった。
「はぁ………はぁ………。っ、なんで追いかけてくるのよ……。」
「は、橋本さん走るの速いって……。俺、驚いたわ。きっつーーー。」
私をよそに神薙君は、ごろんと寝転んだ。
「なぁ、橋本さんもこっち来て寝転んでみろよ。空が綺麗だし、風も気持ちいいぜ?」
はぁー、と大きな深呼吸をしながら神薙君は言った。
「…………。」
私はその場で寝転んでみた。確かに風か心地よかった。
「橋本さんってさ、名前なんて言ったっけ?」
「…………、亜咲姫。」
「亜咲姫、何か可愛い名前だなっ!よっし、今度から亜咲姫って呼ぶな!」
勝手に決められてしまった。もう、どうでも良かった。ただただ風が気持ちよくて、それだけを感じていたかった。
「あ、俺の名前はわかるか?龍陽って言うんだ。今度から龍陽って呼んでくれよ!」
「…………知ってる。わかった、龍陽ね…。」
ぼそっと言った。
「俺らこれから友達な!亜咲姫の友達1番のりだぜっ!」
龍陽はにこっと笑った。笑えない私は、無表情のまま彼を見つめていた。