出逢い
「橋本さんって全然笑わないよね、暗いしさぁ…。」
ヒソヒソと話すクラスの女子の会話が聞こえる。みんな、既に仲の良いグループなどを作っていた。
私は、笑えないせいか誰一人として友達ができていなかった。
『はぁ…、図書室に行こうかな……。』
そんな事を思って席を立つ。ヒソヒソ話していた女子はビクッとした。
「やばいよぉ………、聞こえてたんじゃない?」
「そしたら盗み聞きしてたってことじゃん(笑)」
「それは最低だわ(笑)」
またヒソヒソ話している。
『貴方達の声が大きいだけよ……。』
心の中で呟いて教室から出て行った。
ガラガラッ……
図書室にはざっと合計5人くらいしかいなかった。すごく静かで日当たりも最高だった。
私はいつもの席に座り適当に本を読む事にした。
ガラガラッ!!!
誰かが勢い良く扉を開けた。私は気にせず本を読んでいた。
「え~っと、あ?何だこの本の名前。つか、こんな本あんのかよ。」
聞いたことあるような声がしてそっと顔をあげた。見ると同じクラスの神薙 龍陽がいた。
彼はよくクラスの中心となっている人物……だったはずだ。
どうやら神薙君は頼まれた本を探しているらしい。
「あ~~!!わっかんねぇ!」
図書室で大声をあげている。すかさず先生に注意されていた。
私は見ていられないのと、早く静かになってほしいのとで神薙君の傍にそっと寄った。
「あーー、くっそ……。ん?橋本さん?」
神薙君は私に気づいて話しかけてきた。
「…………これは、そこの新刊って書いてある所にあったはず、これとこれとこれはそこの角を曲がった棚にあるよ。あとこれは、目の前にあるやつだよ。」
それだけを言って神薙君から離れた。
彼は少しきょとんとしていたが、はっとなり言われた通りに本を探していた。
『やっと静かになる。』
私はそう思って本を読むのに集中した。