喧嘩するほど仲がいい
家から歩いて5分のコンビニに独り言をいいながら向かう。
「翔に悪いことしたな…怒るつもりなかったのに何やってんだろう。あいつに馬鹿っていったけど俺の方が馬鹿だよな…」
『幼馴染みのケンカ』っ言えば聞こえはいいけど実際、俺が一方的に怒ってるだけ。
俺は何がしたいのか自分でもわからなくなってた。
「誰か俺のこと殺してくれないかな…」
現実逃避。死にたいなら自殺でもすればいい。頭ではわかっていても死ぬのが怖いから何もできない。ただのうじむし。自分が嫌になる…
5分は速い。ぐだぐだしているうちにもうコンビニについた。
「夕食…コンビニ弁当でいいよな」
「720円になります」
コンビニの店員さんははよく通る声で今の俺には正直もったいないなと思った。
そんなことを思っているうちに会計が終わり買い物をすませ家に戻っていった。
「ただいま」
「あっ…おかえり」
翔のちょっと戸惑った声が聞こえてきた。翔は何かを決めたかのようにこっちに向かって走ってきた。
タッタッタッ
「レン!本当にごめん。もうこれから絶対レンに迷惑かけないようにする。だから許して俺のこと嫌いにならないで…」
翔は悪くないと言おうとしたがどうしても言えなかった。口が開けなかった。
「そうだよな…あのレンジ雪乃ちゃんとの思い出が詰まってるもんな。俺、レンの友達でいる資格ない。ここ出てくよ」
「翔は悪くない…あんなに怒ることなかったし悪いのはこっちだよ。謝るのはこっちだよ。だから、翔が謝る必要なんてない」
「…俺が悪いんだけどさ言い合っててもしかたがないから、どっちも悪いってことじゃダメかな…」
俺が全部悪いって言おうとしたがやめた。確かに言い合ってても仕方がないし、翔にここを出てってもらうわけにはいかないし。
「そうだね。今コンビニで弁当買ってきたからちょっと遅くなったけど食べよ?」
「うん!これで仲直りかな…」
翔は照れくさそうに言う。そんな翔に対して俺は何事もなかったかのように返した。
「ケンカなんてしてませんから仲直りも何もないよ」
「それもそうだね」
俺達はお互いの顔を見て笑いながらリビングに向かった。