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思い出はコントロールのきかない障害物

 「ただいま~」

 「おかえり、レン。どうだった?」テッテッテ

 完全に忘れていた。今日から翔と暮らすことになっていたのだ。

 家に俺以外の人がいる。ちょっとしたことなのに忘れていた温かさ…涙があふれてきた。

 「どうしたレン?ゴメンなんかした?俺…」

 「翔は悪くないから安心して。何でもないから」

 本当にといわんばかりの顔を翔はしている。そんな翔を俺は笑ってごまかした。

 「ゆい太さんのメールのこと何か分かった?」

 「少しだけどね」ニヤッ

 何かに気づいた様子だった。

 ちょっと間をおきながら答えた。

 「本当!!!さっすが」

 少し間をおいたのは自信ありげな表情をしている翔がどこか誇らしく羨ましく感じたせいだったのかもしれない。

 「ここで話してるのなんだし早く中に入ろうよ。夕食もまだなんだしさ!」

 翔は俺の右手を引っ張り強引にリビングにつれていった。

 「よぉ~し!今日は頑張っちゃうぞぉー」

 気持ち悪いしゃべり方で翔は言う。正直に言うとかなり気持ち悪いのだかいってしまうと翔が落ち込むのでやめておこう…いや、あえて言おう。

 「なんなんだそのしやべり方…前々から思ってたけど正直気持ち悪い」

 ちょっと言い過ぎたかな?と思いながら翔を見ると、いつもより少しトーンを下げた声でボソボソと「そうだったんだ…気持ち悪かったんだ…ごめんね…」といいながら夕食の準備をしようと台所にトボトボと歩いていった。

 「ごめん言い過ぎた」

 翔はその言葉にいっさい耳を傾けようとしなかった。

 「レン先お風呂入ってきなよ」

 さっきのことをもう忘れたかのように笑顔で翔が言うので従うことにした。

 『湯船には浸からないでおこうかな、時間かかるし…シャワーだけでいいよね』

 独り言をいいながらシャワーを浴びて出た。

 翔って料理できたっけ?練習でもしたのかな…?そう思いながら着替えていると台所の方から爆発音がした。

  >>ドッカーン<<

 「えっ…」

 俺は着替えるのも忘れて半裸のまま音が聞こえた方に向かった。

 

 「うぅっ…煙臭い…」

 「翔、大丈夫!何があった!」

 翔は鼻をつまみながら床に尻餅をついていた。

 「レン~電子レンジが…爆発した…」

 よく見るとレンジからモクモクと煙が上がっている。しかも焦げ臭い。

 「はぁ~なんでこうなるわけ?翔俐さん。まず、そこに正座しようか」

 「すいません…」ポロッ

 翔の目が涙目になっている。でも…

 「謝ってほしい訳じゃないんだよ?分かるかな。なんでこうなったか説明しろっていってるの。さすがにそこまで馬鹿じゃないよなぁ翔?」

 レンジは俺と雪乃が小さい頃、商店街のくじ引きで当てた物で俺にとって思い出がつまった品だった。だから、翔がふざけて壊した訳じゃないとわかっていても自分をコントロールしきれなかった。

 「これって事前に防げなかったことなの?防げたよね。翔、料理出来ないのになんでやろうとしたの?俺が疲れてたから?それとも俺に対する嫌がらせかなにか?」

 翔は黙ったまま下を向いている。

 「まぁいいや。これ片付けといてくれる?着替えてくるから。あと、ちょっとコンビニ行ってくる」

 「あっ…うん。ごめん」

 そう言い風呂場にあった服を着て家を出た。

 

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