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月の調べ

失敗した転生者

作者: アホロ

初投稿です。

 わたしは、所謂転生者である。前世は地球という惑星の日本という国にいた。名前とかいつ死んだとか、そういったことは分からないが女だったことは分かる。


 なぜ急に自分が転生者だと分かったかというと、わたしが今通っている高校に転校生が現れたのがきっかけだったりする。

 その転校生は美少女でスポーツも出来て頭もそこそこ良くて、最初はみんなの人気者だった。そう、最初はね。

 どうしてそんな言い方をしたかというと、その転校生は優柔不断なのか八方美人なのか、はたまた頭が弱いのか、学校にいる見た目のいい異性をいつの間にか自分の周囲に侍るようになった。ご飯を食べるときはもちろん、移動教室でも同じクラスの男子やなぜか他クラスの男子まで。


 その光景を見ていて思ったのだ。逆ハーレムだわ、と。その瞬間、フラッシュバックの様に前世の記憶が甦り、結果悟った。わたしって転生者だったのね、と。



 前世の記憶から考えると、わたしが今生きる世界は“乙女ゲーム”という世界らしい。なぜそう思ったか? だって、その転校生の言動が記憶にある“乙女ゲーム”の主人公にそっくりなんだもの。

 それに癖のある性格の男を何人も虜にするなんて普通じゃないし。本人、自分を取り合う現在の状況に困っている感じを醸し出してるけど、ものすっっっごい嬉しそうだし。


 他にも生徒会の面々がイケメン揃いで、その全員が転校生に夢中。しかも生徒会の面子も俺様生徒会長、腹黒副会長、チャラい会計、気の弱い監査、ワガママな双子の書記と庶務。まさしく“テンプレ”ってやつでしょ?

 まぁ、実際の生徒会の性格なんて知りはしないけど、勝手に顔から判断させてもらいました。別に関わりないし、勝手に決めつけるくらい構わないでしょう。



 そんなわたしが今後どうするか。そんなの決まってる。何もしない、それに限る。

 だって見た目はいいけど性格に難有りなんて、絶対嫌。それなら見た目は普通でも性格が穏やかな方が断然魅力的。それにこの世界が本当に“乙女ゲーム”だったとしても、攻略方法なんて全く知らないし。前世の『わたし』は知識はあっても、実際にプレイしたことはなかったようだ。いいんだけどね、別に。

 おかげで「彼女の毒牙から彼を守らなくちゃ!」という変な使命感もないし、変に目をつけられることもないし。よかった、よかった。

 ……そう、思ってたんだけど。




「黒田さん、協力してね?」


 目の前には麗しの転校生。その名も桜 愛音。

 腰まであるサラサラの桜色の髪の毛に、ばっさばさの長い睫毛に縁取られた大きな薄茶色の瞳。余談だが、この髪の毛と瞳の色も、ここが“乙女ゲーム”の世界だと思った理由に含まれる。だって前世ではこの配色は絶対なかった。


 そんな見た目は完璧な桜 愛音はキラキラと、しかしわたしには目を逸らしたくなるような笑顔を向けてそう言ったのだった。




 言ってもいいですか? なんでこうなった?



続編を書くつもりです。

読んでいただきありがとうございました。

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