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それは、ゲームクリアなんかじゃなかった。
それは、グルーがいなくなるときがくるまでの、制限時間だったのだ……。
電池という名の寿命が切れた、夢の世界でのおもちゃ。
役割を果たしたグルーは、静かな風となって消えていく。
「いやだ!行かないで……!」
声を出した瞬間、少女は現実世界へと引き戻された。
「ん……」
自然と、涙がこぼれてくる。
少女はやわらなかな日の光を全身に感じ、先ほどと変わらないベッドからの景色を見渡す。
しかし、夢と現実、どちらにも、もうグルーはいない。
「……ふふ。最後まで、飼い主らしいことはしてやれなかったな。」
寂しそうな笑みを浮かべた少女は、
「って、私……。
どうしてこんなことで泣いてんだろ。
ただの夢の出来事なのに、ハハ。」
自分が夢の中の雰囲気に呑まれていたんだということを直感し、恥ずかしくてはにかんだ。
そのとき、ふと少女の耳に、聞き覚えのある歌が流れてきた。
少女はよく分からないまま、その歌を口ずさみ、ふらりと窓辺に寄って行った。