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ある日ノ、放課後


 俺は、ヒーローが嫌いだ。

誰かの為に無償で戦うとか、愛する者を守る為に戦うとか、

そんな建前上の正義を偽った糞強い野郎共が、大嫌いだ。

そもそも本当にヒーローが存在するわけがない、絶対にありえない。

俺は、ヒーローっていう空虚な妄想が、大ッ嫌いだ!


「せいっ」

 放課後の教室、窓際の席にうつ伏せていた俺は、奴の脳天チョップに直撃した。

「な、何すんだ!」

 頭を抱えながら立ち上がる、俺の名は神楽宗一。

そして、チョップを繰り出した奴の名前は宮崎加奈。

加奈は小学生の頃、柔道部に入っていたからチョップもなかなかキレがある。

「だって宗一、さっきからボーっとしてるじゃん」

「っせーな、ちょっと考え事してたんだよ」

「どうせ、ヒーローが嫌いだとか何とかでしょ?」

 加奈と俺は幼なじみで、小学校、中学校、そしてこの「青月高校」でも一緒だった。

そんな長い付き合いだからこそ、お互いの行動パターンは大体解っていた。

 ……俺が小学生の時、帰り道で加奈に「俺はヒーローが嫌いだ」ということを何度も話していた。

さすがに今ではそういうことを口にすることは無いが、あの頃の事が印象的だったためか今も加奈にネタ扱いされていた。

「んなこと考えてねーよ、ったく」

 まあ、そう言っても加奈が信じてくれるとは思っていないが。

「そんなことより、とっとと行くぞ」

 俺は机の横に置いていた黒いバックを右肩にかけ、話題を変えた。

「行くって、何処に?」

「決まってんだろ、部活だよ。部活」

 どうやら加奈は、部活に行くことを忘れていたようだ。

コイツはしっかりしているようで、案外しっかりしていない。

 小学校の時、卒業式の日に制服を忘れて大事件になったことを俺はしっかりと覚えている。

「ていうかもう集合時間じゃん! 早く行かなきゃ」

 加奈の焦った声が、思い出に浸っていた俺を現実に呼び戻した。

 教室の壁に掛かっている時計を見る、二つの針は4時丁度を示していた。

「やべっ、とっとと行くぞ加奈!」

 振り向くと、既に加奈は教室からいなかった。

あの野郎……抜け駆けしやがって!

 とにかく俺も、部室へ行かなきゃ。



 この青月高校には、沢山の部活がある。

その中の1つ・七不思議部という名の部活に、俺たちは入っている。

部員は4人、活動内容は「この学校の七不思議が本当かどうか調べること」、

部室は3階にある理科室の隣だ。……ちなみに俺たちは今、七不思議部の部室にいる。

「お、遅れてスイマセンでしたァッ!」

 俺と加奈は、先輩達の前で深々と頭を下げた。

当然だ。部活開始時間に5分遅れてやってきたのだから。

「別に気にしなくていいよ、遅れることは誰にでもあることだからさ」

 2年3組14番で、七不思議部の部長でもある渡辺勝也さんは笑って許してくれた。

この人はルックスもいいし、勉強も出来るし、スポーツ万能。

おまけに気さくで優しい性格……俺の憧れの先輩だ。

「ちょっと、そんな甘いこと言ってていいの?」

 俺が胸を撫で下ろしたのもつかの間、勝也さんの隣にいる女は俺たちを睨んでいた。

「こういう後輩は、ちゃんと叱らないと駄目でしょ」

 青月高校の制服に包まれたスリムな体、しかし出てるところは出ている。

あとはそのキツい台詞を発さなければ、この女……美影美恵は完成していた。

「なっ――、そんなこと言わなくてもいいだろう美恵」

「だからアンタは甘いって言ってんのよ」

 ちなみに美恵が勝也さんにタメ口なのは、同級生だからだ。

そして俺が美恵のことをさん付けしないのは、気に入らないからだ。

「ほら! アンタ達も、もっと敬意を込めて謝りなさい」

 一応先輩なので、俺が美恵に逆らうことはできない。

俺と加奈は、再び頭を下げた。

「「すいませんでしたッ!」」

「声が小さい」

「「すいませんでしたァッ!」」

「もう一丁」

「「すいませんでしたああああッ!」」

 ……この女、いつか殺す。

「も、もういいだろ美恵」

 勝也さんのオロオロとした顔に、美恵は遂に諦めた。

「仕方ないわね、もういいわよアンタ達」

 俺は美恵に対する怒りで引き攣った表情を直しながら、顔を上げた。

「ほら、とっとと座りなさい。アンタ達のせいで8分もロスってるのよ」

 その中の3分は、アンタのせいだろうが。

という気持ちを秘めて(言ったら殺されそうだから)、俺と加奈はパイプ椅子に腰掛けた。

「さて……皆、明日は毎週号令の七不思議探検日だ」

 なんとも言えないネーミングセンスの漂う日。

これは毎週土曜日に行うもので、この青月高校の七不思議が本当にあるかどうかを確認する活動だ。

「今まで6つの七不思議を調査したが、どれも実在しないことは解った」

 誰も完全に、七不思議が存在するとは思ってないだろう。きっとこの人も。

……いや、この人なら完全に信じ兼ねない…………って、まあいいか。

「そして最後の1つは皆も知っているだろう、夜の図書館に現れる青い鎧を纏った男……」

 それは、俺と加奈が入学してから間もない頃に流れていた噂だった。

ある警備員の男が夜の見回りをしていたら、突然図書館から狼のうめき声が聞こえた。

慌ててその場へ向かってみたら、そこには青い鎧を纏った男と無残な死体となった狼がいた……らしい。

「今度は沢山の生徒が目撃しているらしいから、噂ではないだろう」

 勝也さんは、机の前で手を組みながら思いつめた顔をした。

「……すまない宗一、そして加奈」

「「え?」」

 突然謝罪をした勝也さんに、俺と加奈は呆気を取られた。

「実は明日、俺と美恵はどうしても外せない用事があってだな……」

 パンっと両手を合わせ、俺たちに何度も頭を下げる勝也さん。

俺と加奈は顔を見合わせながら、どうリアクションをとればいいのか考えていた。

「え、えーと……大丈夫ですよ、俺たちだけで行くんで」

「それは駄目だ!」

 机を強く叩きながら、切羽詰った顔で叫びだした。

俺たちは疎か、あの美恵でさえ動揺を隠せていなかった。

そんな俺たちを見て、ハっとした勝也さんはそそくさくパイプ椅子に腰掛けた。

「す、すまない……もし二人に何かあっても俺は助けに行けないから……」

 眼鏡の位置を直す仕草をしながら、俺たちと目を合わせないように横を向く。

勝也さんは、部長としての責任を感じているのかもしれない。いや、そうとしか考えられない。

それ以外の理由なんて、ある筈がないから。

「また来週にしよう、その時なら俺たちも予定が無いからさ」

 心臓の鼓動が落ち着かないまま、俺と加奈は同時に頷いた。

「では、今日はこれにて解散!次回の集合は月曜日の午後4時ジャストな」

 勝也さんは爽やかスマイル(定価0円、女子ならば誰でもイチコロ)をしながら、鞄を持って部室を去っていった。

やっぱりいつも通りの勝也さんだ、よかった。

「アンタ達、今日みたいに遅れるんじゃないわよ」

 美恵はスーパーSフェイス(定価0円、Mならば誰でもイチコロ)をしながら、鞄を持って部室を去っていった。

やっぱりいつも通りの美恵だ、畜生。




 校舎に出ると、茜色の空が俺たちの目の前に広がっていた。

まあ、俺の隣にいる加奈はそのことに関して何も思って無さそうだが。

「今日は色々と大変だったな、オイ」

「そうだねー」

「ま、結果オーライだったからいいけどよ」

 口では簡単に言えるが、俺は先程の勝也さんの行動に微かな蟠りを感じていた。

よく解らないが、何か裏がある……ドラマの見すぎだな、うん。

「あっ」

 家路につこうとした俺は、あることを思い出した。

「どしたの?」

「わりぃ加奈、先に帰っててくれ」

 180℃ターンをしてから、再び学校へと戻ろうとする。

「図書室に返さなきゃいけない本があるんだ」

「別に月曜日でもいいじゃない」

「いや、それは無理なんだ……」

 なんたって、図書委員会の委員長は美恵で、

本を借りてから一週間以内に返却しないと反省文を原稿紙5枚分も書かなきゃいけない。

 勘弁してくれよあの女、何でそんなにルールに厳しいんだよ畜生。

「とにかく先に帰っててくれ!」

 心の嘆きを繰り返しても、何かが変わるというわけでもない。

俺は青月高校の校門へと走り出した。






どうも初めまして、さめかんマイルドです。

この小説を読んでいただき、誠にありがとうございました。


文才や独特のセンスがあるわけでもないので、

あまりおもしろい小説じゃなかったかもしれませんね……

こんな小説でも楽しく読んでいただければ幸いです。

とは言ったものの……まだ第1話ですし、変身すらしてませんし(笑)


感想や意見などがあれば、よろしくお願いします^^

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