詩 自習時間、彼と過ごす
「今日は先生がお休みなので、自習の時間とします」
そう言うと、代理の先生が去っていく。
クラスが何かに開放されたかのように、騒がしくなる。
私は前の席にいる彼を見つめると、何と目が合い、「え」とびっくりしたが、自然と手招きする。
彼が立ち上がると、一瞬、しーんとなったが、すぐにそれぞれ移動して会話を始める。
彼が私のところへ来て、話しかけてくる。
「どうする? 何する?」
「どうしようか。勉強するのもな」
テキストとノートを閉じ、私は彼を軽く見上げる。
彼が口元を綻ばせたので、何故と首を傾げたのだが、何も告げなかった。
「2人で屋上にでも行くか?」
「それはまずいよ。教室は出ないほうがいい」
私が注意すると、まるで借りた猫みたいに、彼がしゅんとなる。
私の前では、色んな表情を見せてくれる少年のような彼。
「どうしようかな。…あ、そうだ!! 雑誌、一緒に見よう?」
私はカバンを開き、ファッション雑誌を取り出す。
彼が困惑しているので、微笑みながら言う。
「あなたがどんな服が好きか教えて」
「ああ、そういうことか」
隣の席が空いたので、彼は椅子に座り、一緒に雑誌を覗き込んでくる。
額と額がぶつかり合う。
彼がわざとしたのだが、「もう」と言って、やり返す。
バカップルみたいだなと思いつつ、
「どれがいい?」
とページを捲っていく。
「そうだな。…あ、この黄色のスカート、いいな」
「どれどれ。あ、センスいいね。折っておこうっと」
雑誌の端を折ると、彼が不思議そうに言う。
「何で折るんだ?」
「後で見直すためだよ。せっかく教えてもらっているのに、忘れるのは嫌だし」
「そうか。いい彼女だ」
「でしょ?」
よしよしと頭を撫でると、彼が少し目元を赤くし、雑誌を捲っていく。
「あ、このピンクの服もいいかも」
「本当だ。可愛い」
私が同意すると、彼はえっへんと胸を張る。
「困ったら、俺に言え」
「うん!!」
頼り甲斐のある彼。
なるべく似たような服を選ぶから、一緒に出かけようね。




