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女装探偵  作者: 相澤 沁
31/72

コスプレも楽じゃない3

イベント当日の昼過ぎ。

美穂、高木、由香の3人は、会場近くのファミレスで軽めのランチを済ませてから、コスプレイベント会場へと足を踏み入れた。

会場は巨大な展示ホール。

入場ゲートをくぐった瞬間、色とりどりの衣装と熱気が一気に押し寄せてきた。

あちこちで半裸に近い露出度の高いコスプレイヤーや、上半身裸で筋肉をこれ見よがしに誇示するマッチョ系レイヤーが闊歩している。

人気コスプレイヤーの周りにはすでに囲み撮影の輪ができていて、カメラのシャッター音と「もうちょっと右!」「ポーズお願い!」という声が飛び交っていた。

由香キュアドリームはピンクのフリルドレスを翻しながら、目をキラキラさせて言った。

「わー! すごい人! 美穂さん、高木さん、早く写真撮ってもらおうよ!」

美穂キュアレモネードは黄色のドレスに大きなリボン、短いスカートの下にしっかり肌タイツを着用。

高木キュアルージュは赤いドレスにウィッグを被り、クールな表情で周囲を見回しているが、明らかに「僕は何やってんだ……」というオーラを放っていた。

3人が会場内を歩き始めた途端、早速声がかかった。

「すみません! プリキュア5ですよね!?めっちゃ可愛いです! 写真いいですか?」

最初は1人、2人と増え、あっという間に10人以上のカメラマンが集まった。

由香の可愛らしい愛想の良さと、美穂の抜群の可愛さ、そして高木のクールで長身なルージュ姿が、一瞬で会場内のカメラマンたちの間で話題になった。

「レモネードさん、最高に可愛い……!」

「ルージュさん、クールビューティーすぎる……!」

「ドリームちゃんの笑顔、癒される~!」

囲み撮影が本格的に始まった。

美穂は自然にキュアレモネードのポーズを決め、「レモネード・ストリーム!」と決め台詞を言ってみせると、シャッター音が爆発的に増えた。

由香は隣でキュアドリームの元気いっぱいポーズを連発し、

高木は渋々ながらもルージュの炎をイメージしたクールな構えで対応。

カメラマンたちは興奮気味にレンズを向け続け、

「もう一枚!」「横から!」「3人で並んで!」と次々にリクエストが飛ぶ。

美穂は撮影の合間に周囲を軽く見回し、怪しい男や過度に接近してくるカメラマンがいないかを確認していた。

肌タイツのおかげでパンチラの心配はなく、囲みも今のところ健全なファン層が中心。

しかし、仁の過保護を考えると、油断はできない。

高木は低く呟いた。

「……僕、こんなところで女装して囲まれてる……人生最大の黒歴史だ……」

由香は高木の腕に軽く寄りかかり、

「高木さん、かっこいいよ!ルージュの情熱的な感じ、出てる出てる!」

美穂は小さく笑って、

「悠斗、意外とハマってるじゃん。由香ちゃんの笑顔のためだと思って、頑張れ!」

囲み撮影は30分近く続き、

3人のSNSタグが一気にトレンド入りし始めた。

会場内のカメラマンたちは「#プリキュア5再現」「#レモネード神可愛い」「#ルージュさんクールすぎ」とハッシュタグを連投。

由香はスマホで自分の投稿を見ながら大喜び。

「美穂さん! 高木さん! めっちゃバズってるよ!」

美穂は笑顔を保ちつつ、内心で呟いた。

「……仁さんが見たら、また過保護モード全開になるな」

イベントはまだ始まったばかり。

囲み撮影の輪はますます大きくなり、3人はプリキュア5の再現グループとして、

会場の一角で小さな伝説になりつつあった。

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