理解・分解・再構築
バルクアップして・・・いや、レベルアップして体も十分に仕上がった。
いよいよスライムとの対決だ。
まずは勝つための対策をせねばならない。物理攻撃は効きにくい。おそらく魔法などがあれば比較的楽に倒せるのかもしれない
ステータスに「じゅもん」という項目があるのでこの世界に魔法があるのは間違いない。
しかしスキルがレベルアップとは関係なく習得するため、
魔法もレベルアップ時に自動的に覚えるというわけではなさそうだ。
呪文以外の倒し方を考えなければならない。
次はスライムの攻撃手段。
一つは溶かすという攻撃方法。
おそらく濃硫酸のようなものだが、もし体全体が濃硫酸で覆われていたら移動時に周りのものを腐食させるはずだが、そのような痕跡はない。
つまり外皮によって覆われていると推察できる。
攻撃したひのきのぼうが溶けた事から外皮自体はそれほど丈夫ではないが、傷ついても致命的なダメージにはならないようだ。
もう一つが相手を窒息させる攻撃。
これは蚊のように二酸化炭素の排出を感知しているのだろう。
窒息という攻撃手段を用いる事から強酸を吐き出したり、
敵を取り込むための口があるのだろう。
倒し方としては火による蒸発が有効そうだが
ひのきの棒を燃やして突っ込む程度ではすぐに消されてしまいそうだ。
もう一つ考えられるのが中和だ。
体組織のほとんどを強酸で構成されている素体に
強アルカリ性の物体をぶち込んだら
それが毒になりえるのではないだろうか?
強酸の代表格である硫酸を中和させるには
アルカリ性の消石灰などを加えて化学反応で水と塩に分解する方法がある。
消石灰をまぶしたひのきのぼうで、突き刺し中和させる。
試してみる価値がありそうだ。
まずは消石灰の元となる石灰石を探す事から始めよう。
石灰石は貝殻やサンゴの遺骸が堆積したものから生まれるため
主に川辺や海などに多いが、通常の土壌でも見つけられる。
白くて軽めの石を捜し集めてみよう。
数十分ほどで手のひらいっぱいの石灰石が集まった。
これらを焼成すれば生石灰、水と反応させれば消石灰になるが、一つ考えていたことがある。
それは賢者の印の使い方だ。
・知識をそのまま体現できるようになる。
・より詳しい知識を得る事により精度・威力が向上する
・知識から熟練度マックスのスキルを生み出すことができる。
これはファンタジーの知識においても有効なのではないだろうか?
物質を理解・分解・再構築する化学であり、無から有を生み出すことは叶わず何かを得ようと欲すれば、必ず同等の対価を払う等価交換の原理というアニメのフレーズだが実際に存在するようなリアリティがあった。
実際に紀元前4世紀から中世まで研究され、卑金属を金などの貴金属に変えたり、不老不死の薬や万能薬・賢者の石を作ろうとしたあの技術。
錬金術だ。
錬金術がスキルとして顕現するのは確信めいたものがある。
知識を理解・分解・再構築するという点では賢者の印と錬金術は似ているからだ。
元素の周期表と化学反応式。魔法陣、古代錬金術の歴史。
そして「●の錬金術師」の知識を総動員し唱える
魂の深淵に眠る知恵の欠片よ・・・解き放て!
「スキル・錬金術を獲得しました」




