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第2部 第7章:告発と粛清

シーン7-1:告発前夜の静けさ


翌日の昼。

組合事務所には重い緊張が満ちていた。


小林が深く息を吐き、告発書類を閉じる。

「これを労基署にメールで送れば、後戻りはできない」


佐藤が頷いた。

「会社は必ず反撃してくる。特に白峰はな」


リアナは静かに目を閉じた。

(それでも…やらなければ誰も救えない)


ルカは不安げにスマホを握っていた。

「私…白峰さんに呼び出されたんです。

“今日の19時、コンプラ室に来い”って…」


空気が凍った。

狙われている。

明らかに。


小林が叫ぶ。

「罠だ! 行くな!」


しかしルカは、震える手を胸に当てた。

「…でも、逃げたくない。

リアナさんに守ってもらうだけじゃ…嫌だから」


その瞳には、弱さも恐怖も、すべてを抱えた上での強さが宿っていた。


リアナはルカの手を取り、強く握った。

「なら、私も一緒に行きます」


戦いは、もう始まっていた。



---


シーン7-2:コンプラ室の闇


19時、会社の最上階。

照明が消えた廊下に、白峰の影だけが静かに揺れていた。


ルカが一歩踏み出しかけた瞬間――

リアナが前に出る。

「白峰室長。呼び出した理由は何ですか?」


白峰はわずかに笑った。

「二人一緒に来るとは思わなかったよ。

だが都合がいい。

まとめて処理できる」


空気が震え、闇のような波が押し寄せる。


ルカの足がすくむ。

リアナが咄嗟に彼女を抱き寄せた。

(やはり…! 彼は“境界の力”を使える)


白峰は手をひらりと上げる。

「安心しろ。苦しませはしない。

“境界に還るだけだ”」


その瞬間――

リアナの魔力が光となって弾けた。



---


シーン7-3:証拠送信と裏切り者


同じころ、組合事務所。


小林がメールを送信しようとした瞬間、PC画面が真っ黒になった。

「なっ…!?」


佐藤が叫ぶ。

「システムが乗っ取られた! 白峰の仕業か!?」


しかし次の瞬間、事務所の扉が開いた。

立っていたのは――

会社のベテラン社員で、普段は温厚な総務の岩田だった。


「すまない…小林君。

会社のためなんだ」


小林は目を見開く。

「岩田さん…? まさか、白峰側…!」


岩田は苦しげに言った。

「家庭がある。

いま白峰に逆らえば、私は…」


葛藤と恐怖が入り混じった彼の表情。

組織の闇は、多くの“弱さ”を抱え込ませていた。


だが、その時――

佐藤が吠えた。

「岩田さん、あんたは同じ現場を生きてきた仲間だろうが!!」


言葉は、岩田の拳を止めた。

震える彼の手。

涙が落ちる。


「…すまない。

私が間違っていた」


岩田はノートPCを差し出した。

「これ、裏口のネットワークキーだ。

それで…送れ」


小林はPCを開き、送信ボタンを押した。

内部告発が、ついに放たれた。



---


シーン7-4:白峰の暴走、そして決意


最上階。

リアナと白峰の力がぶつかり、空間が軋む。


「どうして邪魔をする、リアナ!」

白峰の声が震える。

「境界は乱れている!

転移者が増えれば、この世界は壊れる!」


リアナは叫んだ。

「だからといって、ルカを消していい理由にはならない!」


闇と光が激しく衝突する。

圧に耐えきれず、ルカが膝をつく。


その瞬間、白峰の手がルカへ伸びた。

「お前が最も危険だ――消えるんだ!」


リアナは叫びながら飛び込んだ。

「ルカには…私がいるッ!!」


光が爆ぜ、白峰の攻撃を弾き返す。

リアナの魔力が、今までにないほど強く輝いていた。


白峰は後退しながら呻く。

「なぜだ…!

聖女の力はこの世界で消えるはず…!」


リアナは息を荒げながら言った。

「この世界で出会った人達の想いが、

私の力を支えているからです!」


白峰はしばらく沈黙し、やがて苦々しく笑った。

「ならば…いずれ世界そのものが、お前を拒む」


彼は影に溶けるように姿を消した。

撤退――

だが、終わったわけではない。


リアナはルカを抱きしめ、震える声で言った。

「大丈夫。

あなたは絶対に私が守る」


ルカは涙を浮かべながら頷いた。

「私も…守りたい。

リアナさんと、この世界を」


その言葉に、リアナの胸は熱くなる。

二人の絆は、確かな力となって輝き始めていた。



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