第2部 第5章:敵は社内にいる
シーン5-1:不正の核心へ
翌朝。
組合事務所に小林が飛び込んできた。
「リアナ! とんでもないものを見つけた!」
机に叩きつけられたノートPC。
真っ黒な画面に映し出されるのは、見慣れた生産管理システムに似ているが、どこか歪んだ画面だった。
「これは…?」
佐藤が唸る。
「本来アクセスできない“裏データ”だ。生産性の数字を自動操作するプログラムが走ってる」
リアナは眉を寄せた。
(やはり数字は捏造されていた…)
小林は声を潜める。
「しかも…この改変を許可してるのが“コンプライアンス室”だ」
空気が凍りつく。
白峰。
改革の裏で何をしようとしているのか――
その核心がようやく姿を現し始めていた。
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シーン5-2:消えたログイン記録
「見ろ、ここもおかしい」
佐藤が別の画面を開く。
システムログは穴だらけだった。
不正アクセスの記録だけが“きれいに消されている”。
リアナは目を細める。
「これは…普通の社員ではできません」
小林が頷く。
「そう。ログの完全消去ができるのは、管理権限を持つ部署だけだ」
つまり 内部の誰か が、意図的に不正を隠している。
ルカが緊張した面持ちで言う。
「白峰さんが…ですか?」
「可能性は高い。ただ…奴は一人じゃない」
佐藤が重い声で言う。
「コンプラ室全体が、“改革成功”という結果を作るために動いてる」
リアナは拳を握った。
(改革そのものが“現場を疲弊させるための計画”なら…)
(これは単なる職場問題ではありません)
敵は組織的。
そして――冷徹だ。
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シーン5-3:裏切りの兆し
夕方。
リアナは資料室で、白峰とばったり出会った。
「リアナさん。あなた、何か…余計なものを調べていますね?」
白峰の声は丁寧だが、奥に鋭い刃が潜んでいた。
リアナは表情を崩さず言う。
「社員の安全を守るための情報です。
職場に不正があれば、改善しなくては」
白峰の目が細くなる。
「“守る”…ふむ。あなたは本当に優しい」
一歩、白峰が前に出る。
その瞬間、空気が冷えた。
リアナは魔力の感覚に似た“異質な波”を感じ取る。
(やはり…あなたは普通の人間ではありませんね)
白峰は囁くように言った。
「あなたのような人は――組織には不要なんですよ」
その言葉は、警告でも脅しでもない。
“宣戦布告”だった。
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シーン5-4:動き出す内部告発計画
夜。
組合事務所に再び皆が集まった。
小林は深刻な表情で話し出した。
「このままじゃ現場は壊される。
だから…内部告発をする」
佐藤が頷く。
「証拠はほぼ揃ってる。数値改ざん、ログ消去、労働実態の悪化。
全部まとめれば、労基署だって動くはずだ」
リアナは静かに言った。
「ただし、相手は白峰。
動きが遅ければ先に処分されます」
ルカが小さく手を挙げる。
「私…やります。
白峰さんは私を気にしてますから…
注意を引きつけられるかもしれない」
リアナは驚いた。
「ルカ、危険です」
だがルカは震えながらも言葉を続けた。
「…もう逃げたくない。
リアナさんに守られてばかりじゃ…嫌だから」
その眼差しは、はっきりと覚悟を宿していた。
リアナはゆっくり頷く。
「わかりました。
なら、私もあなたを守りながら戦います」
内部告発計画
それは、現代社会という巨大な敵に挑む第一歩だった。




