第2部 第4章:ルカの正体
シーン4-1:揺れるルカの心
翌日の昼休み。
リアナは人目のない倉庫裏で、ルカと向き合っていた。
ルカは胸の前で手を握り、震える声で言った。
「リアナさん…どうして、私が“こっちの人間じゃない”ってわかったんですか?」
リアナはそっと言葉を選ぶ。
「あなたの目に残る光。それは異世界の魔力を見たことがある者にしか分かりません」
ルカの肩が小さく揺れた。
「私…あの日、気づいたらこの世界にいて…
名前以外、全部ぼんやりしてて…」
記憶の欠片すら曖昧。
それは、リアナと違い“意図せず転移した者”の特徴だった。
リアナはルカの手を包む。
「大丈夫。あなたは一人ではありません」
その一言に、ルカの瞳が揺れていた。
---
シーン4-2:断片的な記憶
ルカはゆっくりと語り始めた。
「…ずっと霧の中みたいなんです。でも…ひとつだけ、覚えている声があって」
リアナは頷く。
「どんな声ですか?」
「“逃げろ。狙われている”
…そう言われた気がするんです」
リアナの背筋に冷たいものが走った。
(異世界からこの世界へ“逃がされた”?
誰が? 何から?)
しかも――ルカの記憶が曖昧なのは、転移の際に誰かが意図的に“魔力痕跡”を封じた可能性がある。
リアナは静かに言う。
「あなたは偶然ここに来たのではありません。
誰かがあなたを守ろうとしたのです」
ルカは驚いた目を向けたが、その目には希望の光も宿っていた。
---
シーン4-3:白峰との接点
その時、背後から足音が響いた。
ルカが怯えたように振り向く。
「何をしているんですか、お二人とも」
白峰が立っていた。
笑みを浮かべているが、目だけが獲物を狙うように鋭い。
リアナが前に出て、ルカを庇う。
「白峰室長、私たちは休憩を取っていただけです」
「そうですか。
ただ――如月さんには少し聞きたいことがありましてね」
ルカが震えた。
リアナの胸がざわつく。
(なぜ白峰がルカを狙う?
異世界を知らぬはずの彼が…)
白峰は微笑んだまま言った。
「君の過去には…興味深い空白がある」
その声は、まるでルカの記憶の奥底に手を突っ込み、引きずり出そうとするかのようだった。
---
シーン4-4:守ると誓う
白峰が立ち去った後、ルカは崩れ落ちるように座り込んだ。
「怖い…あの人…私のこと全部、知ってるみたいで…」
リアナはルカの肩に手を置いた。
「大丈夫。あなたは私が守ります」
ルカの瞳が弱々しく揺れる。
「本当に…?
私、迷惑ばかりで…」
「迷惑なんて思っていません。
あなたが感じる恐怖も、戸惑いも…
“この世界で生きようとする証”です」
ルカは小さく頷き、涙を拭った。
リアナは夜空に目を向ける。
(ルカを追う者。そして白峰の正体。
異世界の影は、まだ終わっていない)
風が吹き、薄闇の中で誓いが静かに結ばれた。
リアナはルカを守る。何があっても――。




