第2部 第3章:謎のコンプライアンス室
シーン3-1:静かに現れた部署
働き方改革の試験期間が始まって数日。
ある朝、工場の掲示板に新しい張り紙が貼られていた。
> コンプライアンス室 新設
社内の正しい運営と透明性を確保するため、
職場の監査と調査を行います。
森川が眉をひそめる。
「コンプラ室? なんだって急に…」
佐藤が資料を読み、青ざめた。
「おい、これ…“従業員の行動記録収集”とか書いてるぞ。監視じゃねえか」
リアナは静かに目を細めた。
(このタイミング…完全に改革と絡んでいます。
目的は“改善”ではなく“抑え込み”)
人々はざわつき始める。
だが、そのざわめきの奥で、黒い力が静かに動き出していた。
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シーン3-2:奇妙な面談依頼
昼休み、リアナの元へ一枚の紙が渡された。
> コンプライアンス室 面談通知
対象:リアナ・アークライト
「私が…?」
リアナは紙を見つめる。
小林が駆け寄り、顔を険しくする。
「リアナ、気をつけろ。コンプラ室は“ただの監査”じゃない。
組合の動きを調べるつもりかもしれん」
佐藤も低い声で言った。
「最近、組合関係者ばかり呼び出されてる。
お前がターゲットになるのは当然だ」
ルカは不安そうに袖を握った。
「リアナさん…危ないことをされるんじゃ…?」
リアナは静かに微笑む。
「大丈夫。どんな質問にも、真実で答えます。
私たちは正しいことをしていますから」
しかし、その裏で不穏な影がリアナを狙っていた。
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シーン3-3:コンプライアンス室の男
面談室は、工場の一角に作られた臨時の小部屋だった。
中には背の高いスーツ姿の男が一人座っている。
「リアナ・アークライトさんですね。
私はコンプライアンス室の室長、**白峰**です」
彼の声は柔らかいが、瞳は冷たかった。
リアナは胸がざわつくのを感じる。
(この人…どこかで感じたような気配。
ただの人間ではない“質”を感じます)
白峰は書類を開いた。
「あなたは職場で“影響力がある人物”だと聞きました。
組合活動にも積極的とか」
「はい。
仲間の負担を減らすために、できる範囲で協力しています」
白峰は笑った。
だがその笑みの奥に、刺すような意図が潜んでいる。
「では…あなたの“本当の目的”を聞かせてもらえますか?」
面談は、尋問へと変わりつつあった。
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シーン3-4:見えない敵の気配
面談を終えた帰り道、リアナは胸に重たい石が乗ったような感覚を覚えていた。
白峰の言葉は柔らかかった。
だが質問の一つひとつが、
“リアナの正体”
“組合の動き”
“仲間との関係”
を探るための罠だった。
その時、背後から小さな足音が近づく。
「リアナさん!」
ルカが駆け寄り、不安げに顔を覗き込む。
「よかった…無事で…」
リアナは優しく微笑んだ。
「心配をかけてごめんなさい。でも…」
風が吹き、髪を揺らす。
その風の中に“異世界の痕跡”に似た微弱な魔力の乱れがあった。
リアナは目を細める。
(白峰…あなた、ただ者ではありませんね)
現代社会の新たな敵。
それは異世界よりも静かで、鋭く、冷たかった。




