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猫カフェとグラサン

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。


……ではなく、とある猫カフェの前。




「う〜ん、早く来すぎたかなぁ……。」




ちょっと浮き足立っていたあさぎは、約束の15分前に待ち合わせ場所に着くと、後ろから声をかけられた。




「ちゃおっすあさぎちゃん。」


「きはだ?早いね。」


「あさぎちゃんもねぇ。」


「これであと2人か。」


「いや、1人。」


「え?」




きはだがちょっと離れたところを指差すと、その先にはお巡りさんに職質されているサングラスをかけた赤髪の女性……ひいろの姿があった。




「1人だなぁ……。」


「なはは、良い時間潰しじゃ。」


「気づいてるなら助けてあげなよ……。」


「う〜ん……あと5分。」


「ばっちり起きてるでしょ!」


「まあね。」


「もう、さっさと助けに行くよ?」




あさぎときはだは職質されてるひいろのもとへと駆けつけ、お巡りさんに事情(?)を説明した。




「ありがとう2人とも。助かった……。」


「猫カフェ入る前からサングラスつけてたら不審だって……。」


「いや、つけてなくてもされる時はされるんだ。」


「詰んでて草ァ!」


「生徒手帳とか見せればいいじゃん。」


「今日に限って持っていないことにさっき気づいたんだ。……まったく、ワタシとしたことが。」


「あ、そろそろ待ち合わせの時間だ。」


「もうそんな時間なのか?」


「けっこう捕まってたもんねぇ。」


「助けてあげればいいのに……。」


「まったくだ。さっさと移動する……、




きはだに放置されていたことに少し腹を立てたひいろが猫カフェの方を見ると、白ちゃんが1人で腕時計をしきりに見ているのを見つけた。




「ひいろ?」


「……おお〜、白ちゃんが挙動不審だねぇ。ちょっと観察するかねぇ。」


「ま〜たきはだは……。」




子猫みたいに服を掴まれてあさぎに連行されるきはだを含んだ3人は、待ち合わせ場所の猫カフェ前へ戻った。




「あ!ちょっと遅刻よ?」


「いやぁごめんごめん、時計をチラチラ見て右往左往する白ちゃんが面白くて。」


「まったくきはだは……。」


「とにかくこれで全員揃ったな。」


「あ、ひいろちゃんサングラスかけてるのね。」


「これがないと、猫カフェが逃げ惑う猫たちで阿鼻叫喚の地獄絵図になるからな。忘れないようにかけてきた。」


「それはそれで気になるわね……。」


「取らないからな?」


「ねぇねぇ早く行こ〜よ〜?」


「そうだな。じゃあ


「……、」

「……、」

「……、」




ひいろが猫カフェの入口のドアを開けると、あさぎ、きはだ、白ちゃんはどこからともなくサングラスを取り出し、




「「「行くぞ!」」」

「行くぞ




猫カフェの受付前に、サングラスをかけた不審な女性4人組が並び立った。




「ええ……っ!?」




入口前でたむろする一行を出迎えてくれた制服のお姉さんはサングラスの4人衆に驚いて尻もちをついてしまった。




「すまない!?大丈夫か……?」


「は、はい……。」




ひいろが差し伸べた手につかまり、制服のお姉さんが立ち上がった。




「あの、ありがとうございます……///」


「いや、こちらこそすまなかった。」




ひいろがサングラスを外し折りたたんで、頭を下げて謝罪すると、制服のお姉さんからの熱い視線に気づいて再び顔を上げた。




「あああ、赤井さん!?///」


「え?」


「あら?ひいろちゃんその子と知り合


「「白ちゃん、しっっ!!」」




蚊帳の外から会話に入った白ちゃんをあさぎときはだが(いさ)めた。




「……キミは、この前保健室に来た……!?」


「……はい///この前はありがとうございました。」




「あ、もしかしてこの前ひいろちゃんが手当てしてあげ


「「はいはいあっち行ってましょうねぇ……!!」」




「……ところで、あの方たちは?」


「「路傍の石ですっ!!」」




あさぎときはだが『見てんじゃねえっ!』とでも言いたいかのように、食い気味に応えた。




「何でろぼ……え?




いつの間にか路傍の石にされて困惑する白ちゃんはあさぎときはだに両腕を抑えられ、




「「お先に入ってまぁぁあすっ!!」」


「え、ちょっと……!?」




あさぎときはだは制服のお姉さんのポケットにそれぞれ5000円札を押しこみ、奥の部屋へと白ちゃんを連行した。




猫カフェ、ふれあいルームにて。




「ちょっと!もうなんなのよ?」


「「それはこっちのセリフです(だ)よ……!」」


「え、なんでこっちが怒られてるの……?」


「い、い、で、す、か!?今ひいろに春が来てるんです!」

「満開なんだよぉ!」


「春?」


「あの日たまたま白ちゃんが保健室を空けて、

「ひいろちゃんが白衣着てぇ!」


「あの日たまたまあの先輩が怪我をして!

「手当てしてぇ!」


「「フォーリンラブッッ!!」」


「えぇぇ……。」




2人の剣幕に白ちゃんはたじたじ、猫たちもサングラスの3人を部屋の隅っこで遠巻きに見つめていた。




「というわけで暖かく見守ってあげてください。」


「わたしたちはにゃんこの相手をしてればいいのさ。」




あさぎときはだは猫ルームにいた別の店員さんに説明を受け、それぞれ目星をつけた猫に構い始めた。




「そういえば猫カフェだったわねここ。私も猫と遊




白ちゃんが立ち上がりサングラスを外すと、部屋にいた猫たちは風に飛ばされる綿埃のように白ちゃんから距離をとり、掃除しきれなかった埃のように隅っこでかたまった。




「あ!?」


「待ってよぉ〜。」




当然、あさぎときはだが構っていた猫も隅っこへ。




「「白ちゃん(先生)……!?」」


「い、いやこれはわざとじゃ


「とりあえずサングラス。」


「…………はぁい。」




白ちゃん、本日2度目のサングラス。




「よぉ〜し、これで




白ちゃんが猫に向かってゆっくり歩き出すと、



「うわぁ……。」


「面白いように避けられてる。」




やっぱり白ちゃんからの距離を最大化するように、猫たちは隅っこから隅っこへ逃げ惑うのであった。




「すごい……こんなことあるんだ。」




ふれあいルームの店員さんも唖然としていた。


その後、白ちゃんは店員さんに呼び出され、匂い消しやおやつ、着ぐるみなど色々試みたようだが、退店するまで猫に逃げ惑われ続けた……




「なんでよぉ〜!?」






あーかい部!(4)




あさぎ:投稿完了


白ちゃん:休日なのに悪いわね


あさぎ:これも私がやりたくてやってることですから


きはだ:わたし『達』ねぇ?


白ちゃん:2人とも……!


あさぎ:ひいろを逃さないためにねぇ……!?


きはだ:逃さないよぉ……!?


白ちゃん:さっきの感動を返せ


ひいろ:な、何からだよ?


きはだ:まったまたとぼけちゃって〜


あさぎ:ひいろ、実を言うと今日の猫カフェ回、完全じゃないんだ


ひいろ:そうなのか?


あさぎ:だから、次回はその補完をお願い


ひいろ:補完?よくわからないが別に構わないぞ


きはだ:ちゃんと補完してねぇ……?


あさぎ:計画通り……!


白ちゃん:まぁ〜た何か悪いこと考えてるわね?


ひいろ:不審だ、確認してこよう




ひいろ:おかしい、特におかしいところは見受けられないぞ……?

ひいろ:フォーリンラブは消しておけ


きはだ:手のひらドリルで草ァ!


白ちゃん:2人が憶測で言ってるだけなんだし、消さなくても良いんじゃないかしら


ひいろ:そんな、白ちゃん……


あさぎ:ひいろ。否定したいなら、わかるよね……?


ひいろ:そういうことか……ワタシはまんまと嵌められたわけだな?


白ちゃん:なるほど、これはあさぎちゃんからの挑戦ってことなのね……


ひいろ:いいだろう!次回はあの後の受付での出来事を書いて、色恋沙汰なんて無いと証明してみせようじゃないか


きはだ:やめとけやめとけ

きはだ:長文レスはムキになってる証だぞ〜?


白ちゃん:まあ楽しみに待ちましょう

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