92話 流星群の姫霰
「や、辞めてくれ!!い、一体どうしたんだよ!!ゆっき〜!!」
佳観阿は、自身を攻撃してきた雪女を見て、怯えていた。
スタスタ・・・ピタッ
う、うぅぅ・・・
雪女は少し歩いて、何故か立ち止まった。
・・・?
「ど、どうしたんだ・・・?ゆっき〜・・・」
早く殺しちゃいなよ♡貴方を人間の言語を話す道具としか見てない男を♡
雪女は現在、メイディスト・フローラムに精神を完全に掌握されそうになっていた。
(ご、ご主人様はそんな目で見ていない!!)
ホントかな〜?
!!
佳観阿は絶対に、貴方を性欲処理に使う穴だったり、道具としか見てないよ
(・・・ホントに?)
多分そうだよ〜
(・・・嘘だ!ご主人様が・・・ご主人様が・・・そんな事を・・・)
ポロッ
・・・?
(ゆ、ゆっき〜が・・・)
泣いてる・・・?
さっ、早く楽になりましょ?
その方が、貴方の身の為よ?
(で、でも・・・)
雪女は葛藤していた。
・・・なら、もう仕方ない
無理矢理、掌握するしかないみたいね
じゃっ、乗っ取らせてもらいましょうか
・・・!!
(う、うぐぐっ!)
雪女の心臓の動きが、突然速くなった。
はぁ・・・はぁ・・・
(く、苦しい・・・ご主人様に助けを・・・求めたい、だけど・・・声が・・・出ない・・・)
(ゆ、ゆっき〜が苦しんでる・・・助けに行きたいが・・・)
・・・クソッ!
佳観阿は、自身の壊死している両脚を見て、助けに行きたい気持ちと、助けに行けない気持ちで、いっぱいいっぱいになっていた。
・・・うぅ
ぐすんっ
「ゆ、ゆっき〜・・・御免な・・・俺が・・・ちゃんと護れなくて・・・弱くて御免な・・・」
自身に対する、罪悪感、嫌悪感により、佳観阿は泣いてしまった───
・・・ダッ!
ガバッ!
!!?
うっ・・・ぐすんっ
「ゆ、ゆっき〜・・・?」
佳観阿の眼の前に居た筈の雪女が、いつの間にか佳観阿を包み込む様に、抱きしめていた。
・・・ご主人様
『すいませんでした、私・・・どうかしてました』
でも・・・もう安心して下さい
『もうご主人様に・・・涙を一滴も出させません』
そう言いながら雪女は立ち上がり、ゆっくりと顔をフローラムの方へ向けた。
!?
『ま、マジか・・・私のスキルを・・・自力(じりき』で解いた?弱くなったと言ったけど・・・今でも、十分過ぎる程強い・・・』
流石は雪の女王───
ズガァン!!
!!?
『な、何───』
やあやあやあ!藍那!!
フローラムの背後に、2人の人間が豪快に地面に着地していた。
・・・?
(誰だ・・・?この声・・・)
(それに・・・藍那?)
佳観阿は、この声が、誰が発声しているか分からなかったが、唯一分かった事があった。
な、なあ・・・
「ゆ、ゆっき〜・・・怒ってる?」
雪女が、見てもわかるぐらい、怒りで震えている事だ。
『あ、アフィヤード・・・!!』
おっ!
『藍那〜!!会いたかったぞ〜!!』
全裸のアフィヤードは、雪女を見た瞬間、嬉しそうに雪女の方に走った。
タタタッ!
固有スキル発動 流星群の姫霰
アフィヤードは走りながらスキルを発動した───
ドドンッ!ドドンッ!!
!?
「な、何───」
え?
佳観阿は見た。
上空に、蒼白く、幾億もある流星群が此方に落ちてきていた。




