89話 氷獄禁極永琳業
ブルブルブル
「さ、寒い・・・マジ凍死するって・・・」
寒さに耐性がない佳観阿と和香は、携帯のバイブレーションの様に、震えていた・・・
『大丈夫ですか?ご主人様』
佳観阿の背後に居た雪女が、心配そうな顔で覗き込んで言った。
あ、ああ・・・大丈夫だ・・・
「こ、これぐらい・・・耐えれる・・・筈」
・・・温めましょか?
ガバッ
そう言いながら、雪女は着物の前部分を開けた。
『此処に入れば、身も心も生殖器も暖かくなりますよ?』
・・・いやっ、大丈夫だ
『何でですか?このままずっと寒い状態で良いんですか?』
それは嫌だが・・・
「これも、未知の世界に耐える為の手段だ、他人の手は絶対に借りん・・・これは俺1人で、何とかする」
ご、ご主人様・・・
『物凄く主人公見たいな台詞ですね!』
・・・馬鹿にしてんの?
佳観阿は、雪女に馬鹿にされた様な気がし、低い声で言った。
えっ・・・いやいや!
『馬鹿になんてしてません!でも・・・少しだけなら・・・』
えへへ・・・
雪女は可愛らしく、笑った。
・・・取り敢えず、行くぞ
そう言いながら、佳観阿は視界が不鮮明で不明確で、雪が降る所を歩いた・・・
『何処に行くんですか?』
・・・知らん
「勘で歩いてる」
・・・マジですか
雪女は困惑しながらも、佳観阿の後に付いて行った・・・
・・・ガサガサッ!
?
「今・・・音がした?」
和香は何処からか聞こえた音を探そうと、360度周りを見渡した。だが、何も見えなかった。
✡✡✡
ザッザッザッ
・・・ご主人様
「何だ、ゆっき〜」
・・・ピタッ
『誰ですか・・・貴方は』
???
「お、おいおい・・・何言ってんだよ・・・俺だよ!黛佳観阿だよ!!」
「そ、そうだよ・・・何処からどう見ても、佳観阿ちゃんじゃろ?」
雪女は佳観阿の姿をじっくりと見た。
和香の言う通り、顔.髪型.背丈・・・何から何まで、佳観阿だが、雪女は、1つ・・・可笑しな物を発見した・・・
・・・!?
『ご、ご主人様・・・それ・・・何ですか?』
雪女は何かに指を差した。
?
「それ?一体何が・・・」
!!?
佳観阿は驚愕いた。
何故なら、先程まで履いていたズボンがなくなり、脚部分が丸見えできたからだ。
それに・・・脚部分が、氷で出来ていた。
『ご主人様の格好を模倣するな!!』
固有スキル発動 何でも作れる奇跡の結晶
パキパキッ!!
うぉぉお!!
ヒュッ!
雪女は右掌から氷の飛去来器を作り、思いっきり投げた。
・・・はは!
「やっぱり、この御方は素晴らしい』
固有スキル発動 氷獄禁極永琳業
パキパキッ!ドッ!
???は無空間から大きな結晶を出し、雪女からの攻撃を防いだ。
『なっ!やるな───』
・・・あれっ、雪が・・・止んだ?
先程まで降っていた雪は、ピタリと止んだ。
周囲を囲んでいた濃い霧も晴れてきていた・・・
・・・!?
(な、何よ・・・ご主人様の姿をしていた人って・・・あんな綺麗だったの?)
雪女は、目の前にいる人の姿を見た。
蒼白い鎧.薄紫色のポニーテール.透明感溢れる肌.バッチリお目々.高い鼻.モデルの様な顔の形.健康的な太腿の、格好いい女性がいた。
始めまして、"元"雪の女王
『私・・・次世代の雪の女王に仕えております。メイディスト・フローラムです』
宜しく・・・お願いします
フローラムは、ボウ・アンド・スクレープと言う体勢を取り、言った。




