51話 久遠鎮華の過去 XVI
・・・あっ
「そうだそうだ、俺・・・この時計でここまで来たんだ」
鎮華は腕に布越しで着けていた時計を見た・・・
ピピッ、ピピピピッ
行き先 元離宮二条城
プツッ
鎮華の目の前が真っ暗になった・・・
・・・パチッ
「・・・ようやく戻って来たのか・・・」
ここに・・・
鎮華はようやく、元いた場所に戻って来た。
・・・ん?何だこれ
ひょいっ
「・・・手紙?」
鎮華の約2m下方に、1つ、手紙が地面に置いてあった。
・・・見てみるか
パラッ
鎮華は手紙に書いてあるのを見た・・・
久遠鎮華君へ
この手紙を読んでいるという事は、既に我は、昔住んでいた故郷に帰ります。
理由は特に教えたくありません。
突然こうなってしまった事に関して、、少し申し訳なかったので、鎮華君の近くに、我が一番頼っている男を呼び寄せました。
その男は少し気性が荒すぎるので、頑張って取り押さえといてください。
では!また逢う日まで!
ディッド・アルスバーンより
「アルスバーンさんは昔住んでた所に帰ったのか・・・そしてアルスバーンさんが頼りにしていた男・・・一体だ───」
ズゴォン!!
!!?
「な、何───」
ドガッ!バキッ!
ぐはっ!
鎮華は何者かに顔を殴られ、左脚にローキックを食らった。
はぁ・・・はぁ・・・
「だ、誰だ・・・いきなり攻撃しやがっ───」
此奴がアルスバーンが認めた男か、軟弱だな
鎮華を見下すように、黒ロングコート.黒髪ショート.センター分け.高身長の男が前に立って居た。
「な、何でアルスバーンさんの名前を・・・!?まさか・・・貴方があの、アルスバーンがここに呼び出した男・・・?」
ああ、俺の名前はシヴェルト・ダーリングラード、お前と共に行動をする様にアルスバーンから言われた、宜しくな
で、そこから俺は約1年ぐらい、ダーリングラードさんと共に旅をしました
・・・
(ダーリングラードが数年前に、もうこの世界にいたのか・・・それに、ダーリングラードが何者かと旅をするって確か小説でも書いたな)
俺は、ダーリングラードさんと別れてから、今の今までずっと、人を殺してきました。でも、それは自分でも仕方ない事だと思います
・・・何で?
それは・・・ダーリングラードさんに言われたんです・・・
ダーリングラードが鎮華の元から立ち去る直前
静岡県立美術館 ロダン館
地獄の門前
もう行っちゃうんですね、ダーさん
「ダーさんとは呼ぶな」
ダーリングラードは美術館の中にあった「地獄門の鍵」を入手し、扉をあけ、何処かに行こうとしていた。
・・・前言っていた所に、行くんですか?
「ああ、もう帰る時期になったからな」
・・・アルスバーンさんにまた宜しくと伝えておいてください。
・・・
「お前が直接言え」
いやっ、俺はアルスバーンさんが何処にいるか分かんないし・・・
鎮華は下を向き、もじもじとした。
・・・
「アルスバーンと逢いたかったら、この世界にいる人間を誰彼関係なく300人殺せ、そうすれば此方からまた、迎えに行く」
・・・え?300人・・・殺せ?
「ああ、簡単な事だろう?」
まあ・・・簡単ですけど・・・ホントにそれだけで良いんですか?
おう
・・・わかりました
鎮華は少し間を開け、口を開いた。
「ちゃんとこの手で300人殺します、約束は絶対ですからね?」
わかった
「じゃあな・・・鎮華」
ダーリングラードは地獄門の中に入った。
数秒後、地獄門は閉じた。
・・・初めて名前呼んで貰えた・・・マジで嬉しい!!
鎮華は喜んだ・・・
なるほどね〜
「それで、あんな風に人を殺してたんだな」
「ああ・・・」
・・・まあ
「そんな事を言われたとしても、人を殺すのは良くないよ、なあゆっき〜」
そうですね・・・それより、この男の顔の火傷はどうします?治します?
「まあ・・・治せるなら治して」
わかりました
パキパキッ、パキッ!
雪女は掌から人の顔位の寸法の薄っぺらい氷を出し、鎮華の顔面にのせた。
「お、おい!これなんだ!!滅茶苦茶冷たいぞ!!」
五月蝿い、喋ってると怪我させるよ?
・・・
鎮華は黙り込んだ。
腕を組み、その場に立っている雪女が殺気を出し、怖かったから・・・
約1分が経過した頃
・・・そろそろですね
ペラッ
雪女はゆっくりと薄っぺらい氷をとった・・・
・・・!?
「お、おおっ!な、治ってる!!」
凄いぞゆっき〜!!
佳観阿と鎮華は喜んだ。
鎮華の顔が元の綺麗な状態に戻っていたからだ。
これにて、久遠鎮華の過去編が終わりとなります。
次の話からまた九州地方に行くまでの旅路を書きます。




