5話
「・・・え?そうなんですか?」
「まあね、でもそれはあまりオススメはしたくないんだけ───」
ガシッ!
佳観阿はデッドラインの肩を掴み
「その2つ目の方にしたいです!!」
そう言った。
※千年虚空念仏の修行内容
0〜120年 坐禅.勉学.清掃
120〜300年 滝行
300〜410年 毎日40kmランニング
410〜600年 真っ暗な部屋で精神統一
600〜750年 四方1mの部屋で生活
750〜1000年 気温40℃の部屋で冷房なしの生活
ダーリングラードはこの修行を軽々と全て終わらせる事が出来た。
「まあわかりました・・・じゃあその2つ目の方について話しますよ」
「やった!」
「その2つ目の方は・・・」
・・・
デッドラインは少し間を開け
「自身が持つ最大のトラウマを約1週間絶え間なく流す・・・」
・・・
「なぁ〜んだ、簡単な事じゃん、1週間ずっと耐えれば良いんだろ?楽勝楽勝♪」
「じゃっ、早くそのトラウマの奴を始めてくれ」
「・・・え?良いんですか?」
「ああ、俺にはトラウマなんてもんが少ないし、そもそも合ったとしても軽い奴ばかりだしな、行けるいける」
「まあ・・・わかりましたよ、じゃあ・・・行きますね?」
特殊スキル発動 過去と未来は全て輝かしい記憶
パァー、
佳観阿の目の前は白く明るくなった。
「・・・あっ、今言いますが、途中で辞めたくなってももう遅いですからね・・・」
「・・・うん?もう俺のトラウマの中に入れたのか?」
佳観阿は目を覚ました。
そこは元々佳観阿が住んでいた家のリビングだった。
そしてソファーに父親、そして何かそわそわしている母親、そして地面に倒れている子供の頃の佳観阿が居た。
(・・・?これって・・・!!?)
佳観阿は思い出した。
自身が生きてきた中で一番思い出したくなく、経験したくない記憶があった事を・・・そしてその記憶が今、目の前で起きようとしていた。
(この記憶はやばい・・・本当にやばい)
そう思っていると、幼き頃の佳観阿は後ろに置いてあるナイフを取り、そのまま父親目掛けて走った・・・
グサッ!
そこから約1週間が経過した。
「もうそろそろで出てくると思うんだけど・・・」
シュウー、ガチャッ
おっ!
「ようやく出てくる・・・!!?」
目の前の扉から出て来た佳観阿は目元が赤くなって、少しやつれていた。
「だ、大丈夫?」
デッドラインは佳観阿に近付いた、だが
邪魔
そう言われた。
「・・・早く元の世界に戻れるようにしろ」
少し哀しみや怒りが入った声で言った。
「わ、わかった!ち、ちょっと待ってて!」
特殊スキル発動 現世と黄泉の理
パァー、
佳観阿の目の前に白く光っているゲートが現れた。
「ここに入れば元の世界に戻れ───」
スタスタ、
佳観阿は何故か素早く歩き、ここから出ようとしていた。
「ちょっ!聞きたい事があるんだけど!」
「・・・何だ?」
「どうしてそこまでして早く出たがるの?」
少し寂しそうな声で言った。
「・・・俺はまだこの世に生きている沙玖嗚に復讐を果たしに行く・・・じゃあな」
スゥー・・・
・・・はぁ、
「自身が持つ最大のトラウマを1週間耐えた記念でパーチーしようとしてたんだけどなぁ〜」
・・・
「まあ、一人で寂しくパーチーでもしますか!」
シュウー、パッ!
スタッ、
「ここは・・・豊橋駅前か」
佳観阿はまたさっきの場所に出て来た。
「そう言えば浄安と遊真は何処行ったんだ?」
さっきまで近くに居たはずの浄安と遊真の姿が見えなかったので、二人を探しに行こうとした時
「・・・うん?あれは・・・何だ?」
佳観阿は見た。豊橋駅前の交差点の中央に2つの段ボールを
「何か入ってんのかな?気になるから開けに行くか」
タッタッタッ、
少し走り、佳観阿は段ボールが置いてある所に着いた。
「人間こういうのがあると気になってしょうがなくなるんだよな」
佳観阿は左においてある段ボールに手をかけた───
ペチャッ
「・・・?何だこれ・・・血?」
佳観阿の右掌に何故か血が付いていた。
(・・・?そう言えばこの段ボールってSRAに出てきたような・・・!!?まさか・・・)
SRA 9話
ダーリングラードは目を覚ました。すると横で一緒に寝ていた筈の浄安がいなくなっていた。
「またあいつは勝手に何処かに行ったのか」
お~い、浄安〜!何処に行ったんだ〜?
ダーリングラードは約10分間歩いた、そして豊橋駅前の交差点の中央付近に行った時
「・・・?段ボール?」
ダーリングラードは縦横1mの段ボールを見つけた。
「多分この段ボールはまた浄安の仕業だな?」
ダーリングラードは
どうせ変な物しか入ってないだろう
と思いながら段ボールを開けた───
「・・・!!?な!?こ、これは・・・」
ダーリングラードは見た。
その段ボールの中に入っている血まみれの臓物、死体を
「・・・!?ま、まさかこの死体・・・」
ダーリングラードはその死体の顔を見て大きく泣け叫んだ。
「も、もしこれも小説通りの展開だったら・・・」
佳観阿は恐る恐る段ボールを開けた───
「!!?う、うわぁぁあ!!」
佳観阿が開けた段ボールの中には、痛々しく切り刻まれた身体と焦げた臓物、そして浄安の頭があった・・・