44話 久遠鎮華の過去 Ⅸ
ダダダッ!
「だ、大丈夫ですか!!アルスバーンさん!!」
鎮華はアルスバーンに駆け寄ろうとした・・・
固有スキル発動 食鬼王
スパッ!
うわっ!!
怪物の長い舌が鎮華の頬を切った。
その切り傷は綺麗で鮮明に縦に割れていた。
ちっ!
「何だよあれ・・・」
滅茶苦茶Hな舌だな
鎮華は目の前にいる怪物の長く艶がある舌に、少し、興奮していた。
だが、怪物の気持ち悪い顔を見て、萎えた。
・・・ピリッ!
「ん?何だ?突然痺れが・・・」
ピリピリッ!
「・・・頬からか?」
鎮華は頬を触って何か付いているか確認した。
ピッ!
じぃ~
「・・・血しか出てないな、特に何もないって事か?」
鎮華の人差し指には少量の血が付いていた。
「まあいい、あの怪物さえ倒せ───」
ギョロッ!
ビクッ!
「な、何だあの瞳・・・金見たいな色だな・・・凄い綺麗じゃんかよ」
そんな綺麗な瞳を見ているとさぁ~、抉り取りたくなっちゃうよねぇ〜!!
ダッ!バッ!
鎮華は走り出し、怪物から約3m離れた所でジャンプをした・・・
ギロッ!
ドクンッ!!
(な、何だ・・・と、突然・・・逃げたくなってきた・・・!!)
鎮華は怪物の瞳を見た刹那、何処かに逃げ出したくなる様な気持ち、感覚に襲われた。
は、はぁ・・・はぁ・・・
(だ、だが・・・俺は・・・戦わなくちゃならない・・・)
でも・・・
(俺には戦う術がない・・・一体どうしたら・・・)
はぁ・・・はぁ!!
君!!これを献上るから!!この怪物を倒してくれ!!
ピロンッ!
星位スキル「砂地要塞」と星位スキル「血潮爆槍」を獲得しました
「せ、星位スキル?よ、よく分からんが・・・使ってみるか」
星位スキル発動 砂地要塞
ヒュオー、
目の前にいる怪物の周りに突如、砂嵐が起こった。
「まだだ・・・まだ砂や砂鉄を集めるんだ・・・!!」
鎮華は鼻血を出しながらも、20秒程手を前に突き出し、ようやく怪物を砂嵐に閉じ込める事に成功した。
は、はぁ・・・はぁ・・・
閉じろ・・・砂の要塞
ギュッ!
ブオッ!!
鎮華は手を閉じた。
砂嵐は徐々に縮まり、軈て砂嵐は怪物と同じぐらいの大きさになった。
はぁ、はぁ・・・
「つ、次は・・・これだぁ!!」
星位スキル発動 血潮爆槍
スッ、ピッ!
鎮華は腕を大々的に切り、そこから出てきた血で大きさ約1.8mの赫い槍を作った。
う、うぉぉぉおお!!
鎮華は槍を手に持ち、槍の先端を怪物に向け、走った。
ダダダッ!
グサッ!!
鎮華は砂嵐越しに突き刺した。
うぉぉぉお!!
鎮華は槍に自身の血液を怪物の身体の中に大量に流しこみ
ザー・・・ボォン!!
内側から血で爆散させた。
・・・はぁ!はぁ!はぁ!
「あ、アルスバーンさん!!」
鎮華は敢えて、フラグを建てずにアルスバーンの元へ駆け寄った。
「や、やりましたよ!!俺・・・あの怪物倒しましたよ!!」
※何でそうやってすぐフラグを建てるんだ?
よ・・・良くやったね・・・?ねえ君・・・後ろに・・・何か・・・落ちてるよ?
「へ?マジっす───」
鎮華は後ろを振り向いた。
怪物が倒れた所に、1つの高そうな時計があった。
その時計は、枠が金ピカ、白色、中にレーダーの様な物がある懐中時計。
「これって・・・売ったら高いだろうな〜」




