43話 久遠鎮華の過去 Ⅷ
星位スキル発動 土偶の唄
キュイーン!!
3体の土偶の中心にある心臓が赫く光だした。
「うおっ!眩しっ!」
鎮華は余りの眩しさに目を瞑った・・・
ドゴォン!!
!!?
「な、何だ!?」
鎮華は音がした方を見たかったが、目の前が真っ白で何も見えなかった。
そして約30秒後、目の前がようやく暗くなってきたので、鎮華は目を開けた・・・
!!?
「え?土偶が・・・居ない?」
目の前にいたはずの3体の土偶がいつの間にか消えて居た。
アルスバーンは少し前に出ていて、服が所々破れていた。
お腹、脇、胸、尻の方などが少し斬られ破れていた。
「ちょっ、アルスバーンさん!!Hになってますよ!!」
ん?これぐらい普通よ、この世界ではこんな服装をしてる人は居ないの?
「い、居るっちゃいるんですけど・・・」
ほら、普通じゃない
「いやっ・・・まあいいですよ」
「それより、ここにいた青色の土偶って何処に行ったんですか?」
それなら我が消し炭にした
「へぇ~、消し炭に・・・!!?消し炭!?」
そう言えば・・・
鎮華は地面を見た。
地面には青い粉が半径約20mにびっしりと塵となって落ちていた。
「これが・・・あの土偶の奴ですか?」
鎮華は地面に指を差し、言った。
そうよ、それより・・・あれを見て
あれ?
アルスバーンは真っ直ぐ本殿の方を指差した。
鎮華はその指の先を見ながら本殿を見た。
キランッ!
本殿の前にダイヤで作られた小さな台座の上に、1つ、10cm程の黒い球体があった。
「あれって・・・何なんですか?」
・・・我は知っている、"あれ"はこの世にあってはならない物。だから・・・今すぐ壊す
固有スキル発動 重さの譲渡
スッ・・・ズゥン!!パリーン!!
アルスバーンは右手を前に出し、あの黒い球体に向けて右手を握りしめた。
球体は徐々に揺れだし、軈て割れた。
「あ~あ、壊すぐらいなら、俺が貰っとけば良かった〜」
・・・あれは絶対に人の手に渡ってはいけない代物だ
「・・・何故?」
・・・
あれは・・・人々が欲しがる力を絶対にゲット出来る物だ。しかも何個もな
「ふぅ~ん、滅茶苦茶良いじゃないですか、何処がダメなんですか?」
それは・・・
アルスバーンは少し間を開けた。
力をゲットする度、世界が滅ぶ程の"何か"が襲い掛かってくるんだ
・・・え?マジっすか?
マジよ
※世界が滅ぶ程の何かとは
・例えば世界中で震度8以上の地震が永久に起き続ける。
・世界中で幾億個もの核兵器が落ちる。
・高さ約500mの津波が全世界同時に起きる
などなど。
「それは・・・使っちゃいだけですけど、容易に使えないですね」
まあな・・・でも。もし、仮に使ったとしたら、1人のせいで世界が滅ぶ事になるから
責任重大すぎますね
責任重大どころじゃない、分かってるのか?
「はいはい、わかってますよ」
スンスン
「それより、ここにはもう何も異変はないんですか?」
鎮華は自身でも薄々感じている異常な匂いを少し嗅いてから、言った。自身じゃまだ、分からないから。
そうだね・・・もう何もここからは感じない
「じゃあ・・・異変は何もないってことですか?」
うん
「え?じゃあこの匂いは・・・」
鎮華はまた匂いを嗅いだ。
少しフェルナンダの香り、少し臭く、少し嬉しいような匂いが・・・
・・・ごめん、おならしちゃった・・・
アルスバーンは耳を真っ赤にし、鎮華に背を向け、下を向いた。
あ~あ・・・
「何だか・・・すいません、色々と沢山嗅いじゃって・・・あっ!別に臭くとも何ともないですよ!寧ろ良い匂───」
シュッ!スッ!
それ以上言ったら・・・私の拳が無意識的に貴方の弱点に行っちゃうよ?
アルスバーンは鎮華の前に行き、アルスバーンの右手が鎮華の股間部分に当たろうとしていた。
「あっ・・・すいませんでした。正直に言ってしまって・・・」
・・・別にいいよ
アルスバーンは右手を元の位置に戻し、何処かに向かっていた。
「え?何処に行くんですか?」
少し遠くから"何か"を感じた。行くよ
アルスバーンは空を飛び、上空から見て、南東の方に行った。
・・・ん?
「あの方角って・・・確か元離宮二条城があった様な・・・俺も行くか」
鎮華はアルスバーンを追いかけた。
タタタッ!!
はぁ、はぁ
「よ、ようやく着い───」
!!?
「あ、アルスバーンさん!!」
鎮華は元離宮二条城の本丸櫓門に到着した。
目の前には血まみれで倒れているアルスバーン。そして、異様に肥大化した腹部.長く禍々しい舌.黄金色の目.2本の角.腐敗した皮膚と爪.尾の様な物がある濃い緑色の蜥蜴の様な体長2mの怪物が、そこに居た。




