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37話 久遠鎮華の過去 Ⅰ

スタスタ


・・・あっ財布忘れた


鎮華は財布を家に忘れた事を思い出し、歩いて家に戻った・・・


ウゥー↑ウゥー↑

(ん?サイレン?何かあったのかな)


スタスタ・・・ピタッ


(ん?彼処・・・火事じゃん、ヤバすぎ)


鎮華は少し遠くに見えるレンガのマンションから煙が上がっているのを見て、火事が起きて、至る所からサイレンが鳴っているんだなと、思った・・・


・・・え!?

「火が出てる場所・・・俺の家じゃん!!エグいって!!」


鎮華は走り出し、マンションがある所に向かった。




タタタッ!


ピタッ

はぁ、はぁ


「くそっ!人が多すぎる!!」


邪魔ッ!!

鎮華は人混みを掻き分けながら前に進んだ。


おい!君!!危ないぞ!!


何人かの警察、消防隊員が鎮華を止めようとしたが、目の前のことしか考えられず、警察、消防隊員を押し倒し、前に進んだ。


ダダダッ!

はぁ!はぁ!はぁ!


ダダダッ!タッタッタッ!


キキィー!バンッ!


玲人!!大丈夫か!!


鎮華は声を上げながら、火の中を進んでいった。


ボワッ!

うわっ!熱っ!


燃えていた玄関近くにある木の時計が鎮華の顔に当たった。


ジュワァァァ!!

熱い!!熱いっ!!


鎮華は顔を左右に思いっきり揺らし、少しでも熱さを凌ごうとした。


はぁ、はぁ・・・

「れ、玲人・・・何処だよ・・・もしかしてもう・・・ここに居ないのか?」


玲人はリビングルームを慎重に探し、探し終わった後、玲人の部屋に入った。



兄ちゃん・・・熱いよぉ・・・怖いよぉ・・・

部屋の中心でしゃがんで泣いている玲人が居た。


玲人!!


ダダッ!ガバッ!

「無事だったか!!玲人!!」


「に、兄ちゃん!!」


2人は熱く抱き合った。


「玲人!!速くここから逃げるぞ!!」


「え?どうやって・・・」


鎮華は周りを見渡した。


・・・!!あれだ!

「玲人!彼処の窓から飛び降りるぞ!!」


鎮華はベットの上にある窓を指を差した。


「え?でも・・・」


「いいから!お前だけでも助けたいんだ!!だから速く・・・速くしてくれ!!」


「う・・・うん!分かった!」


玲人は立ち上がり、窓の方に向かって走り、窓を開けた。


「兄ちゃんも速く!!」


おう!待ってろ!

鎮華も立ち上がり、歩こうとした───


ガダッ!ガッ・・・


あっ!兄ちゃん!!危ない!!


え?

鎮華は左を見た・・・

鎮華より約10cm程高い本棚が鎮華に向かって倒れてきた。


う、うわぁぁぁあ!!















・・・はっ!

ここは・・・何処だ?)


鎮華は目を覚ました。

そこは全部が真っ白の光景だった。


・・・何で真っ白なんだ?


・・・?

(な、何だ?声が・・・出ない?)


・・・!!・・・!!

鎮華は手を振り、周りを確認しようとした・・・


スタスタ・・・!!

し、鎮華さん!落ち着いてください!!


1人の男の声が近くから聞こえ、動きを封じられた。







大丈夫でしたか、鎮華さん


・・・!・・・!!


・・・あっ、そうでしたね。声・・・出ませんでしたね、すいませんでした・・・


(べ、別に怒ってないって伝えたいけど・・・声も出せないし目の前を真っ白だから、伝えられない!)


スタスタ

あれ?何でここに坂根(さかね)君が?


あっ、お疲れ様です!時雨(しぐれ)さん!!


坂根飛鳥(さかねあすか)

年齢24歳.身長185cm

黒髪マッシュ

眼鏡を付け、童顔

細マッチョの様な体型


スタスタ

ねえ、鎮華君?今・・・どうなってると思う?


・・・?

(今どうなってるって・・・どうやって伝えれば良いんだ?)


取り敢えず、鎮華は首を傾げた。


そう、わからないのね・・・こんなに酷い状況になっているのに・・・


女性は何かをした。

徐々に鎮華の視界が鮮明になっていく。


(おっ、ようやく目の前が見え・・・)


鎮華は見た。

目の前においてある鏡に映る醜い自身の姿が・・・


髪の毛がほぼ全部焼け焦がれてなくなり、顔面もほぼ全部が紅く焼け爛れているのを。


ちょっと!時雨さん!!何で見せたんですか・・・!!もう少し治ってからでも・・・


五月蝿い!

「早めに見せて、少しでも自分がどうなっているのかを知った方が良いじゃない!」


時雨珠子(しぐれたまこ)

年齢28歳.身長168cm

黒髪ポニーテール

少し大人びて、格好良さがある顔つき

ボンキュッボンのスタイルをしている。


「こんな醜い顔・・・早めにこうしてやった方がいいのよ」


「・・・ちょっと、私達の大切な患者さんなんですよ!?そんな事言って・・・貴方は人の心なんてないんですか!?」


・・・ふん

女性は何処かに行った。


あっ!ちょっ・・・待ってください!!

男も後を追う様に、走っていった。




(・・・俺って・・・醜いんだな、社会に出ちゃダメなような奴なんだな)


1人心の中、静かに思った鎮華は、近くに置いてあった黒色のタオルを顔中に巻き、部屋から出て行った。

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