30話 VS雪の女王 Ⅲ
「だ、ダーリングラード!!無事だったか」
「ああ・・・」
・・・
ダーリングラードは佳観阿を見て
「此奴の名前・・・何だったか?」
と、思っている様な顔をしている。
おい!佳観阿!!大丈夫だったか!!
少し遠くに居た沙玖嗚が此方に走ってきていた。
「あ、ああ・・・大丈夫だ」
・・・
「佳観阿、あの女を倒したら良いのか?」
「ん?まあそうだけど───」
笏鍾拳
ズドォン!!
げほっ!!
ダーリングラードが拳で雪女の胸元に笏鍾拳を当てた。
はぁ、はぁ
「おい、お前・・・もっと本気を出せよ」
プツンッ
雪女の何かが切れる音がした。
スッ、ズバァン!!
雪女はその場でアーサー王の剣を十字に振った・・・
ズガガガァン!!
剣を振った時に出た縦横10mの白い衝撃波がダーリングラードを襲った。
すぅ・・・
艇烙脚
ビュッ、ヴォ゙ン゙
鈍い音を出しながらダーリングは右足を思いっきり左斜め上、左斜め下に蹴った・・・
ボワッ!
白い衝撃波が跡形もなく消え去った。
!!?
雪女は何が起こったのか分からず、困惑していた。
すぅ~・・・
特殊スキル発動 覇王六桂
ズドォン!バゴォン!!
ダーリングラードは雪女の顎に殴りを入れた刹那、肝臓に蹴りを当て、鳩尾に前蹴りを食らわせた。
かひゅう、かひゅう・・・
雪女は今までに受けた事のない攻撃を連続で受け、息がし辛く、意識が朦朧とし、苦しんでいる。
スタスタ、ピタッ
・・・はぁ
「お前・・・つまらなさ過ぎだろ、もう死ね」
すっ・・・ドゴォン!!
ダーリングラードは地面に倒れている雪女の頭めがけて踵落としをした・・・
!!?
「い、居ない!!?一体何処───」
ふっ
「?前が・・・何も見えない!!」
ダーリングラードは突如、目の前が真っ暗になった。
「お、おい!!い、一体どうなってる!!おい!!」
はぁ、はぁ、はぁ!!
「ゆ、ゆっき〜・・・い、一体何をしてるんだ!!」
雪女は雷に近しい程の速度でダーリングラードの両目を抜き取った。
・・・仕方ないでしょ
「向こうから挑発て来たんだから」
・・・でも
「ご主人様には今から何もしないから、ご主人様以外は全て敵、全員殺すから」
伝説スキル発動 氷の結晶・雪の領域
スッ、ドンッ!パキパキッ!!
雪女は地面を思いっきり踏み込んだ。
氷、草、コンクリートの欠片の一つ一つが宙に浮いている刹那、雪女はそれらを一瞬で凍らし、それら全てを沙玖嗚、アンリフィア、アンディラアフィストアに弾丸の如く、発射した。
ダララララッ!!
バシュッ!ドシュッ!バンッ!
それら全て身体の中に埋められたり、貫通したりした。そして約10秒後に全員その場に倒れた。
「お、おい・・・ゆっき〜!!やり過ぎだ!!」
・・・はあ?
「さっきも言ったじゃん、ご主人様以外は全て敵、殺しても何も問題はないって」
「だから完膚無きまでに攻撃を畳み込んで、殺す」
雪女は地面に転がっている氷の残骸を約10m迄の大きさにし、上空約30mの高さ迄あげ
「発射、キラキラ流星群♡」
パチンッ!
雪女は指パッチンをした。
すると上空にある氷の塊が破裂し、半径約100mに氷の流星群(雨)が降った。
その氷の流星群は佳観阿以外に全て当たっていた。
・・・ねえご主人様
「な、何だ・・・?」
この氷ってね、当たるとね、何が起こると思う?
「さ、さあ・・・」
・・・ふふっ、何も起こらないよ
「な、何も起こらないんだ・・・」
うん、でもね・・・この氷には微量の毒が含まれてるから、当たると約10分程で死ぬよ
!!?
「そ、そうなのか!?」
うん
雪の女王の血
この血には、アスベロデウモスと言う異界に存在している微量の毒が含まれている。
この血を飲む、肌に当たるだけでも体内に侵食し、約10分程で死に至る。
※この血の抗体を持っているのは、雪女と異界の偉い存在の奴等だけ。
「お、おい!早くあの毒を治せ!!ゆっき〜!!」
・・・対価は?
・・・は?
「私が毒を治す代わりに、ご主人様がしてくれる事は?」
「普通こう言うのをやらんといけないでしょ?対価・・・交換?って言う奴」
雪女は冷酷な眼差しで佳観阿を見つめた。
・・・
佳観阿は少し考えた。
・・・わかった
「俺の全てをやる。だから沙玖嗚達を治してくれ・・・頼む!!」
・・・
(・・・何でご主人様はユーキと同じ様な事を私に言うのかな・・・何でだろ)
「わかった、沙玖嗚?達を助けてあげる」
パチンッ!
雪女は氷の流星群を止め、沙玖嗚達の体内に入った毒を全て消した。




