20 話 雪女の過去 Ⅳ
「いっ、行っちゃった・・・」
雪女は北北西の方角を見ながら、立ち止まっていた・・・
キラッ!
「・・・ん?何か落ちてる」
雪女は約2m前の地面に落ちている物を拾った。
神の御心
これを使えば、空を飛ぶ事が出来るのと、自身が脳内で思い浮かべている人物が、今、居る場所に飛ぶする事が出来る。
「これは・・・指輪?」
綺麗・・・
そう言いながら雪女は右の薬指に付けた。
・・・
「そう言えば、ローラクライムさんは何処に行ったんだろ」
雪女はローラクライムの行方を考えていると
シュンッ!
・・・?
「え?ここって・・・」
雪女は目の前に広がる景色に驚いた。そこは魔王城の頂上、魔王の間の中だからだ。
そして、魔王の間のドデカイ黒き椅子に魔王が大きな傷を負いながら、座っていた。そして魔王の目の前には、剣先を魔王の喉元に当て、大きく息を吸っているローラクライムがいた。
さあ・・・話せ!私達を攻撃する様に言ったのはお前なんだろ!?
はぁ、はぁ、
「な、何の事だ?我々は熱く固い友好関係を結んでいただろ?我々に何のメリットがあってお前等を攻撃する・・・」
・・・確かに
「でもねぇ、私達の本拠地にあんたら魔族特有の紫色の血が落ちてたのよ」
・・・?
「何言ってるんだ?俺達の血の色は青だぞ・・・?」
え?
「でも・・・約5年前に起きた戦争で見た時は、紫だったけど・・・」
え?
※約5年前、異界で3つの大陸を巻き込んだ戦争「エアクトロ・ビューロイド戦争」は死傷者約1億以上の被害が出た。
「じゃあ・・・あの紫色の血は一体・・・」
・・・それより
スタスタ、
何でここにいるの?
ローラクライムは雪女の方に行き、そう言った。
「何でって・・・ここに来る前に変な指輪拾って、色々?と考えていたらいつの間にかここに・・・」
へぇ~
「あの指輪・・・着けちゃったんだ」
ローラクライムは少し気持ち悪い薄ら笑いを浮かべながら
「アスモデウス、さっきの出来事は赦してくれ」
アスモデウスの方を向き
色々と誤解をしてしまった、だからこの通りだ
ヒュッ、ズバッ!
ローラクライムは自身が持っていた剣で左手首を斬った。
ボトッ
鈍い音が部屋中に響き渡った。
お、おい!
「な、何してんだよ、ローラクライム!」
アスモデウスは急いでローラクライムの手首を拾い、そのまま左手の切断面の所に当て
魔王スキル発動 魔の生命保険
バァー
左手の切断面と左手首が徐々に繋がっていき、約10秒経った時には、完全に治っていた。
ふぅ・・・
?
それで、
スタスタ
「何でここにお前が来ているんだ?お前はずっと■■■国で暮らしといてくれよ」
アスモデウスは雪女の肩を掴んで、しゃがみ、そう言った。
・・・
ポタッ、ポタッ
「・・・?どうした?泣いているのか?」
雪女は数多の涙を流しながら
「実は・・・」
・・・なるほど
「その、死神の様な姿をした奴に滅ぼされたってわけか」
アスモデウスは、雪女の話を真剣に聞いていた。
「・・・実はだな藍那、我の部下であるリーグランドを知ってるか?」
リーグランド
ペストマスクを付け、シルクハット帽子にスーツ姿の男
「はい・・・知っていますが」
アスモデウスは哀しい顔をして
「先日・・・そのリーグランドが何者かに殺されたんだ」
!!?
「え!?そうなんですか!?」
リーグランドは魔王直属の4人幹部の中で1番強く、魔王アスモデウスとリーランド幹部になる前から今現在の約1000年で約21974戦中、10986勝10988敗と、アスモデウスと互角の戦績を保有している。
そんなリーランドが、何者かに殺された。
「い、一体誰に殺されたんですか?」
「それはだな・・・」
あの大鎌を持っている死神の様な奴がいる団体、悪の英雄団だ
「そして、後々分かった事だけど、今、目の前にいる敵以外にも4人が私の国を滅ぼしたのを」
だから私は今!ここで目の前にいる敵を倒し!お父さん、お母さん、そしてアスモデウスさんの敵を討つ!!
雪女は目の前にいるデスライシンを右に投げ、真っ直ぐに走った。