19話 雪女の過去 Ⅲ
・・・生きてたのか・・・頑丈な奴だな
へへっ!
「それが私の取り柄でね!!」
ビュッ!
雪女は異端裁判官に飛び掛かり
ダァン!!
異端裁判官の顔面を思いっきり蹴った。
!!?
(な、何だ・・・この痛みは・・・凄く痛いぞ!?)
異端裁判官は初めて経験する痛みに困惑しながらも、大鎌で斬り掛かった・・・
ビュンッ!
!?
(き、消えた・・・?い、一体何処───」
スッ、ドガァン!!
雪女は異端裁判官の頭上に現れ、そのまま拳を脳天に思いっきりぶつけた。
かはっ!
・・・
雪女は砂埃舞う空間の中で、異端裁判官の胸元を踏みつけ、少し、力を抜いて立っていた。
はぁ、はぁ・・・
「る、ルルシアンさん達・・・仇は取りました・・・」
そして、雪女はルルシアン達の死体の方に向かった───
おい
!!?
お前もさっき言ってたよな?ちゃんと死んだか確認しろってよお!!
ドンッ!
ぐはっ!
雪女は急いで後ろを振り向いたが、異端裁判官が放った強烈なレバーブローにより、遠くに吹っ飛んだ。
はぁ、はぁ、
(・・・骨が沢山折れちゃった・・・痛い)
雪女は右手を地面に置き、身体を起こし、左手で痛みがある箇所を押さえていると
スタスタ、
「お前が初めてだよ、この俺の拳を解放させた奴は」
異端裁判官は黒パーカーを脱ぎ、大鎌と本を地面に置いた。
異端裁判官の姿は銀色のツイストショート、左目は赭、右目が青色のオッドアイ、顔付きはフランス人に似ている、灰色の長ズボンを着ていた。
ふぅ・・・
「後悔しても、もう遅いからな」
シュッ、
「え!?消え───」
ズガァン!!
異端裁判官の見えない拳の攻撃が雪女の顔面に直撃し、地面に倒れた。
は、はぁ・・・
ボタボタ
!!
(やだっ、鼻血!?まあ・・・あの攻撃を顔面にもろで食らったらこうなるか)
「それにしても・・・」
じぃ〜っ
「さっきと雰囲気が全然違うじゃん、それなら最初からやってよね」
パッパッ、
雪女は立ち上がり、服についた土埃を落とした。
ふぅ〜、
ズオッ!
!!?
(な、何だこの殺気は!!?まさか・・・)
■■■の力が今、この時に発動出来る様になったのか!?
・・・バァ!!
・・・魔族の頂点 魔王アスモデウスのスキル発動
新時代の王の力
新時代の王の力
魔族の中で1番強い存在の「魔王アスモデウス」のスキルを3つ使える事が出来る。
※このスキルは、異界専用で使えるスキル
勘が良い人ならもうおわかりだと思いますが、異端裁判官がずっと言っていた■■■の末裔の「■」に入る
言葉の正体は「魔王族の末裔」である。
これは・・・まずい!!
固有スキル発動 自身が生きた人生の軌跡
自身が生きた人生の軌跡
約10分間、近接攻撃のダメージ量が約100%上昇する。
スッ、ドゴッ!
異端裁判官は雪女の鳩尾に本気の殴りをいれた・・・
魔王スキル発動 存在消滅刻印書
ピッ、カキカキ
Q.目の前にいる敵「異端裁判官」を消しますか?
A.はい
雪女
これでよしっ!
雪女は回答と名前を書いた。
すると、目の前にいる異端裁判官は居なくなっていた。
新時代の王の力 解除
・・・
「今の・・・もしかして私の新しい力?私・・・強くなったの?」
・・・ヤッター!
雪女は喜んだ。
・・・バタッ!
雪女は新しく使ったスキルのせいで、疲労感が凄く出て、その場に倒れ、寝た・・・
・・・はっ!
「ここは・・・さっきの場所か」
雪女は目を覚ました。そこに広がる景色は4つの1.8mのブルーシートが巻いてあり、ブルーシートの前に1人のピンク色のクラゲヘアの女性が居た。それ以外は何もなかった。
「あ、貴方は・・・」
雪女はその女性に近付こうとした。
ブツブツ、
「絶対に殺す、私の仲間に手を出した奴は何人たりとも確実に殺す」
女性は1人、何処かに飛び立とうとした───
あ、あの!!
「・・・?この声は・・・」
女性は後ろを振り向いた。
雪女はその女性の顔を見てすぐに誰だか分かった。
「あ〜あ、藍那ちゃん?どうしたのここで・・・もしかしてルルシアンちゃん達にここに連れてこられた?」
ローラクライムはゆっくり、静かに言った。
「あ、あの!!何処に行こうとしてたんですか?」
雪女は怯えながら言った。
「・・・ルルシアンちゃん達を殺した奴等の所」
「・・・私達はね、友人以上、家族以上の絆で結ばれてるの、それでね、仲間に何かあった場合は1秒でも早く駆け付けるようにしてるの」
「・・・?ローラクライムさん?一体何を───」
!!?
雪女は見た、
ローラクライムの目と口から血が垂れ流れているのを
ホントにごめんね、ルルシアンちゃん達・・・私がもっと早く駆けつけていたら・・・そもそも私が気絶してなかったら・・・
・・・
ケリ・・・付けてくるね
ダッ!
ローラクライムは北北西の方角に飛んでいった・・・