吾輩は犬である【前編】
吾輩は犬である…。
名前はまだ無い…事はない(´Д`*)♪
名前は…『ユリアン』らしい…。
らしい…というのは吾輩の首輪に『ユリアン』と名札が付いているからだ。
(;^_^A『そーかぁ♪吾輩はそう呼ばれているのかぁ…。今まで知らんかった…。』
…と言うのもだ!吾輩は先程目覚めたばかりだからな…知らなくても仕方無い(^o^;)…。
なぜ吾輩がこんな事になっているかと言われるとだな、自分でも訳がわからんと言うほか無い…。
聞かんでくれたまえ…。
吾輩…ええい!…何で私はこんな喋り方をしているのか皆目検討もつかんが、ひとまず『吾輩』は止めておこう…クレームが来たら困る…(笑)
私はよく判らないが、犬らしいのだ(;^_^Aなぜ?
とにかく泣いても喚いても、それは変わらんので、ひとまず私は受け入れる事にした。
そのうち何とかなるだろう…。
私はそう言うところは、楽観的なのだ♪
ひとつ素朴な疑問があるが、これは誰に聞けば良いのかな?それすらもよくわからん…。
何故ならば、目覚めた時には橋の袂に寝ていたからだった…。
周りには人の気配も無く、これ見よがしに雀がチュンチュン鳴いているだけだ…。
そいつはケラケラ笑いながら(そう私には見える)、私の前を行ったり来たりしながら、愉しそうに散らばっている木の実を啄んでいる。
どうやら私に対する当て擦りでは無いらしい。
見上げると、そこには見事な桜の木が立ち並んでいて、橋のこちら側と川向こうのあちら側の岸辺にもそれは続いているようだった。
つまりここら一帯を満開の桜の花が覆っていて、とても綺麗なのだ。
私は念のため、愉しそうに跳び跳ねながら、木の実に夢中な雀くんに私の疑問をぶつけてみた。
(;^_^A『雀くん、雀くん…私の御主人様はどこでしょう?』
すると雀はチラッとこちらを横目で見たが、『チュン?』と言うだけで、余り関心が無いらしく、直ぐにまた木の実に夢中になってしまって、相も変わらず、あっちに行ったり、こっちに来たりしながら、木の実を啄んでいた。
『やれやれ…。』
私は一旦諦めて、起き上がると、四足歩行でのんびりと歩き始めた。
どうやらこの世界?では雀は喋る事が出来ないらしい…。
小高い丘をそのまま登って行くと、直ぐに森があり、振り返ると、橋の出入口から、進行方向に、一本の細い道が続いている。
その道は森の中を横断するように続いているが、森の中を辛うじて通しているものらしく、先の方は森全体に覆われていてよく判らなかった。
私は行く宛も無いのでひとまずは、その一本道を進んで行く事にした。
しばらくのこのこ歩いていると、向こうから、赤い頭巾を被ったひとりの女の子が歩いて来る。
女の子は木の皮で編んだ籠を左手に通して持っており、籠の上には刺繍が施されたハンカチーフを被せてあるので中身は見えない。
女の子は口笛を吹きながら、右を見たり、左を見たりと、余所見しながらテクテク歩いている。
そのためか私がかなり接近するまで、その存在にすら気がつかなかったが、ふと目線を下に向けると、私に気がついたらしく、途端に足早に近づいてきて、前屈みに座り込むと、ニッコリ笑って私の頭を優しく撫でた。
そして「(*≧з≦)かわいい~♪」と言いながら、頭を軽くポンポンと叩くと、私の眼をじーっと覗き込んでいる。
すると何か気がついたらしく、右手の指で私の顎の下をスリスリっと優しく撫でた。
「こうするとワンちゃん気持ちいいんでしょ?」
そう言いながら、ママに聞いたんだと自慢気に披露した。
私はやむを得ず、されるがままにしていたが、ふと思い立って、声をかけてみる事にした。
「ワン!」
女の子は突然犬が吠えたので、少々びっくりしたが、また「かわいい♪」と言って微笑んでいる。
『やっぱり言葉は伝わらんかぁ…。』とブツブツ呟いていると、不意に女の子はそのまま後ろに尻餅をついて驚いた顔をしながらこちらを見ている。
頬はヒクヒクと震えていて、何だか可哀想なくらいに涙眼になっている様だった。
そして突然、「犬が喋ったぁ!」と叫ぶと、持っていた籠で身を守るように顔を隠した。
(;^_^?…。私はキョトンとしてしまって「へっ?」と言葉を思わず口から溢すと、ふと気づいた…。
『!!…言葉が伝わった…。』
そう確信した私は、女の子がガクガクと震えているのを気の毒に思い、どうにかしようと頭を絞った。
いつの間にか私は、上体を起こし、後ろ足で立って、両前足を胸の辺りで組みながら考え込んでいた。
無論私自身にそんな事をしている意識はまるで無いのだが、私が真剣に頭を絞って考えに没頭している最中に、我を取り戻した女の子が、籠からチラッと顔を出して見ると、そこにはまるで人間が頭を悩ませている様なポーズを取った犬がいるではないか?
女の子は驚くには驚いたらしいが、思わず口に手を当てていたため、その瞬間に発しようとした言葉は漏れずにそのまま飲み込んで、心の中でその叫びを抑え込んだのだった。
そのため私は全く気がつかず、そのまま頭の中で考えを巡らせていた。
女の子はそんな犬をしばらく呆然と眺めていたが、次第に恐怖よりも興味の方が沸き上がって来たらしく、思いきって口を開いた。
「あのぅ~ワンちゃん言葉が話せるの?」
そう言われて、没頭していた集中から抜け出した私は、再び「へっ?」と惚けた様な言葉を発して女の子の方を見た。
赤い頭巾を被った女の子は、可愛らしい円らな瞳でこちらを伺っている。
(;^_^A…。私は慌ててこう応えた。
「(^o^;)いやいや…お嬢ちゃんこそ私の言葉が分かるのかい?」と…。
すると女の子は真顔で「うん!分かるよ~♪」と言いながら微笑んでいる。
(;^_^A…!!私はキョトンとしながら、女の子をまじまじと見てしまった。
どうやら恐怖心は既に無い様だった。
それよりも可愛らしい小さな犬が、言葉を話す事に興味津津という趣の様だ。
私は女の子を見つめながら少し思案した。
『子供じゃ相談しても無理だろうな…。』と。
そこで頭を切り換えて社交辞令を決め込む事にした。
「お嬢ちゃんの服、可愛らしいね。どこに行くの?」
(;^_^A 何か怪しいおじさんの問い掛けになってるみたいな気がするが…まだ自覚があるだけましというもんだ(笑)
何しろ小さな女の子に語りかけた経験が余りないのだから、仕方ない(^o^;)♪
しかし女の子の方は然程気にも止めていない様子で、クスクス笑いながらこちらを見ている。
まぁ彼女にとってはそれが普通なのかも知れない。
それに私は今、可愛い小さな犬なのだから、喋る事そのものが珍しいに違いない…。
変に警戒されないだけ話しはしやすいだろう。
女の子は円らな瞳を輝かせながら、
「ママに作ってもらったの♪私も大好き♪これからお婆ちゃんのとこにおつかいなの…。」
そう応えてくれた。
(´Д`)!!…。私は驚いた。
『赤い頭巾にお使い…(;^_^A何か聞いた事あんな…!!そうか!わかったぞ!』
私は女の子の顔をまじまじと見てしまった。
女の子の方はこれからの事態が分かっている筈も無いので、私をキョトンとした目で見ている。
その円らな瞳を見るにつけ、私は彼女の事が哀れに思えて来た。
そこで余計な事とは知りながら、尋ねてみる事にした。
「お嬢ちゃんはここに来るまでに誰かと会ったかしら?」
(-ω-;)これも考えようによっては、昨今かなり際どい質問だが、私は犬なのだから、ひつこいようだが怪しく無い…!!
すると女の子は、気にする風も無く、素直にこう言った。
「オオカミさんに会ったのぅ~♪とてもご機嫌で、良いことがあったんですって!ニコニコしながら、走って行ったのよ~♪」
『やはりな…。』もう余計な質問は無駄と言うものだ。
私はひとつの提案をしてみる事にした。
「どうです?私をお伴に加えませんか?きび団子とかは要らないので…」
私はそこまで言うと、自発的に言葉を切った。
(;^_^A おいおい!何を言い出すつもりだ…皆せっかく『赤○○○ちゃん』だと期待してるのにぃ…。
これでは『やれ、鬼ヶ島に鬼退治…!!』になっちまう。
(^-^;…。ちなみに猿と雉は出て来ませんので、ご安心下さい…。(閑話休題)
さて、そんな事とは露知らず…女の子は何か気にした様子だった。
「ワンちゃんお腹空いてたのね…これでも食べる??」
それ見た事か!女の子に変に気を使わせてしまったじゃないか?(汗)
『バカバカバカ…私のバカ…。』
私は頭を両手…もとい両前足で叩きながら、反省頻りである…。
女の子は籠に被せたハンカチーフを取ると、中からクッキーを取り出して、「ど~ぞ♪」と言って渡してくれた…。
流石に目の前に出されたものを突き返すのも非礼にあたる…私はいただく事にした。
「ありがとう♪嬉しいです♪」
そう言って、クッキーをパクパク食べた。
「まだいっぱいあるよ~♪」
と女の子はまた右手を籠の中に入れようとしたが、慌てて引き止めると、丁重にその申し出は辞退する事にした。
(;^_^A…!!『おいおい!…お婆ちゃんの分…私が食っちまってどうする(爆)』
「お嬢ちゃんは優しい娘だねぇ…お礼に私が助けてあげましょう♪森の中は危ないから私が守って差し上げます♪」
女の子は目をまん丸くして私を見ている。
そらぁそうだ…こんなに小さくて可愛い(私がじゃなくて女の子目線ですの…)犬コロが守ってくれると、のたまわったところで、信じられる訳もない…。
ところが、意外にも直ぐ女の子は受け入れた。
「ひとりだとつまんないもん!ワンちゃんありがと♪」
( ̄0 ̄;)…理由は弱冠違う気もするが、私的にはとにかく同行出来れば問題無いので、四足歩行に戻ると尻尾を振ってついて行く。
ご期待に応えたせいか、女の子はご機嫌のようだ。
しばらくは並んでテクテク道を歩いて行く。
すると、右手にさらに細い道が続いている。
先程、通り過ぎたのも無理は無い…繁って張り出した木の幹に遮られて、元々、判った道で無いと、反対の方角からは視界が遮られて気がつかないだろう…何か言い訳気味でお恥ずかしい限りではあるがっ(*_*)…。
その細い一本道に入り、しばらく歩いて行くと、やがて突き当たりに一軒の木の家が見えてきた。
赤い屋根からは煙突が伸びていて、その先から煙がモクモクと出ては空の彼方へ流れて行く。
「ワンちゃんあそこがバ~バのお家なの♪」
女の子は突き当たりの家を指差すと、円らな瞳で私を見た。
『いよいよか…。』私は全身から気合いが漲る。
ちなみに『バ~バ』とは彼女のお婆ちゃんの事だろう…そう呼んでいるみたいだ…。
私は女の子の後ろに隠れると、女の子は私が然も照れているのだとうまく勘違いしてくれたようでクスクス笑っていた。
女の子は戸を叩くと、「バ~バ、私よ、孫の赤ずきんよ…」と言って、しばらく待っている。
すると家の中から、しゃがれた声で、「赤ずきんかい?待ってたよ…お入り!」と声が聞こえた。
女の子は『??』と何とも不思議そうな顔をしながら、戸を開けて中に入って行く。
まぁオオカミ君が惚けた声を出しているのは、こちとらにはバレバレなのだが、ここは黙ってついて行く。
つまらん事で、警戒されてもいけないし、当然こちらの動きを悟られたくはないので、女の子が中に入るや、ササッと入って後ろ足で戸の角を軽く蹴ると、戸は絶妙のタイミングで閉まってくれた。
『神様ありがとう~♪』その一言である。
女の子もバ~バに夢中なせいか、余計な事は口に出さないので、大いに助かるというものだ。
女の子は全く事の事態を把握していないので、可愛いもんである。
此のくらいの年頃の子供は、疑問があると、ひたすら質問責めにするらしいが、それは本当の事のようだった。
女の子はバ~バ(お婆ちゃん)に質問を始めた。
私は事の成り行きを知っているので、戸の傍にあった大きな水瓶の影に隠れて、傍観を決め込んでいる。
いざとなったらいつでも飛び出せるように臨戦態勢という訳だ。
当初は女の子に知らせておくべきか迷っていた…が話を聞いてみると、女の子は既にオオカミに会っていると言った。
しかもオオカミは喜び勇んで走って行ったのだから、とっくの昔に先回りして、女の子を待ち受けている筈で、お気の毒だが、バ~バは時既に遅し…簡単に言うと手遅れだ!
それなら女の子に、今さら無駄に怖い話をする必要も無いだろうというのが、吾輩の考えであった。
但し、女の子は元よりバ~バを助けてやるには悪いオオカミ君を何とかしなくてはならない…。
鯔のつまりは退治する事になる訳だ…。
そこでのこのこ女の子について来た次第である。
赤ずきんはオオカミとは気づかずに、ベッドに横になっているバ~バに疑問を次から次へと投げ掛けていく。
バ~バに化けたオオカミはそれをひとつひとつ丁寧に応えながら、その瞬間を待っている。
私はそれを水瓶の陰から少しも聞き漏らす事なく、慎重に、順を追って聞いていく。
『耳…目…手…次だ!』
「バ~バの口は何でそんなに大きいの?」
赤ずきんがそう聞いた瞬間!、私は水瓶の陰から躍り出て、申し訳ないが、彼女の後頭部を踏み台替わりにすると口を開きそうなオオカミの喉笛に矢の如く襲いかかって噛みついた。
「おまえを…」まで言いかかっていたオオカミは、気の毒にも『…食べるためさ!』を言えぬまま、その替わりとして、
「ヽ(;゜;Д;゜;; )ギャァァァ~!!」
と断末魔の悲鳴をあげると…布団から跳び跳ねて、そのまま窓から飛び出すと、道を行かずに森の中に飛び込む様に逃げて行った。
ちなみに何でそこまで詳しく判るかと言うと…。
(^○^;…咥えたまま私が離さないからなんだな…これが(爆)
しかも…オオカミは激痛の余り、見境無く懸命に逃げ惑っているため、まだ私が食いついたままなのさえも、気がついていない。
(^○^;…つ~か端から、何がいったい起こったのかすら理解出来てるかも甚だ怪しかった…。
それ程に事は一瞬で、激痛の方は私が離さないもんだから持続性があるため、とにかく本能の赴くままに、ひたすら走りながら苦しんでいるのだ。
そして御本人様が気がついていない事が実はまだあり、必死で逃げてる割には、距離が余り稼げていない…。
例えるならば、ほぼ半径200m四方を西部劇のロデオの如くに八の字廻りで行ったり来たりしているのだ。
お陰様で私は乱気流に巻き込まれた乗客よろしく、口許から捏ねられ捏ねられ、顎は痛いし、振り落とされまいと必死なために涙目で奮闘中と言ったところだろうか?
但し…ここで離してしまうと、バ~バが永久に助からなくなるので負ける訳にはいかない。
そんな二匹の駆け引きがしばし続く事になった。
ところがである…。
私も実際に危なかったのであるが、何の前触れも無くそれは起きた…。
突如「ドゴ~ン!ドゴ~ン!」というけたたましい爆音が響いたかと思ったら、遠くの方から鳥たちが一斉に飛び立つ羽ばたきが聞こえて来た。
そして次の瞬間…私の眉間の傍を一発の弾丸が擦り抜けたのだ!!
そしてその弾丸は見事にオオカミの顎を撃ち砕き、さらにもう一発はオオカミのこめかみを貫いた。
私はその反動で宙に放り出された。
たまたま生い茂る葉がクッションとなって事なきを得たが、董だ危険なミッションになってしまった。
【第11話後書き】
深夜にうなされてしまい…跳び起きた瞬間に視ていた夢が『吾輩』でありました。
奇妙な夢だったため、φ(..)メモった後に、トイレに立ち…またそのまま寝るという感じだったのですが、何と! Σ(´□`ノ)ノ 再び同じ続きの夢を視るという不思議な体験をしたので、その経験を元に作品に投影した次第です。
もちろん筋の合わない夢をヒントに場面を繋ぎながら、加筆しています(笑)
続きはいったいどうなるのでしょうか?
この後の展開をお楽しみに♪
byユリウス・ケイ




