この世界は
校庭には、S組が集められて、
苗村先生が前に立ち、メガホンで声を張り上げて案内をしていた。
『で、ではあっ、総合演習おっ!はじめますうっ!ぷぎゃー!!』
ピンク髪の苗村先生は、なぜだかバランスを崩して仰向けに倒れた。
『ぷぎゅううぅ。』
漫画のように目を回し、泡を吹いて倒れている。
『だ、誰か!担架持ってこおい!!』
よく倒れる先生だ。
ますますひどくなっているな。
『そろそろ体制も限界なのかもなあ。』
『なんか、言ったか?』
後ろを振り返る。
『み、見るでない!』
いつもの厨二病はどこへやら。
眼帯の美少女の茶髪は太陽の光に反射して美しく照らされている。
体育着。
ブルマ。
ブルマから伸びるほど良き太もも。
胸元には『かとう』の文字。
体育着はかくも女子高生にエロさを装備させる恐ろしい武器である。
『け、ケダモノ!』
まじまじと見ていると、
加藤は胸元を守るように両手で隠す。
顔は真っ赤だ。
ああエロかわいい。
こんにちはエロティシズム。
『加藤さんは、エロ耐性がないですわね。』
リリーだ。
真っ直ぐ姿勢よく立ち胸元は『りりぃ。』という文字が書かれているが、胸が大きいから文字が横に伸びている。
あの体育着になりたい。
体育着にヘッドドレスはそのままなので
いびつな感じがするが胸が全てを帳消しにするので問題ない。
『リリー、タケルおっぱい見てるわ!』
『見てるなんて聞いてないですわよ!?』
リリーは見事な足蹴りをかましてくる。
『ああ!気持ちいい!』
俺は嬌声をあげた。
『変態ですの!?』
足を蹴られるくらい。
何週目だと思ってるんだ。
快感になるような受身の取り方くらいわきまえたわっ!
しかし担任がいない中の総合演習だ。
クラスの音頭をとる人物がいないのはなんとも心もとない。
普通はそう感じるが、これはいつものことだ。
我らがS組は校舎の敷地の外に出た。
商店街に続くいつもの通学路ではない方の校門をくぐり抜ける。
防弾チョッキとライフル銃とヘルメットを着た兵士たちが敬礼で俺らの総合演習への門出を見送る。
彼らは無言で微動だにせず、俺らを見送る。
生きて帰ってこれるかわからない。
目の前には、瓦礫と朽ちたビル群が立ち並ぶ。
そうこの世界は。
大戦後、ある兵器により人類が激減した
ポストアポカリプスの世界なのだ。