始まる授業
『加藤ー、今日は学校行きたくないんだけど。』
『えー、じゃあ引き金引いちゃうけどお?』
眼帯の美少女はピタリと銃を突きつけながら俺を教室まで誘導する。
『あ、加藤さん!』
ロリータ服に銀髪が映える。
リリーだ。
『ごきげんよう。』
スカートの裾を両手で軽くつまみ、挨拶してくる。
加藤の顔を見る。
『なんだ?』
まじまじと見る。
『や、やめろ!あまり見るでない、、、』
じーーー。
加藤の顔が赤くなる。
『わ、私はスパイだからな!そ、そんな感情を持たれても、、し、知らん!』
加藤の頭をぽんと、叩く。
『何勘違いしてんだよ?リリーと比べて育ちが悪いなあって思っただけだわい。』
『は?』
加藤はぽかんとしている。
リリーは首を傾げている。
加藤は、厨二病全開なのでこういった駆け引きは弱いのだ。
いや、弱いフリをしてるだけか。
『リリー、おはよう。今日学校サボりたかったんだけど加藤が許してくれなくてさあ。』
『あら。学校はサボってはダメですよ?』
『いやあ、だってさ、今日演習授業じゃないか。面倒くさそうだし。』
『は?聞いてないですわよ!?何が面倒くさいのですか?』
リリーは両手で拳を作り、胸の前でぐっと立てて俺に詰め寄る。
おっぱいに食い込んでますなあ。
顔が熱い。
『いや、演習ってなんかだるそうじゃん??名前的に。』
加藤が訝しげに見ているのが気になった。
演習内容を知っていることを悟られてはならない。
『ま、まあ、はじめての演習ですし、先生も教えてくれるのではなくて?』
『うん、ああ。たぶんそうだけど、、、』
加藤はじっと見てくる。
面倒だ。
『なんだ?加藤、俺に惚れたか?』
『違うわっ!』
銃を突き立てられる。
加藤は顔を赤くしている。
俺はため息をつく。
『なんだ?どうした?』
『いや、なんでもない。それより銃を離してくれ。おもちゃとはいえ物騒だ。』
『おもちゃではないぞ?この銃はだな、、』
チャイムが鳴る。
『あらま、大変!タケルさん、授業が始まってしまう。』
ああやはり、演習をやらないといけないのか。
ドクン!
身体中の液体が早く循環する。
何かスイッチが入った。
フラッシュバックする。
『ああああああああああああ!助けてええええええっ!!』
煙と炎で空間が埋めつくされる。
火薬と油の匂いが嗅覚を支配する。
ああ。
またこれか。
俺はただラブコメをしたいだけなのになあ。