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今日は入学式

『さっさと番号を見つけたたまえ。』


『加藤、その物騒な物をしまえよ。』


俺の背中に銃を突きつけたまま、

クラス発表の掲示板を眺める。



『あああった。S組かあ。加藤は?』


『チッ、キミと同じか。』


カチリと音がする。

なぜ安全装置を外す?

前世でお前に何か悪いことでもしたか?



クラス発表が終わり、教室に向かう。

加藤は相変わらず俺の後ろに張り付く。


S組は校舎の端っこに教室があり、なぜかベランダには望遠レンズがある。



引き戸を開く。



すでに教室は生徒でごった返していた。


入学式はこれからだろうか。


『あ・・・・。』



俺はある女生徒と目が合う。

金髪でセミロング。

カチューシャいや、あれはゴスロリが頭につける髪飾りだ。ゴスロリというと、黒をイメージしがちだが、白の胸元が少し見え隠れするロリータ服を見に纏った美女がこちらを見る。


『あ、タケルさんでないですか。』


『おお、坂上じゃないか。』


うちの高校は制服だが、必須ではない。

着たいものを着ていいが、女子高生をやりたい生徒は制服を着る。

まあ、そんな文化だ。


そんな文化に馴染まず自らロリータ服に身を纏う金髪美女がの名前は、リリー・坂上だ。



『あ、後ろには、、加藤ちゃんかしら?』


『スパイの加藤だよ、リリーちゃん。』



『それ、聞いてないですわよ?!』


『いや、スパイかどうかなんて知らないだろ?入学したばっかりなんだし。』


『そ、それもそうですわね。』


『リリーちゃんは相変わらずせっかちだね。』


『し、淑女たる身分、少しわきまえてなかったですわね。』



リリーはロリータかつ淑女っぽく振る舞いたいらしい。



『にしても、入学式前からこうやって顔見知りがいるとこころ強いよな。』


『入学式ですの?いつですの?』



『リリーちゃん、入学式は今日だよ。』


加藤がポンと露わになっているリリーの肩を叩く。




『それ、聞いてないですわよ!?』



リリーはまたもや、鼻息を荒くしている。




『いや、書いてあるだろ?入学書類一式に。』


カバンに入れた入学書類を探す。



『あれ?おかしいなあ入れたはずなのに。』



『ふっふっふ。タケルよ。問題ない。私がさっき抜き取って理事長に提出しておいた。』


眼帯に手を当てて、笑みを浮かべる加藤。


『抜き取ったってお前、、、まあいいか。どうせ提出しなきゃだし。』


『提出!?それ、聞いてないですわよ!?』



リリーの顔が近い。

前屈みになっているからたわわな胸元も見える。

白のブラかあ・・・・。



『リリーちゃん、タケルから見えてるよ!』


『はっ!それも、聞いてないですわよ!?』



張り手が飛ぶ。

頬を叩かれた俺は宙に舞う。

問題ない。慣れてるからな。


空中で体を捻り、一回転し受身を取る。



『な、何という受身!タケル!キミをスパイにスカウトする!!』



『ああ、痛え。』


加藤からのスカウトを無視して立ち上がる。


『ああごめんなさい、私としたことが。』


『いや、リリー。俺もデリカシーがなかった。見るならもっと堂々と・・・・。』


またもや前屈みになるリリーの胸元を見る。



『見てるね。』


『見てるなんて、聞いてないですわよー!!』





今度は蹴り飛ばされた。

舞い散る鼻血。

砕ける顎。

軽い脳震盪。

受身も取れず床に叩き落ちる。




ちょうど同時に入学式の案内の放送開始を告げるチャイムが鳴った。

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