3
けれど、宿屋を行うにはまだ足りないのだ。
過去に最高値で売れたマジックバッグ。それにはこんな機能が付いていたそうだ。
ーーーー時間停止。
欲しい。めちゃくちゃ欲しい。
時間停止があれば素材が腐ることを気にせず済む。料理も、魔物の死体もね。
時間停止は何となく、レベルが上がれば取得できるような気がするんだ。
なので正直、メイン空間の広さはもう十分だと思う。自立した私の家は冒険者ギルドで防犯も大丈夫だし。
16歳。
家を出たことをきっかけでついに放置していたマジックバッグ作りに精を出してみようと思う。あ、あと空間魔法のレベル上げかな。
と、言うわけで代わり映えの無い毎日です。
今日も今日とて廃棄ポーション片手に迷宮で素材の買取を行っています。空き時間は第二、第三の空間の拡張をしつつ、ついでにマイクさんから査定の仕方を教わりつつ。
「とりあえず買い取るものの使用可能部位、大凡の売買の値段、市場価格を覚えることが必要ですね」
「ふむふむ。マイクさんは毎日市場価格を調べてるんですか?」
「いえ、別の人が市場価格を調べてくれています、事務所の掲示板の右下に書いてあるでしょう?」
「ああ!あれ市場調査だったんですね!」
「ええ。解体した素材を売りに行った値段を書いてあるんですよ。基本的にあそこの値段より20%ほど値下げした値段で買い取ることにしてますが……」
そこで何故か後ろに置いてある廃棄ポーションの箱から、マイクさんは二本のポーションを取りだした。飲むんだろうか珍しい。
「こちらのポーションは作成者が違うためか瓶の形も内容量も差異がありますね。それでも買取値は同じだと思いますか?」
「……違うと思います。そうか、個体によりサイズが違うのか……」
「ええ。それに加えて皮を使う魔物は皮の状態なども査定に入りますね」
「……難しい…」
「頭がいってえなあオイ」
飲むんならどうぞ、と例題に使ったポーションを差し出されてそれを飲みながら本日の護衛……アイズさんと難しいねーと笑い合う。
そう、アイズさん。
本日の護衛はAランク冒険者のアイズさんだ。
本日、と言うか。
二年前のあのレイド以来、銀華だけじゃなくほかの高ランク冒険者達が護衛をよく受けるようになった。特に最近は『ドラゴン殺し』のメンバーがよく来る。
その事に僅かなプレッシャーを感じつつも、変なやつに目をつけられても高位冒険者が守ってるんだぞとアピールをしてくれているんだ。
ちなみに護衛も対象も選ぶことは出来ない。ギルマス曰く毎日クジで決めてるそうで、前にアイズさんに護衛されたナガマサさんは頼もしいけど怖かった!と絶叫してた。
ちなみにアイズさんが護衛をやる理由は完全に私に対しての繋ぎを取る事だ。これは自意識過剰では無い。
だって今朝アイズさんと顔合わせした時に「やっとマリィに当たったか!」と言って笑ってたから。
まあ、うん。レベル上げ頑張ろう。




