To Be Continued…。
そこは暗く、恐ろしい迷宮の中だったはずだ。
「あああ、くっそ!あと十センチ足りねえ!」
「はい、記録更新なりませんでした。またの挑戦をお待ちしています」
年間に何人も命を落とす、暗い迷宮。
けれどここには光が、活気が溢れている。
「おら!挑戦一回分だ!俺が勝ったら本当に地上に出るまでの宿代を返してくれんだな!?」
「もちろんです。ロディ出番だよー」
『腕をこっちに倒せば良いんだよな?』
「そうそう肘はここから浮かせちゃダメだよ」
「うわああああああ!何だこの化け物はーーー!!」
美味しい食事。なんでも売ってる店に、買取屋。金を払えばベッドでも寝られるし風呂にも入れる。
「はい、買取ですね。査定をしますので少々お待ちください」
「持ち帰り希望の方はこちらにお願いしまーす」
魔物が入って来ないどころか、暖かい光と草原、さらに牧場。そんな自然の中を妖精がふわふわと飛び回る幻想的な空間。
そこから一歩出れば危険だけれど、命をかけるに相応しい金策ができる迷宮が広がっている。
「一時間で飯と休憩を済ませろ。ポーションを飲んどくのも忘れんなよ」
「おっす親方!」
ここは迷宮宿屋。命をかける冒険者達の助けとなり、安らぎを与える地。
『……主人について来て良かった。ショクブツも、タイヨウも本当にすごい。外の世界ってすごいな主人!!』
「いや、ロディここは外じゃないから。思いっきり中だからね?」
「こまけーことは良いじゃねえかマリィ!!っと、何すんだよトール」
「馬鹿力でマリィを叩こうとするな」
「手加減はしてるっつーの!!」
さあ、貴方も宿泊してみませんか?
ーーーーーーーーーーside???
「……そうか。やはりなにをもってしても、回復は難しいということか」
「……精霊達が失われた今、かの樹木を救うことは難しいじゃろう」
わかっていた。けれど、それは最後の希望だった。
円卓に座る全員が暗い表情を浮かべている。それもそうだろう、我らにとっては神とも言える存在が失われようとしているのだから。
「……では、噂の『迷宮宿屋』とやらはどうなのじゃ。世界最高の広さを誇ると言うかの空間ならば丸ごと収納は……」
「無理であろう。山より高い樹木をしまえる空間などないじゃろうし……あったとて、今の我らじゃ買うことは出来まい」
我らの収入の過半数は、かの樹木がもたらすめぐみであった。それが失われた今、貯金で何とか経済を回しているがそれも持って一年。
一年分程度の国家予算で巨大な時間停止空間が買えるわけがない。小部屋程度で数百万なのだから。買えたとて、買ってしまえば国が回らなくなってしまう。
「……苗木ならば、どうだろう」
「……なんだと?」
「苗木と言っても十メートルはあるが、苗木を回復方法が見つかるまで保管して置くことならば何とかなるんじゃないのか」
それは僅かに見えた光明であった。
かの大木は無理でも、苗木は守れるやもしれない。
「……だがどうやって買うつもりだ。そんな金、今の我が国にはないぞ」
「貸してもらうことは出来ないだろうか」
「神樹を預けると言うのか!?我らの神を!!」
エルフは元々自然のめぐみでのんびりと暮らしているせいで、金を稼ごうという欲がない。それが完全に裏目と出てしまった。
どうする、どうする。
話し合っても当然の事ながら結論は出ない。
「……空間師殿に、自分から提供して頂く他無いようじゃな」
そんな見返り無しでの提供などありえない。
……例えば命を盾に脅されでもしない限り。
「……全エルフに通達せよ。『空間師マリーロズ』を城へ連れまいれと。命は無事ならば多少手荒にしても構わん。無理ならば情報だけでも提供せよ」
「じゃが相手はたくさんの冒険者を連れているのじゃろ?」
「……策はある。わしのばあ様が子供の頃に空間師の弱点について聞いたという話を知っておる」
「ほう、それはどんな話じゃ?」
そして賽は投げられた。
ーーーーーーTo Be Continued。
現在第三部『エルフ神樹王国編』の執筆を始めました。
ある程度書き上がり次第再開致しますのでしばらくお待ちください。




